筆頭婚約者候補は「一抜け」を叫んでさっさと逃げ出した

基本二度寝

文字の大きさ
6 / 14

しおりを挟む
「ローレンシア?」
「あ、申し訳ありません。急なことで驚いてしまって…」

珍しく動揺する彼女を見た。
普段は隙のない彼女が、戸惑っているのだ。

王太子は男爵令嬢に目配せをした。

『畳み掛ける』
『プラン2、了解』


「ローレンシア。何故君が側妃候補からも外されたか、わかるかい?」

「えっ…ええっと。申し訳ありません…わかりかねます」

王太子は少し顎を上げて、見下すような顔をした。

「それは!君が、此方の男爵令嬢に嫌がらせの行為を行っていたと知ったからだ」
「殿下っ私…とても恐ろしかったです!」

男爵令嬢は、王太子の袖を掴んでひ弱な令嬢を演じた。

ローレンシアも、他の婚約者候補の令嬢も目を瞬かせてこの演劇を鑑賞している。

「君のような人間は…処、」

(処刑は重すぎるな)

「国外に追放くらいはせねばならぬだろうな!!」

「殿下!そんな!」
「ローレンシア様が有りえません!」

本人の自己弁護より先に、他の令嬢がローレンシアを庇った。
ローレンシアかそのような人間でない事は、王太子の方が知っている。

あとは、ショックを受けたローレンシアの反応を見て、ネタバラシをする。

男爵令嬢は、この日のためにせっせと長布に刺繍をしていた。

【ドッキリ大成功】と書かれた言葉の意味はよくわからなかったけれど。


ローレンシアは彼女を庇う令嬢の肩に手を置いた。

「どうも皆様、どうやら私は一抜け出来そうですわ!」
「っ!ローレンシア様っ!」

にやりと悪人のような笑みを浮かべるローレンシアに、令嬢たちは青くなった。

「かしこまりました!殿下!!私は遠い空の下からこの国の発展をお祈りしております!」

淑女の鏡と言われたローレンシアは、足音もさせずにものすごい勢いでこの場を去った。

「「「えっ?」」」

王太子も、男爵令嬢も、婚約者候補の令嬢らも一瞬のことに呆然とした。

男爵令嬢の出しそびれた【ドッキリ大成功】の長布は、はたはたと風に靡いていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約破棄まで死んでいます。

豆狸
恋愛
婚約を解消したので生き返ってもいいのでしょうか?

【完結】嗤われた王女は婚約破棄を言い渡す

干野ワニ
恋愛
「ニクラス・アールベック侯爵令息。貴方との婚約は、本日をもって破棄します」 応接室で婚約者と向かい合いながら、わたくしは、そう静かに告げました。 もう無理をしてまで、愛を囁いてくれる必要などないのです。 わたくしは、貴方の本音を知ってしまったのですから――。

【完結】「『王太子を呼べ!』と国王陛下が言っています。国王陛下は激オコです」

まほりろ
恋愛
王命で決められた公爵令嬢との婚約を破棄し、男爵令嬢との婚約を発表した王太子に、国王陛下が激オコです。 ※他サイトにも投稿しています。 「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」 小説家になろうで日間総合ランキング3位まで上がった作品です。

妹に魅了された婚約者の王太子に顔を斬られ追放された公爵令嬢は辺境でスローライフを楽しむ。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。  マクリントック公爵家の長女カチュアは、婚約者だった王太子に斬られ、顔に醜い傷を受けてしまった。王妃の座を狙う妹が王太子を魅了して操っていたのだ。カチュアは顔の傷を治してももらえず、身一つで辺境に追放されてしまった。

【完】ある日、俺様公爵令息からの婚約破棄を受け入れたら、私にだけ冷たかった皇太子殿下が激甘に!?  今更復縁要請&好きだと言ってももう遅い!

黒塔真実
恋愛
【2月18日(夕方から)〜なろうに転載する間(「なろう版」一部違い有り)5話以降をいったん公開中止にします。転載完了後、また再公開いたします】伯爵令嬢エリスは憂鬱な日々を過ごしていた。いつも「婚約破棄」を盾に自分の言うことを聞かせようとする婚約者の俺様公爵令息。その親友のなぜか彼女にだけ異様に冷たい態度の皇太子殿下。二人の男性の存在に悩まされていたのだ。 そうして帝立学院で最終学年を迎え、卒業&結婚を意識してきた秋のある日。エリスはとうとう我慢の限界を迎え、婚約者に反抗。勢いで婚約破棄を受け入れてしまう。すると、皇太子殿下が言葉だけでは駄目だと正式な手続きを進めだす。そして無事に婚約破棄が成立したあと、急に手の平返ししてエリスに接近してきて……。※完結後に感想欄を解放しました。※

【完結】何でも奪っていく妹が、どこまで奪っていくのか実験してみた

東堂大稀(旧:To-do)
恋愛
 「リシェンヌとの婚約は破棄だ!」  その言葉が響いた瞬間、公爵令嬢リシェンヌと第三王子ヴィクトルとの十年続いた婚約が終わりを告げた。    「新たな婚約者は貴様の妹のロレッタだ!良いな!」  リシェンヌがめまいを覚える中、第三王子はさらに宣言する。  宣言する彼の横には、リシェンヌの二歳下の妹であるロレッタの嬉しそうな姿があった。  「お姉さま。私、ヴィクトル様のことが好きになってしまったの。ごめんなさいね」  まったく悪びれもしないロレッタの声がリシェンヌには呪いのように聞こえた。実の姉の婚約者を奪ったにもかかわらず、歪んだ喜びの表情を隠そうとしない。  その醜い笑みを、リシェンヌは呆然と見つめていた。  まただ……。  リシェンヌは絶望の中で思う。  彼女は妹が生まれた瞬間から、妹に奪われ続けてきたのだった……。 ※全八話 一週間ほどで完結します。

真実の愛を見つけた王太子殿下、婚約破棄の前に10年分の王家運営費1.5億枚を精算して頂けます?

ぱすた屋さん
恋愛
「エルゼ、婚約を破棄する! 私は真実の愛を見つけたのだ!」 建国記念祭の夜会、王太子アルフォンスに断罪された公爵令嬢エルゼ。 だが彼女は泣き崩れるどころか、事務的に一枚の書類を取り出した。 「承知いたしました。では、我が家が立て替えた10年分の王家運営費――金貨1億5800万枚の精算をお願いします」 宝石代、夜会費、そして城の維持費。 すべてを公爵家の「融資」で賄っていた王家に、返済能力などあるはずもない。 「支払えない? では担保として、王都の魔力供給と水道、食料搬入路の使用を差し止めます。あ、殿下が今履いている靴も我が家の備品ですので、今すぐ脱いでくださいね?」 暗闇に沈む王城で、靴下姿で這いつくばる元婚約者。 下着同然の姿で震える「自称・聖女」。 「ゴミの分別は、淑女の嗜みですわ」 沈みゆく泥舟(王国)を捨て、彼女を「財務卿」として熱望する隣国の帝国へと向かう、爽快な論理的ざまぁ短編!

婚約者が聖女様と結婚したいと言い出したので快く送り出してあげました。

はぐれメタボ
恋愛
聖女と結婚したいと言い出した婚約者を私は快く送り出す事にしました。

処理中です...