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第3章

優れた本からどれだけ学べるかは結局、読み手次第-第三の課題解答編ー

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藤田晋さんの著書「起業家」を読んでから
次に井手元子さんの本「秘書力養成講座」を読んでいく。

藤田さんの本はまさしく経営者の目線で書かれた本だ。

そして秘書力養成講座は、そんな経営者を支える秘書の立場で
様々なノウハウが記されている。

経営者の視点が先に頭に入ったことで、2冊目を読んでいる最中
経営者である小山氏と秘書の井手さんのやりとりがリアルにイメージできた。

おかげで、サポートする側の視点がぐっと理解しやすくなったと思う。

そのおかげで、もし魔王様や藤田さんのように超多忙な経営者の秘書になったら
自分はどんな行動をすればいいんだろうと想像を広げやすかった。


もし逆の順番で本を読んでいたらどうだっただろう?

おそらく、経営者をサポートする秘書の立ち振舞いや考え方を
単なるノウハウとして捉えてしまっていただろう。

いいこと書いてあるな、程度で終わってしまっていたかもしれない。

そうして、本に書いたことを何一つ活かせないまま
なんとなく学んだ気になっておしまい。

「それって、ただの時間のムダだよな…」

思ったことがそのまま口をついて出た。

そんなムダな時間があるなら、いっそ睡眠をとりたい。
だってもう、深夜2時すぎだ。

「だからこそ、この順番で読んでよかった」

口からこぼれた言葉は僕の本心だった。




翌日、2つの本を読んだ感想のレポートと合わせて
本を読んだ順場に関する僕なりの気づきも魔王様に直接お伝えした。

「どちらもすごく勉強になる本でした。あの順番で読めたから、より多くを学べた気がします」

僕の言葉に、魔王様はにやっと笑って返す。

「世の人間達は、優れた本を手にとっても読み方で損をしておるよなあ」

その口調には苦笑いが含まれている。

「想像力を働かせ、点を線に変えていくことじゃ。本から学べぬのは読み手の責任よ」

魔王様は、それだけ言い残して
足早に立ち去っていった

今日もアポイントメントが深夜まで詰まっているのだろう。


「魔王様の秘書は、絶対大変だよな」

ぼつりとぼやきが漏れる。

もしいつか僕が秘書になると仮定したら
どんなサポートをすれば一番喜ばれるだろう?

自分が思い描いた想像に、背すじを震わせる。



まだまだ僕には知識も何も足りない、

だからこそ、想像力を武器に変えよう。
思考を止めないまま行動し続けよう。


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<×月×日 学びノート>

魔王様の秘書になるとしたら
とりあえずアポイントメントの調整だけで
一苦労だろう。

あとは体力が必要だ。
…筋トレでも始めようかな。

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