勇者パーティーをパワハラ追放された【自己評価の低い】支援魔術師、実は魔神に育てられた最強の男でした

ハーーナ殿下

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第5話:支援魔法、発動

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勇者パーティーを解雇されたオレは新しい街で心機一転、謙虚に生きていくことを決意。
魔術師の少女サラと剣士ザムスの、凄腕Bランク兄妹パーティーに仮加入。

近隣の村を狙う大鬼オーガを、討伐することに成功。
だが危険な一眼巨人サイクロプスが、目の前に現れた。



「に、兄さん……あれは……まさか……」

「ああ、一眼巨人サイクロプスだ。ちっ……これはマズイ……」

サラとザムス兄妹は、深刻な顔をしている。

何故なら一眼巨人サイクロプスは危険度B上。
冒険者ランクB以上が四人じゃないと、勝てないレベルの危険な魔物。

ザムスさんとサラでは勝つ可能性が低い、恐怖の相手だった。

「兄さん、撤退しましょう!」

「いや、おそらく、ヤツは先ほどの大鬼オーガのボスだ。つまり、こいつを見逃せば、近くの村がヤバイ」

「え……そんな……」

魔物は人を喰らう危険な存在。
一眼巨人サイクロプスレベルになれば、小さな村などエサ場に程度の存在なのだ。

「オレがここで時間を稼ぐ。その間、サラとハリトは村に走れ。村人を避難させるんだ!」

「でも、兄さん……」

「早くしろ! ヤツが動き出すぞ!」

着地の衝撃から、一眼巨人サイクロプスが回復。
こちらに向かって、ゆっくりと動き出す。

向かう先は、村がある方角だ。

「わ、わかりました、兄さん……援護射撃を一回だけして、私たちは退避します」

「ああ……今までありがとな、サラ。元気で生きていきんだぞ」

「兄さん……うっ……【火炎弾ファイアー・ボール《中》】!」

サラは攻撃魔法を発射。

ドッ、ゴォオオン!

一眼巨人サイクロプスに直撃。

だが相手は少ししかダメージを与えられていない。
岩のように硬い皮膚が、魔法を弾いているのだ。

その隙を狙い、ザムスさんが突撃していく。

「うぉおおお! 【斬撃スラッシュ】!」

長剣の攻撃スキルを発動。

ズッ、ガキーン!

なんとザムスさんの一撃も、固い皮膚に弾かれてしまった。

アイツはかなり強い。
もしかしたら一眼巨人サイクロプスの中でも、強力な個体なのかもしれない。

「ハリトさん、村に急ぎましょう!」

「あ、うん」

サラに従って、オレは撤退する。
本当は残ってザムスさんを手助けしたい。

でも今のパーティーリーダーはザムスさん。
彼の指示に従うしかない。

ドッ、ゴォーン!

「うっうわぁあ!」

だが直後。
後方で凄まじい地鳴りが響き渡る。

後ろを振り返ると、ザムスさんが苦悶の叫びと共に吹き飛んでいる。
一眼巨人サイクロプスの丸太のような一撃が、直撃してしまったのだ。

「に、兄さん! 今、助けにいきます!」

「でも、サラ。ザムスさんは村に、って」

「分かっています……でも、たった一人の兄なんです!」

「そうか……そうだよね。オレの付き合うよ!」

サラと二人で急いで戻る。
ザムスさんは吹き飛んだ衝撃で、まだ立ち上がれない。

そこに一眼巨人サイクロプスが追撃を仕掛けようとしている。

かなり危険な状況だ。

「兄さん、逃げて! 【火炎弾ファイアー・ボール《中》】!」

焦るサラは攻撃魔法を発射。

ドッ、ゴォオオン!

一眼巨人サイクロプスの顔面に直撃。
だが、やはりダメージを与えられていない。

逆に怒らせてしまった。

『ウォオオオゴオォオ!』

怒りの咆哮と共に、一眼巨人サイクロプスは棍棒を降り下す。
その先にいたのは、まだ動けないザムスさん。

「兄さん!」

「くっ……無念……」

兄妹の悲痛な叫びが、森の中に響き渡る。

だがオレは最後まで足掻《あが》く。

「諦めちゃだめだ、二人とも! 防御力向上《弱》!」

ザムスさんを対象に支援魔法を発動。
全身が強い光に包まれる。

『ウォオオオゴオォオ!』

直後、一眼巨人サイクロプスの棍棒が、ザムスさんの身体を直撃。

――――しなかった。

ガッ、キーーーーン!

棍棒が真っ二つに折れてしまったのだ。

「えっ……?」

「えっ……?」

変な声を出すザムスとサラ兄妹。
目を点にして唖然としている。

「ザムスさん、今がチャンスです!」

「ハリト……? だが、こいつには今のオレの攻撃が……」

「オレが攻撃強化で支援するので、一眼巨人サイクロプスの急所に攻撃を!」

「なんだと⁉ だが、くっ、一か八かしなないな!」

ザムスさんは歴戦の戦士。
オレの意図は分からずとも、すぐさま立ち上がる。

反動で硬直している一眼巨人サイクロプスの、急所を狙う。

「うぉおおお! かすり傷でも、いい当たってくれぇ! 【斬撃スラッシュ】!」

よし、今だ。

「攻撃力強化《弱》!」

ザムスさんの長剣を対象に、オレは支援魔法を発動。
剣が強い光に包まれる。

直後、ザムスさんの攻撃がヒット。

ズッッシャァアアアアアンー!

斬撃スラッシュ】が一眼巨人サイクロプスに直撃。

巨大な身体が真っ二つに裂ける。

「えっ……?」

「えっ…………?」

また兄妹が変な声を出す。
サラは目を丸くして呆然としている。

ザムスさんは自分の剣を、口を開けながら見ている。

「ナイスです、ザムスさん!」

「あっ……兄さん!」

ザムスさんの元に、オレはサラと駆け付ける。

「兄さん、大丈夫ですか! 今、回復魔法をかけます!」

サラが怪我の治療をしていく。
かなりのダメージがあったが、回復魔法で何とかなりそうだ。

これにはオレもひと安心。
よかった。

治療を受けながら、ザムスさんがこちらを見てくる。

「ハリト……さっき防御魔法と……攻撃力強化魔法は……キミが……やったのか?」

「えっ? あっ、はい。支援魔法で強化しました。得意の《弱》なんとか上手く発動できたみたいです」

「なっ……あれで《弱》だと? あれは《強》レベル……いや《超強》レベルだぞ! あの尋常ではない効果は⁉」

「えっ……」

ザムスさんが興奮している。
もしかしたら怒っているのだろうか。

オレが命令を無視して、勝手に戻ってきたこと。
指示もないのに、支援魔法を発動させたことを。

「ご、ごめんなさい……です? なんか、オレやっちゃいましたか?」

「いや……謝る必要はない。オレも混乱しているだけだ。この状況に……」

「あっ、そうでしたか……」

「とにかく魔石を回収してから、村に報告に行こう。その後は街の冒険者ギルドにも報告を。報酬の分配はその後で、いいかハリト? あとキミの話も、少し聞きたい」

「あっ、はい。構いません。ありがとうございます!」

良かった。
どうやら今回の依頼は成功したみたいだ。

倒した魔物は少し時間が経つと、粒子となって消えていく。
跡に残るのは“魔石”と呼ばれる魔力の源。

あとは魔物の種類によっては、素材も残ったりする。

「あ、兄さん。一眼巨人サイクロプスは、骨も残っていきますよ」

一眼巨人サイクロプスを倒した後に、巨大な骨格の骨が残った。

「ああ、そうだな。冒険者ギルドに行けば、かなり高値で売れる。だが、この大きさと重さは、どうにも運べないな」

なるほど、あれを街まで持っていけばいいのかな?

「良かったら、オレ持っていきますよ」

「な、何を言っているんだ、ハリト?」

「それじゃ、とりあえず、試してみますね……【収納】!」

ボワン!

おっ、上手くいった。
一眼巨人サイクロプスの骨を、全部オレの魔法で収納できた。

あとは街まで持って、出せばいいだけだ。

「なっ……?」

「えっ…………?」

兄妹はまた変な声を出している。

ん?
どうかしたのかな?

「いえ……どうかしたではありません! ハリトさん! 今のは超難易度の高いの【収納】じゃないですか⁉」

サラがすごい形相で、オレにグイグイきた。
収納魔法に凄く驚ている感じだ。

「どうして、そんな特殊魔法を使えるんですか⁉」

すごい勢いでグイグイくる。
サラの胸が……意外と大きくて柔らかい胸が、オレの身体に当たってくる。

うっ……無自覚なのか、この子は。
とにかく心を落ち着かせて、対応しないと。

「えーと、これは我が家では普通に使っていんだけど? ほら、買い物とかに便利だし?」

「えっ? 特殊魔法を、買い物に? そんな異常な使い方、始めて聞きましたよ、ハリトさん⁉」

「サラ、落ち着け。とりあえず分かったことがある。ハリト、キミは普通ではない?」

「へっ? オレがですか?」

「ああ、そうだ。だがオレたちも混乱して、もはや頭が回らない。とりあえず街の酒場で、ゆっくり話を聞こう……」

「はい、分かりました」

こうしてオレは初めての仮パーティーの任務に成功。

でも街に戻ったら、どうなるのかな?

少し心配だ。
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