もふもふ子狐のせいで、廃棄(ゴミ)の烙印を押されたハズレ男。あまりにも酷い扱いをされたので、異世界召喚をした国を爽快バトルにて滅ぼします

竹本蘭乃

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完全開放!! 爽快バトル編

092:大魔法

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「クソガアアアアア!!」
「おいおい、聖眼様。地が出ているぜ?」
「黙れええええ!!」

 エカテリーナはエアファルチェを作り直すと、それを両手で振り回し襲ってくる。
 なみの使い手ならば、それは十分に脅威だし即死レベルの鎌捌かまさばききだ。

 だが相手は三百年練り上げた業をもつ一族の末裔、古廻戦極である。
 
 横薙ぎの大鎌部分に悲恋を斜めに滑らせて、刃の軌道を斜め上にずらす。
 その刃が戦極の髪を三本斬り飛ばし、胴が見えた瞬間戦極は迷いなく斬り込む。

「胴ががら空きだぜ?」
「させるわけが無いでしょう!! エアシールド!!」

 戦極がエカテリーナの腹を一閃する刹那、濃密な空気の塊が出現。
 その圧倒的な空気の塊により、悲恋は弾かれる。

「ったく、これだから魔法ってのは!!」
「魔法も使えない下等種ふぜいに、魔法を論じる資格はないですわ!!」

 弾かれたエアファルチェを、上段から渾身の力で袈裟斬りに振り下ろす。
 だが戦極はそれすら悲恋の先端を、大鎌の先端へと当てその動きを止める。

「そんな馬鹿な!?」
「そう思うよな? 俺もこれが出来るようになるまで、心底そう思ったものさ」

 そのまま戦極は回し蹴りを放ち、エカテリーナを真横に蹴り飛ばす。
 しかしその違和感に気がついた戦極は、とっさにしゃがみこむ。
 直後、蹴り飛ばしたエカテリーナは消失し、頭の上を高速で刃が通り過ぎる。

「チ、蹴ったのは幻影かよ」
『告。違います、幻影ではなく実物が空間移動しました』

 美琴のネタバラシに怒り狂うエカテリーナ。

「なんなのよ貴女!? どうして全て見透かすのよ!!」
『さらに判明。この魔法は連続使用が難しいか、不可能です』
「な……」

 言葉を失うエカテリーナ。
 だがすぐに気を取り直し、襲いかかる。

 そのまま同じ場所で剣戟が積み重なり、周囲の石畳が円形状に崩壊しだす。
 
「その大物でよくやる」
「あたりまえですわ! だからとっとと死になさい!」
 
 互いの足場が崩壊したことで、エカテリーナは大きく背後へと飛び退く。
 と、同時に周囲の状況を確認し、冷静に判断する。

 飛び上がり血糸で攻撃しても、今さら戦極に通じるわけもなく、エアファルチェを投げても弾かれる。
 ならば必殺の瞬間を作り出し、そこへハメ込めば勝機はあると確信。

(この部屋は広いとはいえ、ダストホールをあと一度使えば、崩壊の危険もありますわ。ならばチャンスは一度キリ。そしてアレ・・で一気にケリをつけますわ。そのために使えるものは……ありましたわね)

 少し離れた場所にいる存在を尻目に、エカテリーナは最後の攻撃へとうつる。
 体中の魔力を活性化させ、その準備に入りつつ、仕込みをすませる。

「ここまでですわ下等種。ずいぶんとフザケタ事をしてくれましたが、ここで終いといたしましょう」
「それには同意だ。で、どうする? そんな高いところからでは俺は倒せないぜ?」
「ふふ……だから下等種というのです。さぁ魅せてあげましょう。ホンモノの魔法ってヤツを!!」

 瞬間魔力が膨れ上がり、とてつもない純度に濃縮される。
 それを完治した美琴は悲恋より抜け出し、戦極へと告げる。

『警告。膨大な魔力を感知。大魔法に注意』
「大魔法? まぁそうなんだろうなアレは……」

 エカテリーナの周囲に展開する魔法陣。
 その異常さに、戦極は奥歯を噛みしめ覚悟を決める。

「……美琴、残り何秒だ?」
『ビッチが展開中の魔力が臨界に達する時刻と、同時刻と予想』
「このまま斬り込んでも無理か?」
『現在の妖気で使える業では、あの風のシールドを突破するには強度不足です』
「ハァ。じゃあやっぱりお前の読み通り、妖気を五割ためねぇと勝てない、か」
『是。それが確実かと思われます』
「了解美琴……じゃあ博打といきますか。ドSビッチの手加減する優しさに期待だねぇ」

 ジット見つめながら、戦極は放たれるであろう大魔法にそなえる。
 エカテリーナは大きく手を左右から頭上へかかげ、いよいよその準備がととのったようであった。
 だが戦極には一つ謎がある、どうして自分を殺そうとするのかと言うことだ。
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