勇者パーティーをパワハラ追放された【自己評価の低い】支援魔術師、実は魔神に育てられた最強の男でした

ハーーナ殿下

文字の大きさ
4 / 31

第4話:魔物討伐へ

しおりを挟む
勇者パーティーを解雇されたオレは、東の辺境の街ムサスに到着。
新しい街で心機一転、謙虚に生きていくことを決意。

魔術師の少女サラと剣士ザムスの凄腕Bランク兄妹パーティーに、仮加入することになった。



村に向かって、街から三人で街道を移動していく。

道中で兄妹の戦い方を、オレは聞いていく。

兄のザムスさんは長剣を得意とする近接型。
あと隠密や弓矢も出来る万能タイプだ。

妹のサラは攻撃魔法が得意で、回復魔法も多少は使えるという。

ふむふむ、なるほど。
オレは頭の中にインプットしておく。

「あそこがルタの村だ」

ザムスさんの先導で、村に到着。
農村地帯の小さな村だ。

村長に挨拶をして、さっそく魔物退治に向かう。
周囲を警戒しながら移動。
道中で魔物の情報をまとめていく。

「ちなみに魔物の見当は、付いているんです、ザムスさん?」

「ああ、相手は大鬼《オーガ》だ」

「大鬼《オーガ》ですか……たしか、『危険度C下』の魔物ですよね」

「ああ、そうだ。一匹ならオレとサラでも問題ない。だが少なくとも三匹以上はいる」

「なるほど、それは危険ですね」

この大陸の魔物には危険度によって、冒険者ギルドがランクを付けている。

――――◇――――
《危険度》

F:一角兎《ビッグラビット》など

E下:スライム、コボルトなど

E上:ゴブリン、灰色ウルフなど

D:オーク、グールなど

C下:ゴブリンキング、オーガ、トロールなど

C上:オークキング、ゴーレム、シーサーペントなど

B下:ワイバーンなど

B上:サイクロプス、ヒュドラなど

A:レッサードラゴンなど

S:エルダードラゴ5匹(火、水、土、風、闇)

――――◇――――

こんな感じで、ランク付けされてある。
個体によって多少の変動もあるので、大よその目安だ。

ちなみに冒険者ギルドでは『危険度Dのオーク一匹には、冒険者ランクD以上の四人パーティーで戦うのが推奨』とされている。

今回は『危険度C下オーガには、冒険者C以上の四人パーティーで戦うのが推奨』という状況。

だから冒険者ランクBのザムスさんとランクCサラ。
二人でも各個撃破に持ち込めば、大鬼《オーガ》なら何とかなるのだ。

「だからランクEのハリトは、今回あくまでサポートに徹してくれ。サラだけならまだしも、キミまで守る自信はない」

「了解です」

「あとオレが指示を出すまで、支援魔法を使うのも控えてくれ」

「分かりました。ザムスさんの指示で、オレは支援魔法に二人にかけます」

大鬼《オーガ》の目撃があった場所まで移動。
道中でオレの情報も伝えていく。

「ちなみにハリトは支援魔法を、どのくらいの強度を得意としている?」

「オレは魔法強度《弱》が“得意”です」

「《弱》か……そうか。わかった」

ザムスさんの感じだと、あまりオレには期待していない感じ。
でも、それに仕方がない。

何しろランクEの支援魔術師は、それほど強力な補助魔法は使えない。
よくて《防御力強化(弱)》や《攻撃力強化(弱)》程度なのだ。

ちなみに魔法の効果は、次の段階がある。

――――◇――――

《弱》:使用できる平均の冒険者ランクE、F

《中》:使用できる平均の冒険者ランクC、D

《強》:使用できる平均の冒険者ランクA、B

《超強》:使用できる平均の冒険者ランクS

――――◇――――

大まかに、こんな感じだ。
強力になれば魔法の威力も強力になっていく。
その代わり消費魔力も大きい。

そんな中でオレは魔法《弱》を、一番の得意としている。
理由は師匠との修行から、学んだからだ。

(あの師匠からの反面教師だな、これも……)

オレの師匠は自意識過剰だから、常に威力《極大》ばっかり使っていた。
どんな弱いも魔物に対しても、《極大》を発射するのだ。

もちろんオーバーキルで効率も悪い。
だから反面教師として、オレは威力《弱》を鍛えてきた。

精度が高く、実戦向きな《弱》を、オレは得意していたのだ。

そんな話をしながら、オレたちは村の近くの森に入る。
村人の目撃情報によると、この奥に大鬼《オーガ》がいるらしい。

三人で慎重に進んでいく。

「いたぞ」

ザムスさんが大鬼《オーガ》を発見した。
森の開けたところに三匹いる。

体長は三メートルぐらい。
半裸で鬼のような凶暴な顔。
手に丸太のような棍棒をもっている。

「サラ、いつものように、オレが合図したら魔法で先制攻撃を。ハリトはここで待機を」

「はい、兄さん」

「了解です」

作戦が決まったところ、実行に移る。

ザムスさんは気配を消しながら、オーガに接近していく。
革鎧な上に隠密技術も、見事なもの。

あっという間に、オーガの背後に回り込む。

ヒョイ

ザムスさんが指で、合図を送ってきた。

「ふう……【火炎弾ファイアー・ボール《中》】!」

合図に従って、サラが攻撃魔法を発動。
杖から大きな火炎の弾丸が、発射されていく。

ドッ、ゴォオオン!

オーガの一匹に直撃。
丸焦げになる。

直後、ザムスさんは茂みから飛び出す。
相手の虚を突いた奇襲だ。

「うぉおおお! 【斬撃スラッシュ】!」

長剣の攻撃スキルを発動。

ズッシャー!

見事に二匹目のオーガを、一刀両断。
残るは一匹になる。

「兄さん、いきます! 【火炎弾ファイアー・ボール《中》】!」

先ほどと同じ攻撃魔法を、サラは発射。

ドッ、ゴォオオン!

三匹目のオーガ命中。
だが少し狙いを外している。

まだ生きている。

すかさずザムスさんが追撃する。

「うぉおおお! 【斬撃スラッシュ】!」

ズッシャー!

おお、お見事。
三匹目にも止めを刺した。

「ハリトさん、兄さんの所に行きましょう!」

「そうだね」

サラと二人で駆け付ける。
確認したがオーガは三匹とも、確実に死亡していた。

「いやー、見事な戦い方でしたね、二人とも」

感心してしまう。
さすが兄妹だけあって、息の合った連携だった。

本来なら強敵なはずのオーガを、一方的に討伐してしまった。
さすがはランクBパーティーといったところだ。

「すまないな、ハリト。出番がなくて」

「いえ、無事で何よりです」

基本的に支援魔法は、念のための魔法。
使わないにこしたことはない。

「さて、あとは、魔石を回収して、村に報告にいくか」

「はい、そうですね……ん?」

その時だった。
オレは“何か”を感じた。

あれ、上かな?
このすぐ近くの崖の上から、何か感じるぞ。

そこまで“強くない魔”の力だったので、感じるのが遅くなった。

「ザムスさん。あの崖の上に、何かいます」

「なんだと? 上?」

「はい、あそこです。あっ、降りてきます」

ドッスーーン!

直後、地震のような地鳴りが、周囲に響き渡る。

崖側にあった木々が、吹き飛んでいく。

「あ、あれは……まさか……」

ザムスさんは言葉を失う。
木々が吹き飛んだ方向。
崖の上から“何か”が落ちてきたのだ。

「に、兄さん……あれは……まさか……」

「ああ、一眼巨人サイクロプスだ。ちっ……これはマズイ……」

崖の上から降りて来たのは、巨大な一つ目の巨人。

危険度B上……冒険者ランクB以上が四人の推奨の上位クラスの魔物。

ザムスさんとサラでは勝つ可能性が低い、恐怖の相手だった。
しおりを挟む
感想 41

あなたにおすすめの小説

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜

Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。

冤罪で山に追放された令嬢ですが、逞しく生きてます

里見知美
ファンタジー
王太子に呪いをかけたと断罪され、神の山と恐れられるセントポリオンに追放された公爵令嬢エリザベス。その姿は老婆のように皺だらけで、魔女のように醜い顔をしているという。 だが実は、誰にも言えない理由があり…。 ※もともとなろう様でも投稿していた作品ですが、手を加えちょっと長めの話になりました。作者としては抑えた内容になってるつもりですが、流血ありなので、ちょっとエグいかも。恋愛かファンタジーか迷ったんですがひとまず、ファンタジーにしてあります。 全28話で完結。

国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。

樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。 ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。 国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。 「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~

空月そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」 「何てことなの……」 「全く期待はずれだ」 私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。 このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。 そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。 だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。 そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。 そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど? 私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。 私は最高の仲間と最強を目指すから。

国外追放だ!と言われたので従ってみた

れぷ
ファンタジー
 良いの?君達死ぬよ?

処理中です...