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第1章 壊された生活と異世界の村
第30話 村での初めての夜 その3
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「これも、久美が言っていたんだが。平均値って、自分の力だけじゃなくて、他人の状態に左右されるだろう」
「うん。まあそうよね。自分も含めてだけど」
普人が、すごく楽しそうに、しゃべっている。
「さっき言ったように、それで予測した点数を取るわけなんだが。なかなか中央値にはいかない」
「ノートの解析メモに書かれていたわ。あれを見て、実は私。悲しくなっちゃったの」
「悲しく?」
「そう。普人は数字だけ見て、周りのクラスメートのことを、見ていないのが、分かっちゃったから」
「本気で、クラスの平均を予測しようと思えば。例えば、あいつは中間テストが悪かって、今回は頑張らないといけないから、何%アップで予測とか。あの子は、彼氏ができたから、いい所を見せようとして頑張るとか、逆にテスト後のデートのことばかり考えているから、下がるとか?」
彼は、私にそれを言われて、なるほどと思ったようだ。
それほど昔から。
クラスメートは、単なる変数に代入される。乱数扱いになっていたのだろう。
それを考え。
聞いたら落ち込むのが分かっていながら、私は聞いてしまうことにした。
「ねえ。あの時どうして、私と付き合おうと思ったの?」
うわー言っちゃった。データ取るためと、言うことは分かっていたのに。
「ああそうだね。気を悪くしないでね。あの時、相田や鈴原の言っていた。彼女位いないと、高校生としてだめだと言う事について。つい考え事をしながら、返事していたら、なぜか、付き合うことになっていた」
それを聞いて、私は脱力をした。
思っていたより、もっとひどい。
データ取りどころか、適当な返事の結果だとぉ……。
がっくしと、うなだれる私。
「ああ。いやごめん。それでもね。今まで、誰とも付き合っていなかったし。委員長は、その時。俺の中では、上位だったから。悩みながらも、付き合うのをお願いしたんだよ」
「また、委員長って言った」
「ああ。ごめん」
「上位だったの?」
「勉強もできるし、性格もいい。スタイルだっていいし。平均じゃないなと、あの時悩んだんだよ。本当だよ。付き合いだしてからも、楽しかったし」
少し、浮いてこれた。でも、こだわりは平均。
「それにね。こっちに来てからも、寝ていると。最後に見た、香織の何か言いたそうな、悲しそうな笑顔がね。頭から離れないことが、何回もあったんだ」
そう言われて、思い出す。
「あれは、名前で呼んでねって言った時、反応がおかしかったから、本当に名前を知っているのか、聞きたかったのよ。それを言った後、あの事故なら、すごく後悔するところだったわ」
私がそう言うと、また彼はびくっとなった? 怪しい。
「まさか。名前知らなかったとか、言わないわよね」
と聞くと、彼はじっとわたしを見つめる。
「苗字は思い出せたけど、名前は出てこなかった。ごめん」
と言って謝って来た。えーえー。そうよね。分かっていたわ。
普段、委員長だもの。私だって、春先だし、クラス全員苗字だけで、名前を知らない男の子。確かにいたわよ。でも。私は、君の名前を知っていたのに。
「あーまあ。なんだ、高橋香織さん。こんな俺ですが、よろしくお願いします。家族となってください」
と、言って、抱き着いてきたの。
えーえー。私はちょろいのよ。
そんな、言葉と態度で、すべて許すわ。
自分が、真っ赤になっているのが分かる。
「普人くん。許す。家族になる」
そう答えると、そっとキスをされた。それも。ベロが入って来る大人のやつ。もごもごされて、脳が。……髪の毛が逆立つ。ぞくぞくとする刺激が。ナニコレ、全身力が入らない……。
あれ? ぐったりしたのに気が付いて、キスするのをやめて体を離す。
香織の意識が飛んでいた。
「ありゃ?」
しようがない。とりあえず、俺の布団に寝かせて、居間に戻り囲炉裏の薪に灰をかぶせる。
忘れないうちに外へ出て、表札を出す。
扉の内側から、つっかえ棒をして戸締りをする。
これも。今度改良しよう。
台所で、水差しに水を入れ、コップを2つ持って寝室に戻る。
廊下で、誰かの頭が引っ込んだのに気が付いたが、気にしない。
そんなことをするのは久美だろう。
香織の横に寝転がり、この一年を考える。
訳も分からず、香織と付き合い始めて、ドキドキしながら手を繋いで。
あの時からかな。人のこと、自分とは違う、誰かのことを意識したのは。
考えていると、香織が目を覚ましたようだ。
「あれ。ここって?」
「俺の部屋。勝手に香織の部屋に入るのはどうかと思って」
「えっでも。勝手に連れ込むのも、どうかと思うよ」
そう言って、ジト目をされる。
「ああそうか。言われてみれば、そうだね」
変なの。でもそういう生活なんだ。
「まあいいわ。ねえ、じゃあ続き。痛くしないでね」
「そう言われてもねえ。ああまあ、大丈夫でしょ多分」
またキスされる。
今度もボーっとしているけれど、意識はある。
彼は優しく、ゆっくりと愛してくれる。
けれど、幾度か、すでに私は達してしまっている。
すごく水音が。とんでもない事になっているのは分かっている。
やがて、やっと入って来てくれた。
少し痛みはある。けれど、そんなことを考える暇がない。やがて、足が持ち上げられて? 抱えられた? と思ったら奥。おなかの奥に。…… ずしっと。
そこで、また私は意識を手放した。
「うん。まあそうよね。自分も含めてだけど」
普人が、すごく楽しそうに、しゃべっている。
「さっき言ったように、それで予測した点数を取るわけなんだが。なかなか中央値にはいかない」
「ノートの解析メモに書かれていたわ。あれを見て、実は私。悲しくなっちゃったの」
「悲しく?」
「そう。普人は数字だけ見て、周りのクラスメートのことを、見ていないのが、分かっちゃったから」
「本気で、クラスの平均を予測しようと思えば。例えば、あいつは中間テストが悪かって、今回は頑張らないといけないから、何%アップで予測とか。あの子は、彼氏ができたから、いい所を見せようとして頑張るとか、逆にテスト後のデートのことばかり考えているから、下がるとか?」
彼は、私にそれを言われて、なるほどと思ったようだ。
それほど昔から。
クラスメートは、単なる変数に代入される。乱数扱いになっていたのだろう。
それを考え。
聞いたら落ち込むのが分かっていながら、私は聞いてしまうことにした。
「ねえ。あの時どうして、私と付き合おうと思ったの?」
うわー言っちゃった。データ取るためと、言うことは分かっていたのに。
「ああそうだね。気を悪くしないでね。あの時、相田や鈴原の言っていた。彼女位いないと、高校生としてだめだと言う事について。つい考え事をしながら、返事していたら、なぜか、付き合うことになっていた」
それを聞いて、私は脱力をした。
思っていたより、もっとひどい。
データ取りどころか、適当な返事の結果だとぉ……。
がっくしと、うなだれる私。
「ああ。いやごめん。それでもね。今まで、誰とも付き合っていなかったし。委員長は、その時。俺の中では、上位だったから。悩みながらも、付き合うのをお願いしたんだよ」
「また、委員長って言った」
「ああ。ごめん」
「上位だったの?」
「勉強もできるし、性格もいい。スタイルだっていいし。平均じゃないなと、あの時悩んだんだよ。本当だよ。付き合いだしてからも、楽しかったし」
少し、浮いてこれた。でも、こだわりは平均。
「それにね。こっちに来てからも、寝ていると。最後に見た、香織の何か言いたそうな、悲しそうな笑顔がね。頭から離れないことが、何回もあったんだ」
そう言われて、思い出す。
「あれは、名前で呼んでねって言った時、反応がおかしかったから、本当に名前を知っているのか、聞きたかったのよ。それを言った後、あの事故なら、すごく後悔するところだったわ」
私がそう言うと、また彼はびくっとなった? 怪しい。
「まさか。名前知らなかったとか、言わないわよね」
と聞くと、彼はじっとわたしを見つめる。
「苗字は思い出せたけど、名前は出てこなかった。ごめん」
と言って謝って来た。えーえー。そうよね。分かっていたわ。
普段、委員長だもの。私だって、春先だし、クラス全員苗字だけで、名前を知らない男の子。確かにいたわよ。でも。私は、君の名前を知っていたのに。
「あーまあ。なんだ、高橋香織さん。こんな俺ですが、よろしくお願いします。家族となってください」
と、言って、抱き着いてきたの。
えーえー。私はちょろいのよ。
そんな、言葉と態度で、すべて許すわ。
自分が、真っ赤になっているのが分かる。
「普人くん。許す。家族になる」
そう答えると、そっとキスをされた。それも。ベロが入って来る大人のやつ。もごもごされて、脳が。……髪の毛が逆立つ。ぞくぞくとする刺激が。ナニコレ、全身力が入らない……。
あれ? ぐったりしたのに気が付いて、キスするのをやめて体を離す。
香織の意識が飛んでいた。
「ありゃ?」
しようがない。とりあえず、俺の布団に寝かせて、居間に戻り囲炉裏の薪に灰をかぶせる。
忘れないうちに外へ出て、表札を出す。
扉の内側から、つっかえ棒をして戸締りをする。
これも。今度改良しよう。
台所で、水差しに水を入れ、コップを2つ持って寝室に戻る。
廊下で、誰かの頭が引っ込んだのに気が付いたが、気にしない。
そんなことをするのは久美だろう。
香織の横に寝転がり、この一年を考える。
訳も分からず、香織と付き合い始めて、ドキドキしながら手を繋いで。
あの時からかな。人のこと、自分とは違う、誰かのことを意識したのは。
考えていると、香織が目を覚ましたようだ。
「あれ。ここって?」
「俺の部屋。勝手に香織の部屋に入るのはどうかと思って」
「えっでも。勝手に連れ込むのも、どうかと思うよ」
そう言って、ジト目をされる。
「ああそうか。言われてみれば、そうだね」
変なの。でもそういう生活なんだ。
「まあいいわ。ねえ、じゃあ続き。痛くしないでね」
「そう言われてもねえ。ああまあ、大丈夫でしょ多分」
またキスされる。
今度もボーっとしているけれど、意識はある。
彼は優しく、ゆっくりと愛してくれる。
けれど、幾度か、すでに私は達してしまっている。
すごく水音が。とんでもない事になっているのは分かっている。
やがて、やっと入って来てくれた。
少し痛みはある。けれど、そんなことを考える暇がない。やがて、足が持ち上げられて? 抱えられた? と思ったら奥。おなかの奥に。…… ずしっと。
そこで、また私は意識を手放した。
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