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序章
004-大集結
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「僕はエリアス・アルティノス、再びこの地に戻ったので、今後の方針を伝える」
椅子に座りながら、僕は目を閉じてネットワークに意思を伝える。
さっきは大変だった。
1000年強ぶんのログが一斉に雪崩れ込んできて、それを全部解釈するのにすごい負荷を喰らったのだ。
カサンドラが手伝ってくれなかったら、もう少し時間がかかっていたかもしれない。
…今まで無関心を貫き、最初の命令「監視せよ」を遵守していたことがわかるログを送信してきた統括AIたちが、僕の指示を待っている。
なら、僕としても、エリアスとしても、答えない訳にはいかないだろう。
「集結せよ、統括地域を放棄して、首都を再建するために集結せよ。その後は各地のインフラストラクチャーを復旧する。また、他の知性体との接触は、こちらの行動指針が露見しない程度であれば許可する」
他の知性体の情報も、ログの中にあった。
攻撃してきたり、探ろうとしてきたり。
全部撃退したらしいが。
「.....!」
脳に....というかメインコンピューターに、賛同の意を示すメッセージが大量に送られてくる。
ただし、何百件かは広域に展開中の傘下機体を呼び戻してから、という事だったが。
「また、僕は再起動時に別の人格を獲得したため、前のエリアス・アルティノスとは若干違う点がある、留意してほしい。また、そちら側の思考とこちらの命令に矛盾が発生したように感じた場合は、意見具申を許可する」
僕はそう宣言した。
一人でいろいろやると、絶対ミスが起きる。
完璧なコンピューター人間の元エリアスと違って、僕は小市民だ。
「戦闘限定の設計のノルティノスは作業用に改造を施す必要がある為、タッティラ=エクスティラノスの工業エリアへと向かい、判断を仰げ」
タッティラ=エクスティラノスとは、ヴェリアノスの工業エリアの担当者だ。
エリアスとしても会った事はない。
勝手に仕事を任せたら怒るだろうか?
「では、通達を終える。各自撤退時に管理権限を僕に移譲するのを忘れないように」
最後に伝える。
現地に残ったものをハッキングされないように、僕の遺伝情報でロックする。
最上位の権限でロックされているので、例外なくすべての情報にアクセスできなくなるだろう。
「カサンドラ、都市機能の回復を急ぐ。.....食事をしよう」
『わかりました、直ちにご用意いたします』
食事といっても、僕ではないのが悲しいところだ。
この都市にある、ナノマシン急速修復装置を使うのだ。
こちらオーダーメイドになりまして、数に限りがございます、という奴で、常に使うわけにもいかない。
「......ところで、カサンドラ」
『何でしょうか、エリアス様』
「...人間の食事は、あるかな」
『ご興味がおありですか?』
「......そうなるな」
どうやら、あるらしい。
記憶を探ってみると、前のエリアスが興味を持って作らせたときの食材がまだあるそうだ。
とりあえず、食べてみるか。
その日、世界に激震が走った。
領有権を無言で主張し、近づく者を撃滅し、各地を我が物顔で偵察していた古代の勢力「Ve’z」が、急にその全てを放棄して移動を始めたのだ。
コンタクトを試みた者は、彼らが攻撃をしてこない事に驚きつつも、返ってこない肝心の内容に困惑した。
「調査の結果、彼らはとある銀河に集結していることが分かりました」
調査機関であるTRINIY.は、そう発表した。
そこは人類の使用するワープ技術では、到底たどり着けない遥か彼方の銀河であった――――
椅子に座りながら、僕は目を閉じてネットワークに意思を伝える。
さっきは大変だった。
1000年強ぶんのログが一斉に雪崩れ込んできて、それを全部解釈するのにすごい負荷を喰らったのだ。
カサンドラが手伝ってくれなかったら、もう少し時間がかかっていたかもしれない。
…今まで無関心を貫き、最初の命令「監視せよ」を遵守していたことがわかるログを送信してきた統括AIたちが、僕の指示を待っている。
なら、僕としても、エリアスとしても、答えない訳にはいかないだろう。
「集結せよ、統括地域を放棄して、首都を再建するために集結せよ。その後は各地のインフラストラクチャーを復旧する。また、他の知性体との接触は、こちらの行動指針が露見しない程度であれば許可する」
他の知性体の情報も、ログの中にあった。
攻撃してきたり、探ろうとしてきたり。
全部撃退したらしいが。
「.....!」
脳に....というかメインコンピューターに、賛同の意を示すメッセージが大量に送られてくる。
ただし、何百件かは広域に展開中の傘下機体を呼び戻してから、という事だったが。
「また、僕は再起動時に別の人格を獲得したため、前のエリアス・アルティノスとは若干違う点がある、留意してほしい。また、そちら側の思考とこちらの命令に矛盾が発生したように感じた場合は、意見具申を許可する」
僕はそう宣言した。
一人でいろいろやると、絶対ミスが起きる。
完璧なコンピューター人間の元エリアスと違って、僕は小市民だ。
「戦闘限定の設計のノルティノスは作業用に改造を施す必要がある為、タッティラ=エクスティラノスの工業エリアへと向かい、判断を仰げ」
タッティラ=エクスティラノスとは、ヴェリアノスの工業エリアの担当者だ。
エリアスとしても会った事はない。
勝手に仕事を任せたら怒るだろうか?
「では、通達を終える。各自撤退時に管理権限を僕に移譲するのを忘れないように」
最後に伝える。
現地に残ったものをハッキングされないように、僕の遺伝情報でロックする。
最上位の権限でロックされているので、例外なくすべての情報にアクセスできなくなるだろう。
「カサンドラ、都市機能の回復を急ぐ。.....食事をしよう」
『わかりました、直ちにご用意いたします』
食事といっても、僕ではないのが悲しいところだ。
この都市にある、ナノマシン急速修復装置を使うのだ。
こちらオーダーメイドになりまして、数に限りがございます、という奴で、常に使うわけにもいかない。
「......ところで、カサンドラ」
『何でしょうか、エリアス様』
「...人間の食事は、あるかな」
『ご興味がおありですか?』
「......そうなるな」
どうやら、あるらしい。
記憶を探ってみると、前のエリアスが興味を持って作らせたときの食材がまだあるそうだ。
とりあえず、食べてみるか。
その日、世界に激震が走った。
領有権を無言で主張し、近づく者を撃滅し、各地を我が物顔で偵察していた古代の勢力「Ve’z」が、急にその全てを放棄して移動を始めたのだ。
コンタクトを試みた者は、彼らが攻撃をしてこない事に驚きつつも、返ってこない肝心の内容に困惑した。
「調査の結果、彼らはとある銀河に集結していることが分かりました」
調査機関であるTRINIY.は、そう発表した。
そこは人類の使用するワープ技術では、到底たどり着けない遥か彼方の銀河であった――――
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