溜息だって吐きたくなるわっ!〜100賢人仕込みの龍姫は万年反抗期〜

ぽん

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龍の姫巫女のお出迎え

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 ディミトリオ・ハクヤがリリィと語り合った翌日。
 
 寝泊まりを許可されたリリィの家からは、朝から湯気立つ良い香りが漂っていた。

 料理に勤しんでいたであろうリリィが起きてきた4人の客人を笑顔で出迎える。

「おはよう。
 よく眠れた?
 帝国の大公様には狭い家だったかしら?」

 軽口を叩くリリィにディミトリオ・ハクヤが微笑んだ。

「いや、宮殿の片隅で日がな一日を過ごす男には十分すぎる快適さだったよ。」

 卑下しながらも笑いを誘うディミトリオ・ハクヤにリリィは声を上げて笑いながら、次の料理を用意しにキッチンに消えて行った。

 そんなリリィの手伝いをと、侍従のクレイが後を追ってキッチンに顔を出した。
 
「昨日も思っていたんですが、リリィ様が自ら料理をされてるのですか?」
 
 この家に世話役が1人もいない事にクレイは驚いていた。
 リリィを主人と仰ぐアリスとコテツがいるにも関わらず、彼らが料理をしている気配がない。
 クレイが不思議そうに尋ねたのも無理からぬ事だった。

「おっ、気づいたかね。
 クレイ君よ。」

 自慢気に微笑むリリィの鼻が高くなっているのに気づきクレイが苦笑する。

「昨日の料理も家庭的で美味しかったです。」

「おっ、クレイ君はいい奴だね。
 山登りをして疲れてたでしょ?
 それにハクヤなんかは“龍王”に会ったわけだから、精神的にも胃が疲れてると思ったんだよね。
 だから昨日は疲労回復には十分な料理を用意したの。」

 自分達が想像していた龍の姫巫女像とは、かけ離れた少女であるリリィであるが、彼女の気遣いに感謝するクレイは、自分が彼女を気に入った事に気が付いた。

「ところで、クレイ君。
 君に頼みがあるのだよ。」

 徐に何かを企む様な笑みを作ったリリィは、困惑するクレイに耳打ちした。
 その内容に驚くクレイであったが、訳知った顔で納得した様に頷いた。

「畏まりました。お任せください。」


 出来上がった料理を運ぶ手伝いをするクレイにスサが自然的に近寄ってきた。

「何を言われてた?」
 
 普段、どちらかと言えば軽薄で柔和な思考のスサであるが、護衛としての警戒を怠る事は絶対にない。
 だからこそリリィに耳打ちをされたクレイに、明け透けなく問いかけたのだ。
 
 すると、クレイに口元を緩めた。

「主様の敵を教えてくれって。」

「っ!!
 ・・・フフフ。
 あぁ・・・それは楽しみだな。」

 リリィを警戒していたスサも流石に噛み締めるように笑い出した。

「そうですね。」

 主人にとって、心強い存在が出来た事にクレイもスサも安堵していたのだ。

「ほら、食べよう。
 コテツ~!アリス~!
 ご飯だよぉ!」

 リリィが階段に顔を突っ込み2階に向けて叫んだ。

「掃除終わった。」

 姿を現したコテツが口を開いた。

「洗濯物も干し終わりました。」

 外から戻ってきたアリスが口を開いた。

「2人共、ありがとうね。
 さぁ、お客様も揃った事だし、ご飯にしよう。」

 良い匂いが充満した食卓に一同が会し、和やかな朝食が始まろうとした時だった。

「朝じゃー!訓練を始めるぞい!!
 ヒャッホイ!」

 それは喧しい老師が登場だった。
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