3 / 3
三
しおりを挟む
あの頃はネフィーロも随分と精神を蝕まれていた。
ロンバートの二心は早くに家の者にも知られた。
彼は誰にも隠そうとせず、「ネフィーロの為だから」と悪びれなく答えるのだ。
出来るだけロンバートと浮気相手を視界に入れないよう、家族や友人や侍女たちが苦心してくれた。
それでも気に留めないロンバートは、女連れで我が伯爵家にやって来てはネフィーロへの愛を語る。
彼の言動に、ネフィーロは自領へ静養を決めた。
環境を変え、付き合う人を変え、随分と前向きになった。
家の事など気にしなくて良い。
父の言葉に、心が軽くなった。
侯爵家との縁続きは確かに有益ではあるけれど、娘の心を壊してまで得たいと言うほどの利はない。
結婚がゴールではない。
結婚した後もこれは続くのだぞ?
家の為にと耐えた気持ちも、父の言葉で決壊した。
結婚するまでの辛抱だとどこかで思い込んでいた。
婚姻前に浮気する男が、結婚後にしないはずもない。
ネフィーロの憧れだった男は結局虚像でしかなかったのだ。
今はもう婚約解消も視野に入れられるほど、冷静にもなった。
両親や弟や親友に迷惑をかけてしまっていた。
皆に助けられてようやく一人で立てるようになったのだ。
「気づいたか」
頭の痛みに顔をしかめた。
「睡眠薬。よく効いていたな」
なに…?声にはならず、息が漏れるような音にしかならない。
先程の男の顔が目の前にあった。
「あの男への復讐を考えた」
男の顔が迫る。
「あんたを奪うことにするよ」
ネフィーロは乱暴に唇を奪われた。
ロンバートの二心は早くに家の者にも知られた。
彼は誰にも隠そうとせず、「ネフィーロの為だから」と悪びれなく答えるのだ。
出来るだけロンバートと浮気相手を視界に入れないよう、家族や友人や侍女たちが苦心してくれた。
それでも気に留めないロンバートは、女連れで我が伯爵家にやって来てはネフィーロへの愛を語る。
彼の言動に、ネフィーロは自領へ静養を決めた。
環境を変え、付き合う人を変え、随分と前向きになった。
家の事など気にしなくて良い。
父の言葉に、心が軽くなった。
侯爵家との縁続きは確かに有益ではあるけれど、娘の心を壊してまで得たいと言うほどの利はない。
結婚がゴールではない。
結婚した後もこれは続くのだぞ?
家の為にと耐えた気持ちも、父の言葉で決壊した。
結婚するまでの辛抱だとどこかで思い込んでいた。
婚姻前に浮気する男が、結婚後にしないはずもない。
ネフィーロの憧れだった男は結局虚像でしかなかったのだ。
今はもう婚約解消も視野に入れられるほど、冷静にもなった。
両親や弟や親友に迷惑をかけてしまっていた。
皆に助けられてようやく一人で立てるようになったのだ。
「気づいたか」
頭の痛みに顔をしかめた。
「睡眠薬。よく効いていたな」
なに…?声にはならず、息が漏れるような音にしかならない。
先程の男の顔が目の前にあった。
「あの男への復讐を考えた」
男の顔が迫る。
「あんたを奪うことにするよ」
ネフィーロは乱暴に唇を奪われた。
応援ありがとうございます!
2
お気に入りに追加
455
この作品は感想を受け付けておりません。
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる