拾ったものは大切にしましょう～子狼に気に入られた男の転移物語～

家族の形 〜ポーレット〜

100 〜記念・小話〜

　ポーレット公爵家の片隅で男達は頭を悩ませていた。

「最近、ヴァルト様はお屋敷でお食事を取るのが減られたな・・・。」

「昔は街でもお召し上がりになっていたが今は違う！お屋敷にいてもお召し上がりになられない！」

「ニコライ様だって、時よりそうだコソコソといなくなられる。」

「旦那様は流石にお食べになるが量がお少しで心配していれば別にも食しておられる。」

「奥様なんぞ、おやつなども召し上がれてお夕食が減られて・・・。」



「「「「やっぱり！イオリさんの所為だ！」」」」



　ポーレット公爵家の調理場では夜な夜な料理人達の恨めしい声が聞こえてきた。

「それなら、イオリさんに教えて貰えばいいのに・・・。」

　呆れた顔で若いメイドが角で紅茶をすすっていると料理人達は目を向いて怒り出した。

「出来るか！そんな事！」
「私達が何年料理してると思ってる！」
「今更！」
「・・・俺は教えてもらおうかな・・・。」

「「「！！！」」」

「いや、だって興味あるし！」

　プライドを捨てる事が出来ない料理人の中で1人の料理人の裏切りによって、次々と造反者があらわれ結局イオリに教えを乞う事になった公爵家の料理人達。


　
　年月が立ち・・・。

　食の街ポーレットにおいて公爵家の料理人に勝てる者は居ないとの評価は王都にも噂がたち、様々な貴族からの引き抜きがあったにも関わらず全てを断りポーレット公爵に仕え続けた料理人達。

　一重に、1人の青年から教わる料理に惚れ込み離れるなど考えられない彼らの話はまた別の話。



「ちょっと、覗いでこよう。」
「あっ、私も・・・。」
「昨日はパリパリに挙げた鶏皮をつまみにお酒を召されたとか」
「パリパリ？・・・ッゴクン。」

　料理人達の一歩が今始まった。