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第三章 復旧への進め

第18話 広がる復旧

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 そこからは、話は早かった。

 各県庁に専用の魔導具達が届く。
 地元の工務店などに話が行き、一気に工事が始まる。

 主要企業にも電気が送られ、電話などが復活をしていく。

 途中の埋設などが不要なため、経費も安上がり。
 慣れている人なら、DIYでも出来る作業だ。

 そして、道路を掘り返さなくていいなら、平らにして舗装するだけ。アスファルトの材料が無いため、コンクリートが主となる。
 そこが、ネックとなる。
 だが今までの停滞とは違う。
 一気に活気が戻ってくる。

「光希様。あの変なものではなく、小型の探査船がありますけれど」
「いや良いんだ。いきなり見慣れないものが来たら警戒するからな。お前達は宣言をしているし。密かに広げれば良い」
「ああ。宣言をしておいて、実は水面下で混ざっていくと」
「そうだ」
 だが問題は獣人だがどうするか。

 日本人なら、なじみは早いだろうが、ヨーロッパではワーウルフ伝説がある。
 それに、過去の事例でもアジア初の技術を嫌うからな。
 過去に繰り返された難癖。

 長年かけて築いたものを、粗悪品をばら撒き破壊する奴らも居るし。

 まあ、とにかく日本を復活させよう。

 復旧の支援は、関西と中国地方、九州へ渡っていく。
 だが直接被害を受けた地方は、物理的被害と、その後に来たモンスターの被害も大きく、近寄れない地域も沢山あった。

 そして、その相談はなぜか、この町にまでやって来た。

「生き残っていた警察や、自衛隊ですが、武器や弾丸の補給がままならず」
「まあ、そうだろうな。数社独占だったから。散弾なら工場は無事だぞ」
「まあ、そうですが」

 町長たちと話していて思い出す。
 自動の駆除装置がありますから。

 確かそう言っていた。
「よし、一地方幾らで請け負ってこい」
「えっ。大丈夫ですか?」
「何とかする」
 最近町長とかの態度がガラッと変わった。
 話をするのに楽で良い。

 
「旧地図ではこの辺り一帯だ。広島周辺」
「わかりました。マッピングをして、広いので五十機ほど向かわせます」
 大きさは、長さ一五〇センチほどの機体。
 直径百五十ミリほどで一メートルほどある長い筒が一本と、直径一〇センチほどで五〇センチほどの短い筒が、長い筒の下に付いている。

「魔導砲の高エネルギータイプが一門と、連射タイプが二門。そして機体下部から、クラスター型の魔素かく乱機雷が放出できます」
「魔素かく乱機雷?」
「ええ。近くにいると、酔いますのでご注意ください」
「なるほど」

 そうして、じいちゃんの命令で、攻撃部隊が発進をした。

 その頃、俺は部屋でへたばっていた。
 連日のお勉強と実習。
 先は長い。

 つい、うとうととしてしまう。

 それを、見つけて、忍び込んでくる杏。
「今日は、じゃまな、犬と猫がいない。今ね」
 中学校の頃から憧れていた、お嫁さんへの儀式。

「キスをしたのが中学校? あれその前? まあ、もう良いわよね。二十歳は越えたし、先に進んでも」

 にまにまとしながら、人のシャツを脱がそうと、ボタンを外していく。
 ガバッと捲るが、肌シャツがいく手を阻む。

「むう」
 シャツの裾を引き出し、両手を滑りこましてくる。
「うふふっ」
 すごく楽しそうだ。

 ずっと気が付いているが、とりあえず無視をする。
 なんか胸の辺りに張り付き、うへへと、気味の悪い声が聞こえる。
「んー、ふふふ」
 なんか鼻歌を歌いながら、手が下に。
 ベルトが外される。

 どうしようか?
「おい杏」
 その瞬間すごく驚いたようだ。きっと、猫なら一メートルくらい飛び上がるような感じだな。

 胸もとから、顔が此方を向き見つめてくる。

「えー。寝てるなら、体を締め付けているのはよくないなぁと、緩めていると、なんか元気になっているから、様子を少し」
「それは、すまない。気になるのか?」
「えっ。ちょっとだけ。うん」
 変にテレテレしながら、上目遣いにこちらを見てくる。

「昔、見せっこしたな」
 そう言って、にかっとすると、手を伸ばす。

「あーうん。えっちょっと。それは流石に……」
「ほー。だけど、見ないとできないぞ。ほれっ」
「きゃー。ちょと待って。こらっ」

 そんな感じでじゃれていると、廊下では犬と猫が並んで座っていた。
「どうする?」
「今日はやめようか? 私の所へくるかい?」
 少し聞き耳を立て、シーヴはアデラの部屋へ飲みに行くようだ。


 杏は念願を果たせて、幸せだった。
 まあ、そう言うことになった様だ。

 だが……
「杏殿、息吹様の横に立つのであれば、バカではいけません」
 勉強の日々が始まることになった。

 シーヴとアデラの中では、光希と息吹は最低でも中央政府マグナコーキの議員レベルとなるだろうと考えている。
 そう。この星を導くもの。

 その伴侶たるもの、共に意見を交換できるレベルにあらねば。

 欲しがるならば同等の能力を持て。
 良い意味で、マグナコーキでは、権利が等しい。

 同じ強さと知能を求められる。
 身体は、光希によって改造された。

 あれ? 私たちも横に立てるのでは?
 そのために、光希様は?

 えっ。伴侶の候補?

 杏に、お勉強をたたき込みながら、ふと二人は思いつく……
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