集団転移から始まる、非現実な日常。-人間死ぬ気になれば、何とかなるかもな。-

久遠 れんり

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第3章 周辺国との協力と発展

第40話 王への報告と譲り合い

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 道中には問題も無く、パリブス王国。王都パロプンテへ到着をする。
 途中要塞へ寄り、気導鉄騎兵団達と別れる。

 それ以外は、移動のみ。
 フェリシアはすぐに自分の馬車から、俺達の馬車へ移ってきた。

 そして、魔改造されている馬車の乗り心地に驚く。
 サスペンションスプリングと、オリフィスを使ったショックアブソーバー。
 車の研究用に、作った材料が組み込まれている。

 テーブルや、トイレまである。
 流石に重くて、八頭立て。

 それでまあ。言ってしまえば、戦勝の凱旋。
 王都へ入った瞬間から、熱烈歓迎を受けた。

 ものすごい騒ぎの中を、王城へ向かい城へ入って行く。

「お疲れ様だな」
 王様、自らが、正面まで出てきていた。

「報告は受けている。味方の損耗は軽微。相手はほぼ全滅だという事だが」
「まあ。そうですね。結果そうなりました。ああ、それで、王子様達に紹介したい方が居るのですが」
「息子達に?」
「ええ」
 そう言って、馬車で控えていた、フェリシアちゃんを連れてくる。

「此方が、パリブス王国。インフィルマ=パリブス王だよ」
 フェリシアちゃんを紹介をする。

「オリエンテム王国。第三王女フェリシアと申します」
 ビシッと優雅に礼を取る。

 そうして、どさくさに紛れて、まんまと王城へフェリシアを預けて、俺は家へと帰ってくる。

「どわー。疲れた。帰ってきたぞ」
 大きめの声で帰宅を報告。
 だが、静まりかえった家の中。

「何だよ。今日に限って研究所か?」
 まあ、現状スマホもないし、いつ帰るとは言っていない。
 タイミングが悪かったかと思いながら、家へ上がり、奥のリビングへ向かう。

 だが、戦場にいたせいか、人の気配が分かる。

 腰のホルスターから、銃を抜き装弾をする。

 気配を殺し、そっと近寄っていく。
 すると、ぼそぼそと声が聞こえる。
「来ないよ」
「疲れて、玄関で寝ていたらどうしよう?」
「ありえるな。ちょっと見てくる」
 そんな相談の後、雄一が顔を出してくる寸前。

「わあっ」
 と、叫ぶ。

 すると、室内でも驚いたのか、叫び声が起こる。
 プチパニックを起こしている室内へ入る。
「ただいま」
「おつかれぇ。ひどいぜ裕樹」
 よほど驚いたのか、雄一は頭を振っている。

「ひどいのはお互い様だ。返事のない室内で人の気配がするから、危なく撃つところだったぞ」
 そう言うと、皆がしまったという顔になる。

「そうだね。物騒だから、下手にサプライズをすると、身内に撃たれる可能性があるのね」
「そうだな。わりい」

「まあ。ありがとう。無事に帰ってこられたよ」
「お疲れ様」
 そう言って、美咲達が抱きついてくる。
「ただいま」


「ほう。それでは、息子達への嫁入りではなく、神野殿の元へと」
「ええ。お母様からは、そのように伺っております」
 それを聞いて、王は困る。

 彼らが、異世界からの召喚者というのは完全に極秘。

 未だに表へ出てきていない、技術や達成出来ていないもの。
 そんなものが大量にある。
 王国としては、彼らの存在そのものが、最高機密なのだ。

「それは、簡単に返事ができるものでもないし、少し保留をさせて貰おう」
「承知いたしました。お待ちしております」
 そう言った後、彼女は退室をする。

 そうは言っても、簡単には諦めはすまい。
 正当な理由を何かでっち上げ、神野殿が言った様に、息子の一人と結婚させるのが無難だろう。

 現在、神野殿は侯爵位ではあるが、神野殿との婚儀より、王子の一人と結婚し、国同士の結びつきを強固にしようとか。
「納得せんかなぁ」
 王は頭を抱えることになる。
 

 そしてその頃、本人は。
「うまっ」
「そうだろう」
 そう言って、雄一は嬉しそうに笑う。

 だが、横から鈴木めぐみに暴露される。
「雄一が凄いわけじゃなくて、松下くん。松下友紀君分かるでしょ」
「ああ。親が電気屋さんの奴だろ」
「彼がね、セプテントリオ王国の港まで、モノレールを引いたのよ」
「へー。いつの間に。本気で驚いたぜ」
 そう言って、すっとぼける。

「でしょ」
 めぐみが嬉しそうに笑う。

 気のせいか、人と付き合い始めると、女の子って急にかわいくなるよな。
 おっと。目が合ってしまう。

「あれか、生け簀の改良版を作っていたけれど、バッテリー問題か?」
「おう。そう、みたいだな」
 雄一が焼き餅を焼いたのか、めぐみを膝に抱っこをする。
 じっと見たのを、気づかれたか。

「下手に長時間使えるバッテリーを積むより、モノレールが良いって言う話でな。本当は電気の方が良いんだが、レールに人が触ると危ないし、現状はエンジンだ。目的地へ到着をする少し前に自動でスピードが落ちて、自動停止する優れもんだぞ」

「ほう、なんとなく原理は分かる。停止位置の手前に棒かスリットがないか?」
 そう聞くと、雄一が驚く。

 反応が面白いから、少し調子に乗る。
「謎は解けた。例えばクラッチ自体が手動で…… いやアクセルの方が良いか。レバーが押し込まれると、その位置でホールドされて、エンジンの回転が上がる。すると、遠心クラッチが繋がりっぱなしになる。すると本体は、レールに沿って勝手に走って行く。今度は目的地の少し手前で、アクセルを押さえ込む棒が、立っている棒に当たり、外れるようにしてある。後は壁か床にブレーキを組んで、徐々に接触をする様にすれば、本体は止まり。発電用として、エンジンはアイドリングで回ると言うことだな」
 皆が目を丸くする。

 思わず、その光景に笑ってしまう。
「わりい。その機構を考えたのは俺だ。松下に相談されてな。あいつ電気は得意だからすんごく複雑なものを考えていたからな。単純にこんなのはどうだって教えたんだよ」
「んなっ。いつの間に」
 雄一が、目を丸くする。

「ちなみに最初にあいつが考案したのは、フォトセンサーがあればって悩んでいて、あれば、センサーが通ったのを感知すると、制御するんだが、すべてステッピングモーターありきでな」
「ステッピングモーターって、信号というか電圧が掛かった一瞬。ワンパルスで、ちょっとだけ回るモーターだよな」
「そうそう。あいつ若いからな。すぐデジタルで、制御をしようとするんだよ」
 俺がそう言うと、雄一が笑う。

「そういうお前は、幾つなんだよ。皆同世代じゃないか」
「そりゃまあそうだが、体は子供。中身はじじいなんだよ」
 そう言って頭をかく。

「それって、微妙に嫌だな」
 美咲に嫌がられてしまった。
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