私、魔王の会社に入社しました－何者でもなかった僕が自らの城を手に入れる日まで－

終章

そして僕が城を手に入れる日までー終章5：誇れる日々を胸にー

魔王の会社に入社してからの濃密な1年を思い出す。

必死で駆け抜けてきた日々を、誰かはきっと笑うだろう。
スマートになんて出来なくて、ひたすら泥臭くあがいた日々だった。

何度も折れそうになりながら、それでも諦めずに体で学び続けた。
睡眠時間を削りながら、目の前の仕事に打ち込んできた。

その結果が今、目の前に「社長候補」というかたちで
飛び込んできた。

この先にどんな地獄が待っていたとしても
それを掴まない選択肢があるだろうか。


「社長候補、あらためてお受けします！」


ここまで来れたのは、僕一人の力では決してない。

魔王様や執事さん、ゲーテさん…周りの皆さんに
支えられてきたからこそ今がある。

精一杯の感謝を込めて、深く深く頭を下げた。


「うんうん、よかった。がんばって～！」


ゲーテさんは、満面の笑みを浮かべながら
自分のことのように喜んでくれた。

最初は苦手意識が強かったけれど、ゲーテさんには
本当にお世話になった。

よい先輩を持てて、僕は恵まれているなと改めて思う。

一方、魔王様と執事さんはというと…


「よし、候補者も全員確定したところで、どんな遊びをやるかのう？」

「今度はYouTubeのライブ配信で公開処刑しても面白いかと」


どこまでが本気でどこまでがネタなのか
外野には分からない会話を繰り広げていた。

他の社長候補がどんな人？魔物？なのかはわからないが
これからの指導は色んな意味で大変になりそうだ。


「あ、そういや。魔王様と話しとって、お前がこれまで出してきた日報を
外部向けのコンテンツにしようか、っちゅう話になってな？」


いきなりの話題転換に、僕は目を丸くした。

しかも日報がコンテンツに、って全くイメージがつかないんだが
どういうことなんだろう？


「おぬしの気付きノートと合わせてな、我が社が懇意にしておる小説家に
まずは小説にしてもらうかと思っておる。面白く学べる内容になりそうじゃろう？」


いつの間にか魔王様の手には、僕がデスクに
しまっていたはずの何冊もの気付きノートがあった。

人に読ませることを想定していないノートを
よりにもよって魔王様が持っているなんて
羞恥プレイにもほどがある。

しかもコンテンツ化は、僕が知らなかっただけで
とっくに進行していたらしい。


「実はもう構想も決まっておってな。タイトル案は確か…」


あまりに、まんまなタイトルに
僕はくすっと笑ってしまった。

恥ずかしさはあるものの、僕が積み重ねてきた日々が
誰かを楽しませながら、学びにもなるのなら、それはきっと
胸を張るべきことなんだと思った。

この先どんなことがあっても
僕が魔王の会社で過ごした日々を、生涯誇りに思うだろう。


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「私、魔王の会社に入社しました」
最後までお読み頂き、ありがとうございました！

続編の内容も現在計画中ですので、ぜひ社長候補に選ばれた
「僕」がどうなっていくのか、楽しみにお待ち頂けたらうれしいです。

✫この話を気に入って頂けたら、ぜひ7月末まで投票可能な
「ドリーム小説大賞」にエントリーしていますので
応援頂ければ、本当にうれしいです✫

本当にありがとうございました！