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ホボロンは学園で出会った子爵令嬢と大恋愛の末、結ばれた。
当時、婚約者だった公爵令嬢のシェラティエラを捨て、子爵令嬢を選んだ。
父や周囲に子爵令嬢を寵妃に据えれば良いと言う言葉に反発し、王妃にと望んだ。
王妃にできぬなら王籍から抜けると脅し、両親に認めさせた。
しかしそれは間違いだった。結局、父たちの言葉が正しかった。
彼女は努力した。それは認める。
だが、努力だけではどうにもならないこともあった。
王妃の資質。
一時の感情で流されてはならぬ。
常に感情を殺し、表に出してならぬ。
腹の中を相手に悟られるようでは、国が傾く。
王族故下位貴族が知らぬ、後ろ暗い機密を知る立場にある。
婚姻し、子爵令嬢は王太子妃となった。
王族に名を連ね、機密を守るための自害用の道具を受け取ると、怯え恐怖した。
「わたしは、ただ、お姫様になりたかっただけ。ホボロンの奥さんになりたかっただけ。
聞きたくもない話を聞かされた上に、自刃用の短剣まで渡されるなんて、こんなの聞いてない…」
彼女には国母となる覚悟はなかった。
王家の綺麗とは言い難い暗部を聞かされ、人間不信に陥り引きこもるようになった。
王妃に公務の出来る側妃を娶れと言われ、シェラティエラを真っ先に上げた。
彼女は婚約者として妃教育を修了していた。
彼女なら、とすぐさま実家の公爵家に手紙を出した。
「…シェラティエラはもう王都にいない…?」
返ってきた手紙には、婚約破棄後、領地に引っ込んだという。
しかも、結婚し子もいるという。
ホボロンがシェラティエラに婚約破棄を命じたのは十代後半。今はもう二十代半ば。
年頃の女が結婚し、子を成すには十分な期間だった。
当時、婚約者だった公爵令嬢のシェラティエラを捨て、子爵令嬢を選んだ。
父や周囲に子爵令嬢を寵妃に据えれば良いと言う言葉に反発し、王妃にと望んだ。
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しかしそれは間違いだった。結局、父たちの言葉が正しかった。
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だが、努力だけではどうにもならないこともあった。
王妃の資質。
一時の感情で流されてはならぬ。
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彼女なら、とすぐさま実家の公爵家に手紙を出した。
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返ってきた手紙には、婚約破棄後、領地に引っ込んだという。
しかも、結婚し子もいるという。
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