筆頭婚約者候補は「一抜け」を叫んでさっさと逃げ出した

基本二度寝

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「ええっと、殿下…それは」
「ローレンシア。君には本当に申し訳ないと思っている。側妃に関しても君以外から選ぶつもりだ」

「!!」「!?」

ローレンシアだけではない、他の候補令嬢も驚き、顔を見合わせていた。

「…何か質問はあるか?」

ローレンシアも他の令嬢も一言も発さない。
これはあまりにショックが強すぎてしまったかと、少し後悔した。



『婚約破棄を告げる?』
『そうです!ショック療法ですね!』
『しかし…そんなことをして本当に婚約破棄になったらローレンシアと婚姻が出来ないのではないか。それだと本末転倒で』

男爵令嬢の案とは、他に好いた女がいるから婚約破棄を突きつけ、ショックから恋心を自覚させるというものだった。

『王太子殿下って頭良いのに馬鹿なのですね』

男爵令嬢の言葉に、王太子は少しムッとしたが、護衛の騎士が剣の柄に手を掛けたのに気づき、冷静になった。
もちろん護衛には視線を送って止めさせた。

『どういうことだ?』
『この国で一番偉いのは国王陛下ですよ?』
『そうだ』
『だったら、殿下が「婚約破棄だ」って言ったところで、陛下が認めてないのならそれはただの戯言です』
『…』
『逆に「今すぐ結婚だ!」といったところで、それが現実にはなりませんよね?決定権はにしかないんですから』

『…なるほど。その場しのぎの嘘、というやつか』

『そうです』

王太子は真っ当に生きてきた。
嘘を吐く事は悪だと学んでいた。

幼い頃、勉強の時間が嫌で、教育係から逃げ出し「教師が来なくて授業が無くなったから、お父様、遊んで欲しい」と父に甘え、嘘を吐いてしまったことがある。
そして、父と過ごし、本当にその日の授業はなくなった。
その時ばかりは喜んだけれど、翌日から教師は顔を見せなくなった。
過保護な父が裏で手を回した。
王太子の我儘で、教育係は職を失った。
それを手放しで喜べるほど幼くはなかった。

自分の安易な発言のせいだと恐怖し、嘘をついたら大変な事になるのだと王太子はその時学んだのだ。

『…嘘をつくのは』
『なら、止めます?私も無理に強行しなくても良いと思いますよ。他の方の言うようにのんびり行ったっていいんですから』

のんびりはしていられない。
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