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帰還
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明けない魔の森の入り口を前に馬車を降りたイオリ達は、早速準備を始めた。
「アウラ、お疲れ様。水を飲んでしばらく小さくなりな。
少しの間は自分達で歩くから。」
アウラは小さくなると皿に入れられた水を飲んだ。
イオリ達はその間に馬車を腰バックに入れたり、身支度を整えたりした。
「では、私達は先にポーレットへ戻っていますね。
皆が待っています。あまり遅くならないようにして下さいね。」
トゥーレはそう言うとフランと共に馬を走らせた。
その姿を見送るとイオリは体の柔軟をしてニッコリとした。
「さぁ、行こうか!」
スナイパーライフルの確認するイオリに不安を感じながらヒューゴはニナを胸に抱き覚悟を決めた。
「イオリー。このまま泉を目指すの?」
フードを被ったスコルにイオリは考えるように言った。
「実はさ、一度トロールに会いたいんだよね。
ナギを助けてくれた子だよ。会いにいくって約束したんだ。」
ナギは自分の名前を出されて身を硬くするが、助けてくれたトロールと聞いて頷いた。
「まぁ、トロールって会いたいと願っても会えるものじゃないから彼の機嫌に任せよう。
うん。俺たちは真っ直ぐに泉を目指そう。」
ヒューゴにとって初めての“明けない魔の森”の印象は静かな森とは裏腹に常に視線を感じているとい事だった。
「なぁ、これっていつもの事か?」
「ん?動物や魔獣の視線ですか?
そうですね・・・。基本的に、この辺にいる子達は自ら襲って来るって事はないから安全ですよ。
ダンジョンでいう初めの階ですからね。
奥にいる大型を避けてこんな浅い場所にいるんです。こちらから手を出さなければ襲って来ませんよ。」
《ぎゃーーー!》 《撤退だ!》 《ぐえぇぇぇ!》
穏やかなイオリとは別にどこからか人の悲鳴が聞こえた気がするのは気のせいじゃないとヒューゴは思った。
「そうか・・・。」
そう言いながら、ヒューゴは静かに子供達をシールドで包み込んだ。
『イオリ!人の気配はしないから、そろそろ良いかな?』
ワクワク顔のゼンは甘えるようにイオリを見た。
「良いよ。行っておいで。気をつけてね。」
『はーい!行こう!アウラ!ソル!』
その他、2匹を引き連れてゼンは疾走していった。
「やっぱり、故郷はいいのかね?」
ヒューゴは張り切るゼンを苦笑しながら見送るとイオリに聞いた。
「うーん。勿論それもあると思いますけど、この森の魔素が気持ちがいいんだと思います。
空気が綺麗で呼吸するのも清々しいでしょ?
そんな感じです。」
「なるほどな。
で、お前の泉ってのはどの位かかるんだ?」
ぴょんぴょんと歩いていく双子とナギを背負っているイオリの後をヒューゴは滑りそうな苔を気をつけながら聞いた。
「うーん、ヴァルトさん達は5日かかったって言ってましたよ。
前回は俺たち、ゼンに乗って来たんで2日で来れましたけど・・・。」
「5日!?ヴァルトさんって、公爵様のご次男だろ?よく行ったな。」
イオリは嬉しそうにヴァルトの話をした。
「ヴァルトさんにはルチアさんっていうカーバンクルの従魔がいて、身を守ってくれるんですよ。
ポーレット公爵家の御3方はそれぞれにカーバンクルと契約をしているんです。」
「それはすごいな。カーバンクルなんて珍しい幻獣だろうに・・・。」
「ヴァルトさんは2匹と契約されてますよ。
ルチアさんの子供でクロムスっていうんです。また大きくなっているだろうな。
ルチアさんにはデニさんっていう番がいて、デニさんはニコライさんと契約をしているんですよ。」
懐かしいように目を細めるイオリにヒューゴは・・・
「お前さ・・・聞いた俺が悪いけど、さっきから魔獣に襲われてるのに思い出話しするのやめないか?」
話しながらも襲いかかる魔獣に事もなげに睡眠弾を打ち込んでいるイオリにヒューゴは笑うしかなかった。
「アウラ、お疲れ様。水を飲んでしばらく小さくなりな。
少しの間は自分達で歩くから。」
アウラは小さくなると皿に入れられた水を飲んだ。
イオリ達はその間に馬車を腰バックに入れたり、身支度を整えたりした。
「では、私達は先にポーレットへ戻っていますね。
皆が待っています。あまり遅くならないようにして下さいね。」
トゥーレはそう言うとフランと共に馬を走らせた。
その姿を見送るとイオリは体の柔軟をしてニッコリとした。
「さぁ、行こうか!」
スナイパーライフルの確認するイオリに不安を感じながらヒューゴはニナを胸に抱き覚悟を決めた。
「イオリー。このまま泉を目指すの?」
フードを被ったスコルにイオリは考えるように言った。
「実はさ、一度トロールに会いたいんだよね。
ナギを助けてくれた子だよ。会いにいくって約束したんだ。」
ナギは自分の名前を出されて身を硬くするが、助けてくれたトロールと聞いて頷いた。
「まぁ、トロールって会いたいと願っても会えるものじゃないから彼の機嫌に任せよう。
うん。俺たちは真っ直ぐに泉を目指そう。」
ヒューゴにとって初めての“明けない魔の森”の印象は静かな森とは裏腹に常に視線を感じているとい事だった。
「なぁ、これっていつもの事か?」
「ん?動物や魔獣の視線ですか?
そうですね・・・。基本的に、この辺にいる子達は自ら襲って来るって事はないから安全ですよ。
ダンジョンでいう初めの階ですからね。
奥にいる大型を避けてこんな浅い場所にいるんです。こちらから手を出さなければ襲って来ませんよ。」
《ぎゃーーー!》 《撤退だ!》 《ぐえぇぇぇ!》
穏やかなイオリとは別にどこからか人の悲鳴が聞こえた気がするのは気のせいじゃないとヒューゴは思った。
「そうか・・・。」
そう言いながら、ヒューゴは静かに子供達をシールドで包み込んだ。
『イオリ!人の気配はしないから、そろそろ良いかな?』
ワクワク顔のゼンは甘えるようにイオリを見た。
「良いよ。行っておいで。気をつけてね。」
『はーい!行こう!アウラ!ソル!』
その他、2匹を引き連れてゼンは疾走していった。
「やっぱり、故郷はいいのかね?」
ヒューゴは張り切るゼンを苦笑しながら見送るとイオリに聞いた。
「うーん。勿論それもあると思いますけど、この森の魔素が気持ちがいいんだと思います。
空気が綺麗で呼吸するのも清々しいでしょ?
そんな感じです。」
「なるほどな。
で、お前の泉ってのはどの位かかるんだ?」
ぴょんぴょんと歩いていく双子とナギを背負っているイオリの後をヒューゴは滑りそうな苔を気をつけながら聞いた。
「うーん、ヴァルトさん達は5日かかったって言ってましたよ。
前回は俺たち、ゼンに乗って来たんで2日で来れましたけど・・・。」
「5日!?ヴァルトさんって、公爵様のご次男だろ?よく行ったな。」
イオリは嬉しそうにヴァルトの話をした。
「ヴァルトさんにはルチアさんっていうカーバンクルの従魔がいて、身を守ってくれるんですよ。
ポーレット公爵家の御3方はそれぞれにカーバンクルと契約をしているんです。」
「それはすごいな。カーバンクルなんて珍しい幻獣だろうに・・・。」
「ヴァルトさんは2匹と契約されてますよ。
ルチアさんの子供でクロムスっていうんです。また大きくなっているだろうな。
ルチアさんにはデニさんっていう番がいて、デニさんはニコライさんと契約をしているんですよ。」
懐かしいように目を細めるイオリにヒューゴは・・・
「お前さ・・・聞いた俺が悪いけど、さっきから魔獣に襲われてるのに思い出話しするのやめないか?」
話しながらも襲いかかる魔獣に事もなげに睡眠弾を打ち込んでいるイオリにヒューゴは笑うしかなかった。
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