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第2章 広がる世界

第76話 勝政さん……REBORN

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 久しぶりに、村へ。
 一人の、男の子がやって来た。

 初めての村。
 門番NPCの長尾さんに、片手を上げて。
「こんにちは、わかります?」
 と、問いかける。

 NPCの、ふりをしているため。
「はじめてのむ…… ああっ。勝政さん」
 長尾さんは、パニックモードへと移行した。

「落ち着いてください。家で寝ていたはずなのですが。あの、始まりの場所で、起きちゃって。ここへ来るまでの間に、理解しちゃったのですよ。最初に、住人登録をしていいですか」
「はい」

 2人で、受付へ行くと。
 てきぱきと、書類を記入して。終了する。
「希望は。一旦帰るで、よろしいですね」
「その手はずで、お願いします。数日で、私が居なくても。神崎さんが、来るはずなので。一緒に帰ります。家にいたのが、一人なので。自分がどうなっているのかも。気になりますし」
「そりゃ。そうですよね。あっ、でも奥さんは? 」
「数日前に、追い出したんですよね。はははっ」

「そりゃ、また」
「離婚届を出して、一杯やっていたら。ここへ来ちゃった。文字通り。生まれ変わって、やり直せという事だと、思うことにしました」

 そうして、二人そろって、佐藤君の家へと向かった。


 そこでもう一度。同じ説明をして、泊めてくれることとなった。

「いや。しかし、こんなことも。あるのですね」
「いや。笑い事じゃありませんけれど。自分で体験するとは、思いませんでした。噂のとおり。駄女神。今回、顔も見ませんでしたよ」

「やっぱり。最近、会ったという人が、居ないんですよね。一度、白い部屋は、経由するらしいのですが。到着早々。落下するらしくて」

 勝政さんは少し思い返す。
「そんな、感じでしたね」
 そう言って、苦笑いをした。

 周りのみんなも。
 数日前に会った、勝政さんの若返った姿を見て、困惑? している。
「この子が、年を取ると、あんな感じになるのよね。不思議ね」
「でも女の子は、お母さんの顔を見ると、将来の顔。想像がつくって言うじゃない」
 こそこそ言っているが、なんだか、ちょっと失礼な気もする。

「勝政さんが、困ってるから。やめてね」
「「「はーい」」」

「それで。あと、二日もすると、神崎さんが来るはずですので。その時に、帰って向こうで、上司とかとも。話をしてみます」
「ああ。例のすり合わせですね」

「ただ。私は46歳だったのですよ。で、今15歳でしょ。無理がありますよね。子供としての戸籍を作ってもらっても。同僚の子供と、一緒に学校へ通うのも。ちょっと嫌ですしね。それに向こうだと。まああれですが、この姿で酒飲んでいたら。補導されますよ。晩酌なしは無理」

「そんな無理をしていたから、家で倒れたのじゃないですか? まあ、無理の一端を担っていたので。申し訳ありません」

「いやいや。嫁さんとも離婚したし。心機一転。人生をやり直しますよ」

 などと言っていたが、離婚した理由にも。俺が絡んでいた。

 向こうへと、帰ったとき。
 勝政さんは、神崎さんへ。ぽろっと。
 忙しいせいか、嫁さんの機嫌が悪いと。愚痴を言ったらしい。

 そう言ったら。神崎さんが、良いものがあると言って。肉のブロックをくれた。
 こちらでも、珍味で。非常に滋養強壮が付く。
 それに、夫婦関係の改善にもバッチリと言って。

 その晩。久しぶりに、白のワインを買って帰る。
 一応、魚類と言うことなので、少しソテーしてみる。

 魚というには、少しブタっぽいが? まさか、オーク? などと思ったが、まあ、珍しい魚なんだろうと、ちょっとずつ焼きながら作った。
 味を見つつ。できあがったら、照り焼きのはずが、なぜか、生姜焼きとなってしまった。おいしいからいいかと。
 それをつまみにして飲んでいた。
 すると、珍しく奥さんが、自分の仕事部屋から出てきた。

 奥さんは、元々WEB関係の仕事をしていて。
 入札業者さんに、説明係としてついてきて。知り合った。

 勝政さんが、38歳で、奥さん33歳だった。
 お互い。年も年なので、半年ほどで結婚。
 残念だが、まだ、子供はできていない。

 いまは、フリーの技術者。という名目で、契約社員。
 半々で、出社と在宅で、仕事をしているようだ。

「それ、なあに?」
「仕事先でもらってね。魚と言うことだが、食べると豚肉のようだ。脂身が甘くて、非常においしい。高級ブランドブタのようだな」
「ふーん。まだある?」
「生姜焼きなら、フライパンにあるし。残りのブロックも、チルドルームに入っている」

 グラスに、俺のワインを、勝手に注いで持っていく。
 冷蔵庫を開けて、何かをしているから。
 味付けなしで焼いて、味を見るのだろう。

 珍しく。鼻歌を歌って、楽しそうだ。
 野菜や何かと一緒に、この匂いは。オイスターソースで炒めたのと、もう一つはカツでも揚げているようだ。

 久しぶりに。妻が、台所に立っているのを、見た気がする。

 長い事。仕事にかまけて、家をほったらかしにしたからな。
 子供ができなかったのが、きっかけか。
 つい、飲みに行ってしまった。
 でも今回。
 神のいたずらか、良いめぐりあわせで。
 おかげで、歴史に残るような仕事になった。
 課長補佐か、一足飛びに。課長になれるかもしれんな。

 そんなことを、考えながら。食事を済ませる。
 まだ、嬉しそうに、彼女は料理をしていた。
「先に風呂へ入るよ」
 そう言って、声をかけ。風呂へと入った。

 久しぶりに。ゆっくりした気分で、風呂につかり。
 出てくる。
 すると、ごちゃごちゃした台所は、そのままで。
 片付けもされず。彼女は、姿を消していた。

 冷蔵庫を見ると、まだ、あの肉は半分ある。
 揚げていたカツや、炒めていた物も。
 フライパンなどに、残っている。

 調味料でもなくなって、買いに行ったのか? 
 時計を見ると、まだ10時過ぎ。
 それなら、まだ表には、人通りも多い。大丈夫だろう。
 ビールを一本開けて、飲んでいるが。
 帰ってこないな。
 気になり、電話をしてみる。

 出ないな? もう、11時だ。

 そう思ったら、着信が来た。

 ビデオ通話? 珍しいな。
 タップしてつなぐと、誰かの上で腰を振っている妻。
 思わず録画モードにする。

 向こうは、電話をかけるつもりはなく、着信でも確認して、何かので、着信がこちらへ、来たのだろう。
 録画しっぱなしで、電源へとつなぐ。
 PCで、調査と離婚について検索する。

 さらに1時間たっても、行為は続いており。
 元気がなくなったものを口に含み。
 強引に使えるようにしている。

 こんなこと。してくれた事なかったな。
 なんだろう。
 まるで気分は、AVでも見ている気分。

 自分の中で、どんどん気持ちは冷めていく。
 妻を見ても、誰こいつ? という感情しか湧かない。
 自分の感情が、欠落しているのか。
 妻など、愛していなかったのか。判断が付かない。
 だが、どこか。こわばっていた体から、力が抜けた気がした。
 意外と、家庭のことも。ストレスだったのかな?

 酔いもあり。あの魚も効いたのか。
 ゆっくりと休んだ。週明けには、向こうへ行かなきゃならん。
 週末に、全部済ませよう。

 ただ、離婚届はすぐ書いてもらい。
 あいつは追い出そう。

 朝6時に目が覚めると、通話はさすがに切れていた。
 気が付いて切ったのか。
 あいつの携帯も、ずっと通話中だったから。電池が無くなったのか。

 さて。今日も朝から忙しい。頑張ろう。
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