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第3章 周辺国との協力と発展

第41話 戦争が落ち着いたら、また難題。

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 オリエンテム王国との騒動は終わった。
 正式に、パリブス王国からの紐付きだが、復興支援をする。

 人的被害は大きかったが、建物とかは避けたし、一般の民への被害はなかった。
 それが、敵意とかを抑制するのに、意外と効果的だったようだ。

「悪かったのは、旧王とその周りの貴族。それを徹底的に喧伝をした」
「うん。それで良いだろう」
 何故か俺は、王と一緒に報告を聞き、今後の政策と方向性を議論している。

「何で俺が?」
 そう聞いたら、王達はにっこりと笑う。

「侯爵として、給料を貰っていよう」
 確かに、貰っている。
 だが、仲間達が必要な物を買い、人を雇うと、どんどん減っていく。

 他の貴族なら、畑で農産物を作り、鍛冶や採掘で金を得ることができる。
 だが俺にはそれがない。
「―― うん?。いやいやいや。おかしいだろう。うちが造ったものを、国へと言うか軍へ渡しているんだ。それには、料金が発生しても良いだろう」
「そうね。おかしいわね」

 その場では思いつかず、家に帰って、美咲達に愚痴っていたら、思いついた。

「良し。まとめて、ふっかけよう」

 そう意気込んで出かけると、王達のほうが上手だった。

「丁度良いことに、オリエンテム王国から詫びというか、賠償の代わりに我が国との国境地域を貰った。結構広いし、水も豊富。山もあるし探せば資源が眠っておるかも知れぬ。そちにやる。神野辺境伯として治めてくれ」
「なっ」
「それにのお。動いていない、クラスメートとやらも王城には居るのだ。養わないとまずかろ」
「俺が、やつらを養うのか?」
 その問いに王は答えず。ただ、ニヤニヤしている。

「だああ。分かった」
 そうして、神野辺境伯を拝命をする。

 再び、要塞へ向かう。
 自分の土地となる、簡単な地図を携えて。

「おおい。元気か?」
 作った菓子や、食料を持って尋ねてきた。

「おお。これはこれは。先日の作戦以来ですな」
 現れたのは、トルスティ=クレーモラ伯爵。

「元気そうだな」
「はっ。ありがとうございます」
 ばさっと、紙の束を渡す。

「これは?」
「辞令だ。砦の全員分」
「なんと」
 そう言って紙束の中を見る。

「この、新要塞というのは?」
「まだない。これから造る」
 思わずトルスティと二人。ため息が出る。

「この新要塞は、何処に造るのでしょうか?」
「ああ。そうだな。王から、俺はこんな辞令をもらった」
 そう言って、辺境伯への就任辞令を見せる。

「ほう。旧オリエンテム王国ですか。それはそれは」
「これから行って、向こうの貴族にも会わなきゃならん。付き合ってくれ。最初に脅す」
「承知いたしました。出立は?」
「準備でき次第。すぐに、だな」
「分かりました。兵に伝えます」

 そう言って、慌ただしく、伯爵は出ていった。

 今回、美咲や千尋も付いてきている。
 現場を見て、家でも建ってからと思ったが、許されなかった。
 うん? 例のお姫様のことが、やつらの耳に入ったようだ。

「俺は、そんなにモテないよ」
 そう言ったのだが……

「なに。私たちを馬鹿にするの?」
「そうよ、こんなに若くて美人が、二人も好きになっているのに。あっ。ちがうわねぇー。とっても若い、お姫様もいたわねぇ」
「そうそう、ちょっと留守にしたと思えば。モテモテねぇ」
 と、まあ。詰められたわけだ。

 ――その後。

 美咲から、こそっと言われた。
「離れていると、やっぱり淋しいのよ。外は物騒だし」
 などと言われて、朝まで張り切ってしまった。

 ソレハ、サテオキ。

「野郎ども、準備は良いかぁ」
「「「「「おおっ」」」」」

 そういうことで、砦には副長以下一〇人が居残り。
 それ以外は、全員旅立つ。

 この前の、侵攻作戦と同じ感じだが、気分が違う。

 馬車に揺られて街道を走る。
 野営を繰り返し、途中で、領の境とみられる検問所を見つける。
 この事実から、俺達は自分の領を、突き抜けたということだ。

「たぶん。ここが領境だろうな。旧領がモンストシニョス侯爵領? だな。その隣りはドミニク=ベナーク伯爵領」

「途中に道などあったか?」
 俺は街道沿いに、領都とか、そんな感じの町があるものだと思っていた。
 見たのは、寂れた農村が、いくつかあったのみ。
 
「見て、いないですね」
 来すぎた道を戻りながら、周囲を見ていく。

 すると。南側の山間部に大きめの建物が見えた。
「あれじゃないか?」
「それっぽいですね。入り口を探してきます」
 そう言って、兵が馬に乗って駆けていく。

 すると、林を横断する道を発見。

 防犯のためか、入り口は狭く、中へ入ると多少広くなる。そこでは、平地部分に畑が作られ、潅漑用の水路も造られていた。

 そんな中に、掘っ立て小屋がぽつりぽつりと建っている。

「辺境伯領って、結構広いのに、この田舎感はなんだろうな」
「あらっ見て。農民達、みんな首輪をしている」
 美咲は言わなかったが、もちろん足枷もだ。
 この時、すでにブチッときた。

 この領自体が、人さらいの巣窟。
 きっと、この農民は攫われてきた人たちだ。

 パリブス王国は、あまり広くはない。

 そのため、丁度良さそうな土地があれば、入植させて開墾をする。

 ところが、人が消える。
 王もその報告は知っているが、兵を多少付けていても、無駄だったようだ。

 山際の、小高いところに建つ領主の館は、かなり立派だが、周囲を壁で囲み。
 その堅牢さは、まるで、牢獄のようだ。
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