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第16話 最悪な女
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この女の人、見知らぬ男とホテルに入ることを躊躇しないというか、一生懸命で忘れているのか?
そう涼子は必死だった。
プライドが高く、ほかの女と仲よさそうにしている旦那、最近自分にも見せないデレた笑顔。
それを見た瞬間、頭に血が上り暴走中。
「あそこね」
部屋へ飛び込み、壁に耳を付けて様子を探る彼女。
隣の気配に沿って、奥へと移動していく。
部屋の中は、ソフトSM的な部屋でちょっとした拘束具が壁に備え付けられている。
新道も無論初めてで、部屋の中を見回す。
長細い部屋の造り、四畳半側にちょっとした応接セット、奥の六畳ほどの部屋にはどでかいベッド。
その奥には、ガラスに囲まれたトイレと浴室。
ベッドの頭元にはスイッチ類が並び、足元側の壁に設置されているチェストには、ちょっとした給湯用のポットが置いてあり、脇には湯飲みが入ったケース。
かの女は、壁に張り付き様子をうかがっている。
なかなか、大きめのお尻が目に入る。
視線を逸らして、お茶を入れることにする。
水は、洗面所か風呂場で入れるようだ。
電気ポッドを持って風呂場へ移動して、なんとなく浴室を洗い、湯をためる。
四五〇リットルは必要そうな、立派なお風呂、家の風呂と同等だ。
茶を入れて、応接間のソファーに腰を掛ける。
一応彼女の分も入れてはいるが、必死でそれどころではないらしい。
何で俺はここに居るのか、そんな事を考えながらスマホで、株のチェックとFXのエントリーを行う。
この前から、どこかの大統領が変な情報を発信をするから、株相場も為替も大騒ぎだ。
そんな事をしていると、彼女がぼそっと何かを言い始める。
「あんな声を出して、下品な」
「勝手にでるみたいだぞ」
聞いているか聞いていないのか? 不明だが反論だけをしておく。
この所モテ期なのか、引きこもっていたから、まとめて来ているのか、女性と関係することが多い。
彼女達は、ある程度まで我慢しているが、限度を超えると声が出て抑えられないらしい。
事後に、ものすごく恥ずかしそうに睨まれる。
その後必ず、ハグされ、キスをされるのだが……
「でないわよ」
聞いていたようだ。
「もしかして、まともなエッチをしたことがないんじゃ無いか?」
「あんな物、子作り用の作業じゃない。まともも何もないでしょ」
「それは…… 旦那が浮気するのが判るな」
ベッドに寝転がり、今日は排卵日、ほらすれば良いじゃない。
そんな感じなら萎えてしまう。
「あれは子作りだけど、夫婦の重要なスキンシップでもあるんだよ。愛し合うというくらいにはね」
そう言って茶をすする。
彼女が今何をしているのかなど、興味は無かったのだが、視線を上げた所にある真っ暗なモニターに、鬼のような女が一人、こちらを睨んでいるのが映り込んでいる。
俺の背中側でそんな顔をされると怖いんだが…… 思わず、電源を入れる。
当然だが、えっちな動画が流れ始める。
モザイクがガンガンに掛かっている。
丁度、六九な体勢でなめ合っている所。
モザイク越しだが、淫猥な音、そして、『うふ、おいしい』と言う声。
ちゅばちゃば、じゅぶじゅぶと音が流れる。
「気持ち悪い、動物じゃあるまいし、あんな物を口で」
「そうか? きもちいいぞ、それに好きになった相手だろ、気持ち悪がる方がどうかしている。あんただって、気持ち悪いとか言われたら嫌だろ」
「私は、あんな事させないわよ」
「へーそうなんだ、淋しいねえ」
そんな事を喋っているが、背中側で近寄ってきているのが判る。
いきなり首を絞められたり、さっき持っていたバッグの中、ナイフとか持っていないよな。
そう思ったら、背後から手が伸びて湯飲みを掴む。
「安物ね」
「いちいち、文句を言わないといけないタイプか、ますます旦那はなんであんたみたいなのと……」
その瞬間、熱い物が頭の上からかけられた……
「うわっっちっ」
ジャケットを脱ぎ、浴室に走る。
シャワーを水にして頭にかける。
「ああ、ひでえぇ」
そう、頭から御茶をかけられた。
いよいよもって、最悪だ。
バスタオルで頭を拭きながら戻ると、彼女はオロオロしていた。
かけてから、熱い御茶だと思い出したようだ。
俺は黙って、じゃっけとを見る。
幸いこの生地は、水をはじくようだ。
ハンガーの所へ持っていき、かける。
問題は、シャツだ。
色は黒だから良いが、濡れてしまった。
おもむろに脱いでハンガーに掛け、洗面台のドライヤーで乾かし始める。
無論肌シャツも一緒にだ。
その時に、姿見で体を見る。
自動車学校に通う頃から筋トレを始めた。
元々動かずにいたから筋力はなく、かなり痩せていた。
自重トレーニングで十分なレベルだが、男のロマン、トレーニングベンチとかダンベルとか買い込んで、部屋にセットしている。
まあ、一応日課として励んだかいがあり、筋肉が付いて、見られる体になって来た。
つい、見とれてしまう。
その時、涼子はあせっていた。
怒りにまかせ、道ばたで男を拾い、ホテルまで……
色々言われて腹が立ち、つい御茶をかけてしまった。
文句も何も言われず、無視をされるのが地味に心に刺さる。
そう、最初は明るかった旦那、それが日を追うごとに無口となり機嫌が悪くなる。
そして今では、視線すら合わせようとしない。
食事も、外で済まされる。
そして、シャツに付いた匂い……
柑橘系の、甘い匂い……
「浮気なのね」
そうして彼女は、行動を起こした。
そう涼子は必死だった。
プライドが高く、ほかの女と仲よさそうにしている旦那、最近自分にも見せないデレた笑顔。
それを見た瞬間、頭に血が上り暴走中。
「あそこね」
部屋へ飛び込み、壁に耳を付けて様子を探る彼女。
隣の気配に沿って、奥へと移動していく。
部屋の中は、ソフトSM的な部屋でちょっとした拘束具が壁に備え付けられている。
新道も無論初めてで、部屋の中を見回す。
長細い部屋の造り、四畳半側にちょっとした応接セット、奥の六畳ほどの部屋にはどでかいベッド。
その奥には、ガラスに囲まれたトイレと浴室。
ベッドの頭元にはスイッチ類が並び、足元側の壁に設置されているチェストには、ちょっとした給湯用のポットが置いてあり、脇には湯飲みが入ったケース。
かの女は、壁に張り付き様子をうかがっている。
なかなか、大きめのお尻が目に入る。
視線を逸らして、お茶を入れることにする。
水は、洗面所か風呂場で入れるようだ。
電気ポッドを持って風呂場へ移動して、なんとなく浴室を洗い、湯をためる。
四五〇リットルは必要そうな、立派なお風呂、家の風呂と同等だ。
茶を入れて、応接間のソファーに腰を掛ける。
一応彼女の分も入れてはいるが、必死でそれどころではないらしい。
何で俺はここに居るのか、そんな事を考えながらスマホで、株のチェックとFXのエントリーを行う。
この前から、どこかの大統領が変な情報を発信をするから、株相場も為替も大騒ぎだ。
そんな事をしていると、彼女がぼそっと何かを言い始める。
「あんな声を出して、下品な」
「勝手にでるみたいだぞ」
聞いているか聞いていないのか? 不明だが反論だけをしておく。
この所モテ期なのか、引きこもっていたから、まとめて来ているのか、女性と関係することが多い。
彼女達は、ある程度まで我慢しているが、限度を超えると声が出て抑えられないらしい。
事後に、ものすごく恥ずかしそうに睨まれる。
その後必ず、ハグされ、キスをされるのだが……
「でないわよ」
聞いていたようだ。
「もしかして、まともなエッチをしたことがないんじゃ無いか?」
「あんな物、子作り用の作業じゃない。まともも何もないでしょ」
「それは…… 旦那が浮気するのが判るな」
ベッドに寝転がり、今日は排卵日、ほらすれば良いじゃない。
そんな感じなら萎えてしまう。
「あれは子作りだけど、夫婦の重要なスキンシップでもあるんだよ。愛し合うというくらいにはね」
そう言って茶をすする。
彼女が今何をしているのかなど、興味は無かったのだが、視線を上げた所にある真っ暗なモニターに、鬼のような女が一人、こちらを睨んでいるのが映り込んでいる。
俺の背中側でそんな顔をされると怖いんだが…… 思わず、電源を入れる。
当然だが、えっちな動画が流れ始める。
モザイクがガンガンに掛かっている。
丁度、六九な体勢でなめ合っている所。
モザイク越しだが、淫猥な音、そして、『うふ、おいしい』と言う声。
ちゅばちゃば、じゅぶじゅぶと音が流れる。
「気持ち悪い、動物じゃあるまいし、あんな物を口で」
「そうか? きもちいいぞ、それに好きになった相手だろ、気持ち悪がる方がどうかしている。あんただって、気持ち悪いとか言われたら嫌だろ」
「私は、あんな事させないわよ」
「へーそうなんだ、淋しいねえ」
そんな事を喋っているが、背中側で近寄ってきているのが判る。
いきなり首を絞められたり、さっき持っていたバッグの中、ナイフとか持っていないよな。
そう思ったら、背後から手が伸びて湯飲みを掴む。
「安物ね」
「いちいち、文句を言わないといけないタイプか、ますます旦那はなんであんたみたいなのと……」
その瞬間、熱い物が頭の上からかけられた……
「うわっっちっ」
ジャケットを脱ぎ、浴室に走る。
シャワーを水にして頭にかける。
「ああ、ひでえぇ」
そう、頭から御茶をかけられた。
いよいよもって、最悪だ。
バスタオルで頭を拭きながら戻ると、彼女はオロオロしていた。
かけてから、熱い御茶だと思い出したようだ。
俺は黙って、じゃっけとを見る。
幸いこの生地は、水をはじくようだ。
ハンガーの所へ持っていき、かける。
問題は、シャツだ。
色は黒だから良いが、濡れてしまった。
おもむろに脱いでハンガーに掛け、洗面台のドライヤーで乾かし始める。
無論肌シャツも一緒にだ。
その時に、姿見で体を見る。
自動車学校に通う頃から筋トレを始めた。
元々動かずにいたから筋力はなく、かなり痩せていた。
自重トレーニングで十分なレベルだが、男のロマン、トレーニングベンチとかダンベルとか買い込んで、部屋にセットしている。
まあ、一応日課として励んだかいがあり、筋肉が付いて、見られる体になって来た。
つい、見とれてしまう。
その時、涼子はあせっていた。
怒りにまかせ、道ばたで男を拾い、ホテルまで……
色々言われて腹が立ち、つい御茶をかけてしまった。
文句も何も言われず、無視をされるのが地味に心に刺さる。
そう、最初は明るかった旦那、それが日を追うごとに無口となり機嫌が悪くなる。
そして今では、視線すら合わせようとしない。
食事も、外で済まされる。
そして、シャツに付いた匂い……
柑橘系の、甘い匂い……
「浮気なのね」
そうして彼女は、行動を起こした。
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