勇者パーティーをパワハラ追放された【自己評価の低い】支援魔術師、実は魔神に育てられた最強の男でした

ハーーナ殿下

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第6話:誘い

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勇者パーティーを解雇されたオレは、新しい街で心機一転、謙虚に生きていくことを決意。
魔術師の少女サラと剣士ザムスの、凄腕Bランク兄妹パーティーに仮加入。

近隣の村を狙う大鬼オーガと、危険な一眼巨人サイクロプスの討伐に成功する。



一眼巨人サイクロプスを倒した後、オレたち三人は移動を開始。

まずは依頼を受けた村に、魔物を討伐したことを報告にいく。
村長や村人たちから凄い感謝を受ける。

感謝の宴会に誘われたが、オレたちは先を急ぐ身。
そのままムサスの街に戻ってきた。

いつの間にか夕方になっている。
街の入り口の前で、先頭のザムスさんが立ち止まる。

「ハリト、街に入る前に、ここで一眼巨人サイクロプスの素材を、出しておいてくれなか?」

「えっ? ここですか? どうせなら冒険者ギルドまで持っていきますよ。重さも無いので、オレ的に問題はありません」

「いや、キミ的に問題は無くても、常識的には大ありなんだ。冒険者ギルドの連中を、まだ騒動に巻き込みたくない」

「え? はい、それなら大丈夫ですが……【収納】!」

ボワン!

収納魔法を発動。
さっきとは逆で出す方向で発動した。

目の前の地面に、一眼巨人サイクロプスの巨大な骨が出現した。

「はぁ……やっぱり出すのも、こんなに自由自在なのか」

「兄さん……ハリト君って、一体……」

「サラ、その話は後でしよう。まず冒険ギルドが先だ。オレは街の中にいる運搬屋を、ここまで呼んでくる。怪しまれないようにギルドまでは、彼らに運んでもらう。二人も口裏を会わせてくれ」

「えっ、はい。とりあえず了解です」

何やらザムスさんとサラは、やけに気を使っている。
もしかしたら収納魔法は、ムサスの街の中で使ってはいけない。そんな規則があるのかな?

よく分からないけど、ここは先輩たちに従っておこう。

しばらくしてザムスさんが運搬屋を連れてくる。
大きな台車を何台もいた。

そして運搬屋のオジサンたちも、何やら騒いでいる。

「なっ……これは……まさか……一眼巨人サイクロプスの骨なのか?」

「こ、こんな大きな素材は……初めて見たぜ……」

「しかも一刀両断で……普通じゃないな……」

彼らは魔物の素材の運搬を、専門にする人たちなのであろう。
終始驚きながらも、手際よく積み込み、街の中に運んでくれる。

「「「ざわ……ざわ……」」」

なんか街の人たちの注目も浴びている。
そんな中、冒険者ギルドに皆で向かう。

「よし、着いたぞ。買い取り台に運んでくる」

冒険者ギルドに到着。
ザムスさんが指示を出す。

「えっ……こ、これは、一眼巨人サイクロプスの素材ですか⁉」

ギルドの買い取り係りの人も、目を丸くして驚いていた。

「も、もちろん、貴重な品なので、高値で買い取らせて頂きます! ありがとうございます!」

でも相手もプロ。
ザムスさん言っていたとおり、かなりの高値で買い取ってくれた。

その後はザムスさん受付に、依頼が完了した報告。

「えー⁉ 大鬼オーガ三匹だけじゃなくて、一眼巨人サイクロプスなんてモノがいたんですか⁉」

受付嬢も声を上げて、驚いていた。
驚きながら事後処理。
村からの証明書と、素材を確認して、追加報酬を払ってくれた。

ふう……これで終わりかな?
なんか大騒ぎになったけど、これでひと段落だ。

「さて、ハリト。この後は、酒場で飯でもどうだ? もちろん報酬の分配も兼ねて?」

「あっ、はい。お腹ペコペコだったんで、ぜひお供します!」

「私も、さんせーです!」

色々と手続きしていたら、夕飯の時間になっていた。
オレたち三人で酒場に向かう。



ザムスさんたちの行きつけの酒場に、やって来た。

「それでもは依頼の成功を祝して、乾杯だ!」

「「乾杯!」」

三人で軽く乾杯。

年上のザムスさんは、ビールを飲んでいる。
サラは飲みやすい果実のお酒。
オレはお茶だ。

「いただきます!」

お茶を飲みながら、オススメの定食を頼んで、食べてみる。

うん、美味しい。
豪華な食材ではないけど、ボリュームもあって味もしっかりとしている。

王都の気取った料理よりも、オレはこっちの方が口に合っているかな。
お蔭であっという間に、完食してしまう。

「さて、ハリト。落ち着いたところで、話を聞いてもいいか?」

食後、ザムスさんが神妙な顔で訊ねてくる。

うっ……どうしたのかな?
もしかしたら今日の依頼で、やっぱりオレは何か仕出かしていたのかな?

「単刀直入に聞こう。ハリト『キミは何者』だ?」

「えっ……? オレですか? オレは山育ちの“普通”の支援魔術師ですが……」

「そうか。嘘はついていない目だな……なるほど、自分では自覚をしていないのか、キミは」

「えっ? 自覚ですか?」

「いや、何でもない。冒険者の同士で互いの過去や事情を、詮索するのはタブー。だからオレもキミのことは細かくは聞かない」

「あっ、そうですか……それは少し助かります」

ひと安心する。
何故ならオレは『勇者パーティーを追放された』という烙印《らくいん》がある。

そのことを他人に言わなくていいのは、正直なところ助かる。
もう少し心の傷が癒えたら、オレも自分から言えのかもしれない。

「ところで妹から聞いたが、キミは今フリーなんだろう?」

「あっ、はい。恥ずかしながら……仕事が無くて、困っていました、実は」

勇者アレックスに金を没収されたので、今の所持金はかなり少ない。

だが支援魔術師であるオレは、一人では戦闘は不得意。
早くどこかの冒険者パーティーに加入して、日銭を稼ぐ必要があるのだ。

「そうか。それならオレたちと一緒に組まないか?」

「えっ……一緒に組む……ですか?」

「ちょっと兄さん、さっきから聞いているけど、もう少しハッキリ言った方がいいよ。ハリト君、兄は『これから先も私たちと同じパーティーを組んでいこう』と言いたいんですよ」

「えっ……こんなオレと、これからも、ずっと……ですか? いいんですか?」

「口下手なオレですまなかったな。もちろんだ、ハリト。こちらこそ、是非とも一緒に組んでくれないか?」

「はい! もちろん! よろこんで!」

凄い幸運が訪れた。
まさか新しい街に来た初日に、仕事先が見つかったのだ。

しかもランクBの凄腕な姉弟のパーティー。
口下手だけど真面目な剣士ザムスさんと、無自覚だけと可愛い魔法使いサラ。

今日も一緒にいてやりがいがあった。
だから本当に嬉しいことだ。

「それなら改めて、今回の報酬の分配だ。大鬼オーガの分は三等分にする。あと一眼巨人サイクロプスの分は、ハリトに全部あげよう」

「えっ……でも、一眼巨人サイクロプスを倒したのは、ザムスさんの斬撃でした。オレもちょっとは支援したかもしれませんが、こんなには頂けません。もしも良かったら、三等分してくだい!」

オレはお金に関しても、謙虚を心がけている。
何故なら育ての師匠は、金に対しズボらで丼ぶり勘定な人だった。
だからお金に関しては、キッチリしていきたい性格なのだ。

「そうか。それなら今後も三等分にしていくがいいか?」

「はい、こちらこそよろしくお願いします!」

 「ふう……わかった。それにしても、あれだけ尋常ではない力を持っていながら、そこまで謙虚とは……まったく、読めない男だな、ハリトは?」

「えっ? なんか申し訳ないです、えっへへへ……」

悪いことは、言われてない気がした。
とりあえず笑ってごまかす。

「それじゃ、兄さん、難しい話は終わったから、改めて乾杯しましょ? ハリト君の加入を祝って?」

「ああ、そうだな。そじゃ、最高の支援魔術師ハリトの、我が《東方の黄昏たそがれ団》加入を祝って……乾杯だ」

「「「カンパーイ!」」」

酒場の中に明るい声が響き渡る。

こうしてオレは新しい場所を見つけた。

新しい拠点ムサスの街。

《東方の黄昏たそがれ団》という刺激的なパーティー。

これから毎日が充実した日々になりそうだ。



「あっ、ハリト。言い忘れていたが、サラにあまり馴れ馴れしく、身体をくっ付けるなよ? いくらお前でも、それだけは許さんからな、オレは」

でもグイグイくるのは、サラの方なんだけど。

今も軽く酔っ払ってきたサラが、ちょっと距離が近づいている。

「あっ……はい、肝に命じておきます……」

でもザムスさんは怖いから、気を付けていかないと。
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