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完全開放!! 爽快バトル編
091:ファルチェと狼燕
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「覚悟のなさがラスボスを生む、か。陳腐だがよくある話だ」
異世界の人間だろうが人は人。
それを殺す覚悟が俺にはなかった……結果、目の前の敵を生むか。
ジジイが言ってたなぁ。ヤレる時には躊躇なく殺れ、と。
さもなくば、殺されるは俺とよく言われたものだが……理解をしていたつもりだったが、どうやら全く理解をしていなかったようだ。
こんなヘタレな俺の優しさを、目の前の聖眼様は見逃してはくれないわなぁ。
あぁ~嫌だ。人間は斬りたく無い……なんて甘えは通じない世界だ。
覚悟を決めろ戦極。俺が散ったら美琴が迷う。
これ以上甘えた事を言う暇があったら、まずは目の前のバケモノを駆逐しろ。
『……覚悟、決まったようですね』
「いやだねぇ。本当に俺の心を覗いているじゃね?」
『否定。私にそのような力はありません。あっても教えません』
「教えねぇのかよ!? ますます怪しい……まぁいい。おかげでほぐれたぜ、色々とな」
戦極が現実に向き合えたころ、殴られたエカテリーナはヒールで顔を癒やす。
醜く腫れていた右頬は瞬時に回復し、怒りと屈辱で叫ぶ。
「どうやって……どうやって聖眼から開放されたッ!?」
「どうもなにもなぁ?」
『回答。元々そんな陳腐な瞳術に、かかっていなかったからです』
「なっ……んですって!?」
「そういう事だ。俺は悲恋美琴の莫大な呪いを制御できる。そんな俺が、今さらその程度の瞳術でどうにかなるかつーの」
その程度。
ありえない言葉に震え聞くエカテリーナ。
そんな状況に、さらなる追い打ちをかける戦極。
「エカテリーナよく聞け……お前のためじゃない、俺のために二百十八秒まってやる。だからここから今すぐ消えろ」
「……ええ、消えますわ。下等種、お前を殺して首を持ってねええええ!!」
エカテリーナは背中の羽で飛び上がると、詠唱破棄した魔法で右手に空気の大鎌――エアファルチェを作り出す。
それを七回振り回し、急降下しながら左手に魔法陣を構築つつ襲ってくる。
「エアファルチェに切り刻まれて死になさい下等種!」
エカテリーナとの距離、八メートル。
戦極はため息とともに、悲恋をまっすぐ構え持つ。
残り六メートル。エカテリーナの左手の魔法陣が起動し、赤い輝きを放った瞬間。
『ッ!? 警告。空間の歪みを感知。空間座標が大きく変動します』
「なに? ――マジかよッ!?」
戦極が立っていた場所の石畳が歪み始め、動いてもいないのにエカテリーナの方へと動く。
いや、床というよりも空間そのものが移動していた。
「死になさい、ダストホール!!」
亜空間へと引き込まれているのか、どうしようもない状況。
背後へと大きく飛び退くが、空間そのものが引き込まれているので意味がない。
焦る戦極。
そこに無機質な声の娘が戦極の左肩に手を添え、そっと語りかける。
『告。左斜め前の柱を注視』
「ッ!? サンキュウ美琴!」
戦極は一緒に移動している柱を見つけると、妖気で足を強化してそこへ飛び込む。
背後へは逃れないが、前方には行ける事を美琴は見破る。
それにより、エカテリーナのエアファルチェの死角へとはいり、斬撃を躱す。
「そんな事で、逃れられるとでも思いましたか? ぶわああああか! 柱ごと首を刎ねてやるッ!!」
戦極が隠れているであろう位置へと、空気の大鎌たるエアファルチェで斬りつける。
絶対のタイミング。確実にエカテリーナは勝利を確信し、エアファルチェを斜め上から斬りつけた。
「そのクビ殺ったあああああああああ!!」
柱を斬りつけた瞬間、妙な手応えとともに、刃の部分が柱へと吸い込まれる。
次の瞬間、柱の向こうから見覚えのある刃が出現。
それはエアファルチェの刃が、自分へと戻ってきたと瞬時にさとる。
だが空気の刃は止まらず、自分の左肩へ食い込みそのまま背後へと消え去った。
「ぐッ――ぎゃあああああ!! わたくしの肩がああああ」
倒れた柱の向こうから、斜め上に悲恋を振り抜いた姿勢の戦極が姿をみせ、不機嫌に言い放つ。
「ジジイ流 狼燕返しだバカヤロウ。自分の牙に噛まれるってのはいいものだろう?」
「クッ……下等種ううううう」
自分が攻撃した武器を破壊され、さらにその武器により負傷するという屈辱的な状況。
痛みと怒りに震えながら、ざっくりと裂けた傷を即座に癒やしつつ、戦極を睨むエカテリーナ。
だがそれも一瞬のことであり、二人は即座に動き出すのであった。
異世界の人間だろうが人は人。
それを殺す覚悟が俺にはなかった……結果、目の前の敵を生むか。
ジジイが言ってたなぁ。ヤレる時には躊躇なく殺れ、と。
さもなくば、殺されるは俺とよく言われたものだが……理解をしていたつもりだったが、どうやら全く理解をしていなかったようだ。
こんなヘタレな俺の優しさを、目の前の聖眼様は見逃してはくれないわなぁ。
あぁ~嫌だ。人間は斬りたく無い……なんて甘えは通じない世界だ。
覚悟を決めろ戦極。俺が散ったら美琴が迷う。
これ以上甘えた事を言う暇があったら、まずは目の前のバケモノを駆逐しろ。
『……覚悟、決まったようですね』
「いやだねぇ。本当に俺の心を覗いているじゃね?」
『否定。私にそのような力はありません。あっても教えません』
「教えねぇのかよ!? ますます怪しい……まぁいい。おかげでほぐれたぜ、色々とな」
戦極が現実に向き合えたころ、殴られたエカテリーナはヒールで顔を癒やす。
醜く腫れていた右頬は瞬時に回復し、怒りと屈辱で叫ぶ。
「どうやって……どうやって聖眼から開放されたッ!?」
「どうもなにもなぁ?」
『回答。元々そんな陳腐な瞳術に、かかっていなかったからです』
「なっ……んですって!?」
「そういう事だ。俺は悲恋美琴の莫大な呪いを制御できる。そんな俺が、今さらその程度の瞳術でどうにかなるかつーの」
その程度。
ありえない言葉に震え聞くエカテリーナ。
そんな状況に、さらなる追い打ちをかける戦極。
「エカテリーナよく聞け……お前のためじゃない、俺のために二百十八秒まってやる。だからここから今すぐ消えろ」
「……ええ、消えますわ。下等種、お前を殺して首を持ってねええええ!!」
エカテリーナは背中の羽で飛び上がると、詠唱破棄した魔法で右手に空気の大鎌――エアファルチェを作り出す。
それを七回振り回し、急降下しながら左手に魔法陣を構築つつ襲ってくる。
「エアファルチェに切り刻まれて死になさい下等種!」
エカテリーナとの距離、八メートル。
戦極はため息とともに、悲恋をまっすぐ構え持つ。
残り六メートル。エカテリーナの左手の魔法陣が起動し、赤い輝きを放った瞬間。
『ッ!? 警告。空間の歪みを感知。空間座標が大きく変動します』
「なに? ――マジかよッ!?」
戦極が立っていた場所の石畳が歪み始め、動いてもいないのにエカテリーナの方へと動く。
いや、床というよりも空間そのものが移動していた。
「死になさい、ダストホール!!」
亜空間へと引き込まれているのか、どうしようもない状況。
背後へと大きく飛び退くが、空間そのものが引き込まれているので意味がない。
焦る戦極。
そこに無機質な声の娘が戦極の左肩に手を添え、そっと語りかける。
『告。左斜め前の柱を注視』
「ッ!? サンキュウ美琴!」
戦極は一緒に移動している柱を見つけると、妖気で足を強化してそこへ飛び込む。
背後へは逃れないが、前方には行ける事を美琴は見破る。
それにより、エカテリーナのエアファルチェの死角へとはいり、斬撃を躱す。
「そんな事で、逃れられるとでも思いましたか? ぶわああああか! 柱ごと首を刎ねてやるッ!!」
戦極が隠れているであろう位置へと、空気の大鎌たるエアファルチェで斬りつける。
絶対のタイミング。確実にエカテリーナは勝利を確信し、エアファルチェを斜め上から斬りつけた。
「そのクビ殺ったあああああああああ!!」
柱を斬りつけた瞬間、妙な手応えとともに、刃の部分が柱へと吸い込まれる。
次の瞬間、柱の向こうから見覚えのある刃が出現。
それはエアファルチェの刃が、自分へと戻ってきたと瞬時にさとる。
だが空気の刃は止まらず、自分の左肩へ食い込みそのまま背後へと消え去った。
「ぐッ――ぎゃあああああ!! わたくしの肩がああああ」
倒れた柱の向こうから、斜め上に悲恋を振り抜いた姿勢の戦極が姿をみせ、不機嫌に言い放つ。
「ジジイ流 狼燕返しだバカヤロウ。自分の牙に噛まれるってのはいいものだろう?」
「クッ……下等種ううううう」
自分が攻撃した武器を破壊され、さらにその武器により負傷するという屈辱的な状況。
痛みと怒りに震えながら、ざっくりと裂けた傷を即座に癒やしつつ、戦極を睨むエカテリーナ。
だがそれも一瞬のことであり、二人は即座に動き出すのであった。
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