勇者パーティーをパワハラ追放された【自己評価の低い】支援魔術師、実は魔神に育てられた最強の男でした

ハーーナ殿下

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第3話:仮のパーティー

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勇者パーティーを解雇されたオレは、東の辺境の街ムサスに到着。
新しい街で心機一転、謙虚に生きていくことを決意。

そんな時、広場で困っていた、魔術師の少女サラを助けることにした。



サラに案内されて、彼女の仲間の所に向かう。

「ここが私の仲間がいる冒険者ギルドです、ハリトさん!」

「ここが、この街の冒険者ギルドか」

王都よりは大きくないが、けっこうな立派な建物。
街の規模的にムサスで、ここは唯一の冒険者ギルドなのであろう。

雰囲気的にはコンパクトで、使いやすそう。
悪くない雰囲気だ。

「中に行きましょう!」


サラの案内で、冒険者ギルドの中に入っていく。
中は一般的な作り。

入口の正面にカウンターがあって、受付嬢が座っている。
横の壁には掲示板があり、色んな依頼が張られていた。

あと奥には椅子が並んでいて、冒険者たちが雑談していた。
待機場所なのだろう。

「あの奥に。いるはずなんですが……あっ、いた!」

小走りになったサラの、後を付いていく。
立ち止まったのは、待機場所にいる一人の剣士の前だ。

「兄さん! 支援魔術師の人を、見つけてきたよ!」

「ん? 本当か、サラ⁉」

案内された先にいのは、長身の男の人。
歳はオレよりも、ちょっと上ぐらいかな。

体格がよく剣を下げているので、剣士タイプなのであろう。
結構ハンサムだけど、目つきが鋭い歴戦な戦士な雰囲気だ。

「兄さん? 兄妹の人なんですか?」

「あっ、説明が遅れましたね、ハリトさん。この人が私のパーティーメンバーで、兄のザムスです!」

なるほどサラの仲間は、実のお兄さんだったのか。

そう言われて、改めて二人を見比べてみる。
たしかに顔は似ている、感じがする。

でもサラは小動物系で、ほんわか可愛い感じ。

一方でお兄さんのザムスさんは、精悍せんかんな感じ。
きっと母親と父親に、それぞれ似たのであろう。

「ハリト君と言ったかな? キミは本当に、支援魔術は使えるのか?」

「あっ、はい。一応は」

「あまり自信が無さそうに、見えるが?」

「サラにも言いましたが、オレは“普通”の支援魔術師なので、そこまで期待はしないでください」

「……そうか、分かった」

ふう……緊張した。
なんか尋問っぽい感じだった。

ザムスさんは、かなり鋭い目つきの人。
ちょっと質問されただけでも、かなり緊張する。

たぶんオレのことを、まだ信用をしてないのだろう。

でも、それも仕方がない。
初対面の冒険者を、いきなり信用する方が危ないからな。

ザムスさんか……悪い人はなさそうな気がする。
少なくとも王都の横暴な冒険者たちとは、雰囲気が違う。
本気で冒険者をしている人なんだろう、きっと。

よし、挨拶はできたから本題に移ろう。
今回の要件を、ザムスさんに聞かないと。

「サラに困った問題が、あったと聞きましたが、どんな依頼があったのですか?」

「実は街の近くのある村が、厄介な魔物が狙われている。それを一刻も退治する依頼だ」

「なるほどです。ちなみに支援魔術師が必要だったのは?」

「サラにも聞いたかもしれないが、昨日まで一緒に組んでいた奴が、支援魔術師だった。パーティー編成を変える訳にいかないから、探していた」

なるほど、そういう理由か。

冒険者での集団戦闘は、周りが思っている以上に難しい。

互いの職種や得意なスキル、戦い方の連携を、完璧に合わせる必要がある。

いくら有能な者でも新参者は難しい。
まったく別な職種だと、逆に現場が混乱してしまう危険性もある。

だからザムスさんとサラは、昨日まで慣れていた支援魔術師を探していたのだ。

なるほど理由は分かった。
本当に困っていたし、助けてあげたい。

「分かりました。こんなオレでよかった協力します。ザムスさんの方は、どうですか?」

「少々の不安はある、だが今は時間もあまりない。頼むぞ、ハリト」

「はい、よろしくお願いします!」

なんとかザムスさんに了承してもらった。

そのまま三人で冒険者ギルドのカウンターに移動。
受付のお姉さんに仮のパーティー登録をしてもらう。

「はい、どうぞ。ハリトさん。出来ました」

無事に仮登録完了。
これで今回の依頼が成功したら、オレにも冒険者ポイントが入るようになった。

ちなみにこの大陸での冒険者のランクは、最低がFランクで最高がSランク。
まとめると次のような感じ。

――――◇――――◇――――
《冒険者ランク目安》

・Sランク:大陸の危機に動員されるほどの、伝説級パーティー(大陸にも数人しかいない)

・Aランク:複数の町や国の危機を解決できるほどの、国家級パーティー(一ヵ国に十数人しかいない)

・Bランク:大きな街の危機を解決することができるほどの、凄腕パーティー(大きな街に十数にしかいない)

・Cランク:小さな町や村の危機を解決することができる強さ(そこそこの数がいる)

・Dランク:初心者を脱却。そこそこの冒険者。(けっこうな数がいる)

・Eランク:まだ駆け出しで、弱い魔物を退治するレベル。(かなり多い)

・Fランク:登録したばかりの新人で、雑務がほとんど(多すぎて不明)

――――◇――――◇――――

王都の冒険者ギルドで聞いた説明は、こんな感じ。

冒険者として一人前と言えるのは、Dランクから上の人たち。
EランクとFランクは半人前の扱いをされる。

ランクCまでなら、努力さえすれば常人でも到達可能。
でも到達する前に、死亡率も上がり全体数も少ない。
だからランクCでも、かなり凄腕と頼りにされる。

Bランクより上には、よほどの才能がないと上がれない。
だからランクB以上は本当に凄い人なのだ。

(どれどれ、ちなみにザムスさんたちは、ランクはどんな感じかな?)

貰った仮登録証を、チラリと確認してみる。
ここに書いてあるはずだ。

「えっ……“Bランク”⁉ ザムスさんたちって、ランクBの凄腕パーティーだったんですか⁉」

まさかの高ランカーだった。
王都の冒険者ギルドでも、あんまり見たことがないレベルだ。

「ああ、一応はな。オレは個人ランクBで、サラは個人ランクC。だから上のオレのBが、このパーティーのランクになる」

「そ、そうだったんですか……そんな凄腕のパーティーだったんですか……」

思わず絶句してしまう。
何しろランクB『大きな街の危機を解決することができる凄腕パーティー』だ。

そう言われて改めて、ザムスさんを観察してみる。

うん……歴戦の剣士の雰囲気で、とても強そうだ。

あと、サラも結構な潜在的な魔力を、感じる。

この兄妹パーティー、本当はすごい二人だったんだ。
改めて感心する。

「ちなみにハリト、お前の冒険者ランクは?」

「えーと……恥ずかしながら、個人ランクEです……」

これでも一応は勇者パーティーに、一年間は在籍。
けっこうな数の冒険や事件の任務に、同行してきた。

でもパーティーリーダーの勇者アレックス。
アイツがオレのパーティー登録を、王都の冒険者ギルドに報告を怠っていたのだ。

だから一年間も頑張っていたのに、未だにオレは駆け出しのEのままなのだ。
今思い返しても、本当に悔しい。

「ランクEか……そうか、分かった」

ザムスさんの表情が曇る。
ランクBパーティーに普通は、ランクEはいない。
オレの低ランクに失望もしたのかもしれない。

申し訳ない気分になる。
オレも悔しいから、この後の行動で挽回しないとな。

「よし、それでは早速、依頼のあった村にいくぞ。時間がない!」

ザムスさんは気持ちを切り替えて、出発の号令をかける。
オレとサラも後に続く。

(勇者パーティー以外でのパーティー行動か……オレ、上手くやっていけるかな……)

多くの不安を抱えながら、オレは魔物退治に同行するのであった。





だが、この時のザムスとサラは、気が付いていなかった。

自分たちに同行しているのが、とんでもない規格外の支援魔術師だったことに。
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