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獣人村たぶんスローライフ編

146話 のんびりした1日(1)

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 美味しい大きな鶏肉料理を食べた夏希。

 夏希は朝早く目が覚めて、以前に獣人村で日課にしていた朝練を再開させた。

 玄関を出て何もない庭で木剣を構え、敵をイメージしながら鋭く何度も振る。足の動きも気を付けながら左右に細かく動き、突進と後退を素早く繰り返す。その動きは洗練されてきている。

「いい動きをしていたのじゃ」

「まあまあかな」

 いつの間にかスズランと真冬が見ていた。そして真冬は落ちている小枝を拾うと夏希の前までトコトコと歩いてくると手に持つ小枝を構えた。

「相手 してやる」

 夏希は真冬の持つ細っそい小枝を見る。

「真冬、俺を舐めすぎだ。怪我をするぞ」

「瞬歩」 「ペシッ!」

 真冬の持つ小枝が夏希の太ももを叩く。

「痛てっ!」

「油断大敵 雨あられ」

(ぐぬぬぬ、あの眠た眼で誇らしげな笑みをしやがって……その顔を歪めてやりたいの!)

 夏希はトップスピードで真冬に向かい、遠慮無しに木剣を小刻みに振り連打する。

「ビシッ!ひゃ! バシッ!ひょ!」

 夏希の一振毎に真冬は木剣を躱して小枝で太ももの同じ所を正確に叩いていく。

 約5分の模擬戦は真冬の完勝であった。

「太もも痛いんですけどー」

(やっぱり真冬は飛び抜けて強いな。あれもうAランク越えてるんじゃないか?)

 真冬は小枝で夏希の頭をペシペシして話す。

「動きは悪くない 私が強いだけ」

(やっぱりその顔を歪めてやりたい……)

「はぁ、今日の朝練は終わりだ。汗かいたな。昨日はクリーンで済ませたから今から朝風呂でも入るか。我が家で初めてのお風呂だな。お前ら!俺が1番に入るからな。判ったな!」

「3人で一緒に入ればいいじゃろ?」

 夏希はスズランの言葉を聞くと2人を順番に足から上へと舐めるように見ていく。

(スズランは大人だけど見た目は幼女。スタイルはいいがつるペタで問題無さそうだ。次は真冬だ。背は低いが幼女では無くて少女?いや普通ぐらいか?でもコイツもつるペタだから問題無いのか?)

「夏希、冗談だから真剣に考えるのはやめるのじゃ。真冬を見る目が犯罪者してたのじゃ」

「ははは、そ、そんなことは考えても無いし見てもないよ。さあ、お風呂でさっぱりしてからの朝御飯は美味しいぞ。真冬、俺は風呂の準備するから朝飯頼めるか?あと、スズランにも料理を教えてやってくれ」

「判った スズラン行くぞ」

 真冬は逃げ出そうとしていたスズランを「瞬歩」で追い付き捕まえる。そして小脇に抱えて連れていく。

 夏希はお風呂場へ向かい魔法で湯船にお湯を入れる。そして備品が無いのでネットスキルで購入して配置していく。(こんなもんかな)

「おーい!先にお風呂に入ってくるからなー」

「「はーい」」

 夏希は脱衣所で素早く服を脱ぎ、スキップしながらお風呂場に入り、体と頭を洗って湯船に浸かる。

「ふあーー、我が家で初風呂。最高だな!」

 ゆったりとした湯船に足を伸ばして寝転ぶように浸かっている夏希。

(今日は1日のんびりしようかな)

 夏希は2人を待たせないよう早めに上がり、ラフな格好に着替えてリビングに向かった。

「あ!夏希お兄ちゃん、おはよう。アンナ寂しくて会いに来ちゃった。うふふ」

 サーラ仕込みのイチコロ挨拶であった。

「アンナちゃん、おはよう。朝御飯は食べた?あと、お風呂入ってきなよ。気持ちいいぞ」

「朝御飯はまだなの。お風呂は2人と一緒に入ろうって話をしてたの」

(仲良くなってるみたいで良かったよ)

「真冬、交代するよ」

 夏希は真冬と交代して朝御飯を作る。

(今日の朝御飯は、目玉焼き、ソーセージ、サラダ、コーンポタージュ、クロワッサンか。このソーセージが焼けたら完成だな)

 夏希はソーセージを焼き上げるとテーブルに出来た料理を並べていく。飲み物はポット入りで何種類かを準備した。これで準備完了だ。

(3人がお風呂から上がるまでコーヒーでも飲もうかな。それにしてもガイモ君は便利だな。真冬に持たせておけば、朝御飯の材料なんか俺が居なくても準備出来るもんな。あとで顔をピカピカに磨いてやるかな)

「「「ドタドタドタ!」」」

 走ってくる足音3人分。

「バタンッ!」

「夏希!あの湯船に浮かんでる黄色い軍団はなんなのじゃ!ヒヨコのようで少し違うのじゃ!」

 ペンギンパーカーを着たスズランが叫ぶ。

「あれは黄色いアヒル軍団だ。可愛いだろ?」

「素敵なお風呂なのじゃ。お腹を触ると大きいのは「グァー」と鳴いて小さいのは「ピヨピヨ」と鳴いて可愛いのじゃ。良くやった夏希」

 次は緑のカエルパーカーを着た真冬が話す。
(そのパーカー買ったのね)

「お風呂の椅子と桶 カエルさん 素敵」

 最後はアンナが羨ましそうな顔をして話す。

「夏希お兄ちゃん、私も2人が着てる可愛い服が欲しいの……でもお小遣い無いの……お野菜でいい?」

(そのおねだりの仕方、可愛いでないか)

「アンナちゃんは俺のお姫様だから、今回は俺からプレゼントするよ。真冬、ガイモ君の登場だ」

 真冬はカエルパーカーのポケットからスマホサイズのガイモ君を出して夏希に渡す。

(さて、何がいいかな?スズランが青のペンギン、真冬が緑のカエル、お!そう言えば黄色のピカピカのルンバ師匠が居たな。と言うことは……赤とピンクが揃えば完成するな。[幼女レンジャー]が)

 夏希は苦悩する。(赤とピンクの動物?)

(ピンクはブタ……あとウサギもありか。赤は…カニしか思い付かない。赤い狐…あれはうどんだ。サソリ?何かキラキラ服の歌手が歌ってたイメージが強すぎる。カニとサソリは動物違うし、もうピンクだな)

「アンナちゃん、この子はガイモ君だ。これで買いたいものを見ることが出来るんだよ」

 夏希はガイモ君をタブレットサイズにし、ピンクの動物着ぐるみのページを開きアンナに見せる。

「アンナちゃんはピンクが似合うと思うよ」

「うわぁ、綺麗なの!これは絵なの?ガイモ君凄いね。可愛い服がたくさんあるの」

 アンナは初めて見るカラー画像に驚いていた。そして「うむむ」と悩むこと3分。

「このブタさんがいいの!」

(えっ!ウサギさんじゃないの?)

「アンナちゃん?隣のウサギさん良くない?」

「ん?ブタさん可愛いよ?」

 アンナは小首を傾げて夏希をじーと見る。

「う、うん、ブタさんは最高だね!」

 ルル仕込みのアザと可愛い攻撃である。

 夏希からブタさんパーカーを受け取ったアンナは、その場でシャツを脱いでパーカーを着ると、満面の笑顔でスズランと真冬の所に行き「三姉妹なの!」と言って跳び跳ねて喜んでいた。

(デジカメかビデオ買おうかな?)

 その後は、4人で美味しく朝御飯を頂きました。

「「「「ごちそうさまー」」」」


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