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完全開放!! 爽快バトル編
094:再会
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◇◇◇
エカテリーナがひっそりと二度目の絶命を迎えているころ、戦極は暗闇の通路にショックをうけていた。
「無い! どこに消えちまったんだよ、俺のスカルビーム!!」
『ハァ~困った主様なんだよ。また変な物をひろったんでしょ?』
「ちがうッ!! あいつは、スカルビームはな、俺の……半身だッ!!」
ちらりと周囲を確認する美琴。
ぼんやりと眼光が消えかけの、怪しげなドクロを発見。
どんよりと呆れた視線をむけつつ、ドクロへ向かって一言。
『……成仏してほしんだよ』
悲恋より妖力で出来た短刀が放たれると、淡い光を放つドクロが真っ二つになる。
それに気がついた戦極は、このよの終わりな悲鳴をあげ涙を流す。
「ぬああああああああ!! 俺のスカルビームウウウウウウ!!」
『もぅ、分かっているのかな? あれは無理やりここに留まっている存在なんだよ。だから早く還してあげなきゃなんだよ?』
涙に濡れる戦極は、天に登っていくスカルビームを見て一言。
「お前こそが俺の伴侶だった。ありがとうスカルビーああああああ!?」
伴侶という言葉に思うところがあったのか、美琴はまだ原型があったスカルビームをさらに砕く。
おかげで天へと昇ることができ、スカルビームの中の人が手を振ってさっていく。
「さよ~なら~。元気で暮らしてくれよ~! 死んでるけど」
『さ、茶番も終わったことですし、行くんだよ』
「ちょっとは俺の心をいたわってくれよ! つか……暗くて見えねぇんだが?」
スカルビームを失った戦極は、また暗闇へと戻った通路を見てげんなりとする。
その言葉に美琴も流石に悪いと思い、後頭部をかきながら悲恋から抜け出でた。
「うぉ!? 突然出てくるなよ、幽霊が出たかと思ったぞ!」
しっかしコイツ。どこからどう見ても、生きているようにしか見えないよなぁ。
どうしてこんなに瑞々しい肌と、唇をしているんだよ。
瞳なんか生気に満ちあふれ、死者とはまったく思えないぞ?
それに……。
「突然出てきて悪いかな? かなぁ?」
「あいだだだだッ! つねるなよ」
ほほが痛い……そう、生暖かい手でつねられた。
なんで死んでるつーか、幽霊なのにほほに触れる!?
おかしいだろう? 幽霊なのに質量があるとかさぁ。
たまに思うんだが、コイツは双子で、生身の妹でもいるんじゃないかと思うんだが。
「双子でもないし、ちゃんと死んでいるんだよ?」
「やっぱり心のぞかれてますぅ!?」
「邪な考えは顔にでるものなんだよ。もぅ……ほら、これならどうんだよ?」
うぉ!? なぜ青白い人魂を六つも出す。
この真っ暗な通路に人魂……しかも! なんか付いてるぞ、俺を見ているぞ。
「あの、さ。恐怖に呑み込まれた、悲痛な顔のオッサンが見ているんだが……」
「し、しかたがないんだよ。人魂だから、恨みの炎で燃えているものなんだよ?」
「そんなドヤ顔で言われても、マジ怖いんだが」
「ぅっ。だって悲恋を盗もうとしたり、封印しようとするとするからぁ」
本当に恐ろしい妖刀だよ。
触れただけで呪い殺し、あげくには狂い死ぬまでそのまま放置とか……怖すぎる。
俺も昔死にそうになった、あんな状況じゃなければ、絶対に手にとることなんてしなかったわ。
まぁ何にせよ、明るくなったのはいいか。
すげぇ不気味だけどな! って、何かがくる。
「「む!? あやしげな気配ッ!!」」
「美琴……」
「うん。大きな力が……って、小さくなったんだよ? あ、これって」
「なんだか聞き覚えのある、あざとい足音が聞こえてきたぞ」
「聞こえるんだよ。ぽむぽむって」
あぁ、この角の奥から聞こえてくる、あざとい足音。
やつか、ヤツが来たのか――。
「「わん太郎!」」
「わぁ~あるじぃ! ワレは寂しかったんだワンよ~!!」
うわっぷ!! 顔に飛びつくな!
ひんやりモフモフで気持ちいいけど、なんだか砂でジャリってするからやめてくれ。
「無事でよかったんだよ、わん太郎。心配していたんだよ?」
「ふふん。ワレはエライから、ちゃんとお掃除をしてきたんだワンよ」
「掃除だぁ? 何をしてきたんだよ」
「えぇ~? それはねぇ」
とりあえず、つまんで顔の前に持って話を聞いた見たが……。
マジかよ!? エカテリーナのヤツ生きていたのか!
しかも復活しただと? 異世界ヤバすぎだろ。
「駄犬のくせに頑張ったから、ガンバッタで賞をあげるぞ」
「えー!? それは語尾にワンを強制的に付けられているけどね。ワレは狐の王様でエライんだワンからして、もっと大事にしてくれてもいいんだワンよ?」
「そうですよ戦極様。わん太郎がいたからこそ、ここまで来れたんだよ」
……確かに言い過ぎたかもしれん。
俺が悪かった。駄犬だなんてひどい事を言ってしまったな。
「ごめんね、わん太郎。あとでイナパのチャーリュあげるからな?」
「わーい! いっぱいおくれだワンよ~」
おっふ。だから顔面に飛びつくなよ! ジャリジャリするから。
それにしてもアイスみてぇな匂いがするんだよなぁ。
ちょっと美味しそうかも。
「で、どうして美琴だけじゃなく、わん太郎ここにいるんだよ?」
「そ、そそそそ、それは!? あ、あれだワン! ワレの嗅覚が、あるじぃのピンチをさっしたからだワンよ!!」
おい狐っこ。おまえ目が泳いでいるぞ?
二十五メートルのプールでバタフライしているくらいにな?
一体なにをしでかしたんだか……。
エカテリーナがひっそりと二度目の絶命を迎えているころ、戦極は暗闇の通路にショックをうけていた。
「無い! どこに消えちまったんだよ、俺のスカルビーム!!」
『ハァ~困った主様なんだよ。また変な物をひろったんでしょ?』
「ちがうッ!! あいつは、スカルビームはな、俺の……半身だッ!!」
ちらりと周囲を確認する美琴。
ぼんやりと眼光が消えかけの、怪しげなドクロを発見。
どんよりと呆れた視線をむけつつ、ドクロへ向かって一言。
『……成仏してほしんだよ』
悲恋より妖力で出来た短刀が放たれると、淡い光を放つドクロが真っ二つになる。
それに気がついた戦極は、このよの終わりな悲鳴をあげ涙を流す。
「ぬああああああああ!! 俺のスカルビームウウウウウウ!!」
『もぅ、分かっているのかな? あれは無理やりここに留まっている存在なんだよ。だから早く還してあげなきゃなんだよ?』
涙に濡れる戦極は、天に登っていくスカルビームを見て一言。
「お前こそが俺の伴侶だった。ありがとうスカルビーああああああ!?」
伴侶という言葉に思うところがあったのか、美琴はまだ原型があったスカルビームをさらに砕く。
おかげで天へと昇ることができ、スカルビームの中の人が手を振ってさっていく。
「さよ~なら~。元気で暮らしてくれよ~! 死んでるけど」
『さ、茶番も終わったことですし、行くんだよ』
「ちょっとは俺の心をいたわってくれよ! つか……暗くて見えねぇんだが?」
スカルビームを失った戦極は、また暗闇へと戻った通路を見てげんなりとする。
その言葉に美琴も流石に悪いと思い、後頭部をかきながら悲恋から抜け出でた。
「うぉ!? 突然出てくるなよ、幽霊が出たかと思ったぞ!」
しっかしコイツ。どこからどう見ても、生きているようにしか見えないよなぁ。
どうしてこんなに瑞々しい肌と、唇をしているんだよ。
瞳なんか生気に満ちあふれ、死者とはまったく思えないぞ?
それに……。
「突然出てきて悪いかな? かなぁ?」
「あいだだだだッ! つねるなよ」
ほほが痛い……そう、生暖かい手でつねられた。
なんで死んでるつーか、幽霊なのにほほに触れる!?
おかしいだろう? 幽霊なのに質量があるとかさぁ。
たまに思うんだが、コイツは双子で、生身の妹でもいるんじゃないかと思うんだが。
「双子でもないし、ちゃんと死んでいるんだよ?」
「やっぱり心のぞかれてますぅ!?」
「邪な考えは顔にでるものなんだよ。もぅ……ほら、これならどうんだよ?」
うぉ!? なぜ青白い人魂を六つも出す。
この真っ暗な通路に人魂……しかも! なんか付いてるぞ、俺を見ているぞ。
「あの、さ。恐怖に呑み込まれた、悲痛な顔のオッサンが見ているんだが……」
「し、しかたがないんだよ。人魂だから、恨みの炎で燃えているものなんだよ?」
「そんなドヤ顔で言われても、マジ怖いんだが」
「ぅっ。だって悲恋を盗もうとしたり、封印しようとするとするからぁ」
本当に恐ろしい妖刀だよ。
触れただけで呪い殺し、あげくには狂い死ぬまでそのまま放置とか……怖すぎる。
俺も昔死にそうになった、あんな状況じゃなければ、絶対に手にとることなんてしなかったわ。
まぁ何にせよ、明るくなったのはいいか。
すげぇ不気味だけどな! って、何かがくる。
「「む!? あやしげな気配ッ!!」」
「美琴……」
「うん。大きな力が……って、小さくなったんだよ? あ、これって」
「なんだか聞き覚えのある、あざとい足音が聞こえてきたぞ」
「聞こえるんだよ。ぽむぽむって」
あぁ、この角の奥から聞こえてくる、あざとい足音。
やつか、ヤツが来たのか――。
「「わん太郎!」」
「わぁ~あるじぃ! ワレは寂しかったんだワンよ~!!」
うわっぷ!! 顔に飛びつくな!
ひんやりモフモフで気持ちいいけど、なんだか砂でジャリってするからやめてくれ。
「無事でよかったんだよ、わん太郎。心配していたんだよ?」
「ふふん。ワレはエライから、ちゃんとお掃除をしてきたんだワンよ」
「掃除だぁ? 何をしてきたんだよ」
「えぇ~? それはねぇ」
とりあえず、つまんで顔の前に持って話を聞いた見たが……。
マジかよ!? エカテリーナのヤツ生きていたのか!
しかも復活しただと? 異世界ヤバすぎだろ。
「駄犬のくせに頑張ったから、ガンバッタで賞をあげるぞ」
「えー!? それは語尾にワンを強制的に付けられているけどね。ワレは狐の王様でエライんだワンからして、もっと大事にしてくれてもいいんだワンよ?」
「そうですよ戦極様。わん太郎がいたからこそ、ここまで来れたんだよ」
……確かに言い過ぎたかもしれん。
俺が悪かった。駄犬だなんてひどい事を言ってしまったな。
「ごめんね、わん太郎。あとでイナパのチャーリュあげるからな?」
「わーい! いっぱいおくれだワンよ~」
おっふ。だから顔面に飛びつくなよ! ジャリジャリするから。
それにしてもアイスみてぇな匂いがするんだよなぁ。
ちょっと美味しそうかも。
「で、どうして美琴だけじゃなく、わん太郎ここにいるんだよ?」
「そ、そそそそ、それは!? あ、あれだワン! ワレの嗅覚が、あるじぃのピンチをさっしたからだワンよ!!」
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