勇者パーティーをパワハラ追放された【自己評価の低い】支援魔術師、実は魔神に育てられた最強の男でした

ハーーナ殿下

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第7話【閑話】落ちぶれていく勇者アレックス

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《パワハラ勇者アレックスが落ちぶれていく視点》

アレックスは大陸に五人いる勇者の一人。

女神から勇者の才能を与えられていた。

近いうちに復活するとされていた魔王を、倒すべく“真の勇者”
その最有力候補……とアレックス自信は自負していた。

だが、そんなアレックス勇者パーティーは今、苦境に陥っていた。
理由はアレックス本人にも分からない。

とにかく何やっても、失敗してしまうのだ。
支援魔術師ハリト解雇した以降は、何故か運が下降気味。

国からのミッションを、今日も失敗。
王都に逃げ帰って、王都の酒場で荒れていることころだ。



「くそったれ! お前ら、なんでもっと敵を倒せないんだ!」

勇者アレックスはビールを飲みながら、怒声を吐き出す。
吐き出した相手は、同じ勇者パーティーのメンバー。

《天才女魔術師》エルザと《加護持ち女神官》ウルル、《女弓士》マリナの三人に対してだ。

「いくらアレックス様でも、その言葉は酷すぎませんか? 私たちだって、一生懸命にやっています!」

女魔術師エルザは反論する。
アレックスとは男女の深い関係にある。
だからこそ強い言葉で、反論できるのだ。

「はぁ? エルザ、オレ様に口答えするのかよ⁉ 最近のお前の攻撃魔法、ぜんぜん駄目じゃねーか⁉ 今日もあんな雑魚相手に、苦戦しやがって!」

「そ、それは……最近は魔力の調子が悪いからです!」

「はぁ? 最近って、ここ十回、ずっとだろうが⁉」

「アレックス様、エルザを責めるもの、そこまでしてあげてください」

エルザを擁護するのは、女神官のウルル。

彼女もアレックスとは、男女の深い関係にある。
エルザとは結託して、日替わりで夜を共にしていた。

「それにアレックス様も最近は、調子が悪いじゃ無いですか? 今日も雑魚相手に、斬撃を何度も外していましたよね? 私たちを責めるのは、どうかと思います?」

だからこそアレックスに対しても、強い言葉で反論できる。

「はぁ? ウルル、てめぇ、そっちの仲間かよ⁉ オレ様は今日は、体調が悪かったんだ! そいうお前も、回復魔法が全然ダメだったろうが! オレ様の傷一つ直すにも、何分かけるつもりだったんだよ!」

「そ、それは神への信仰心が足りないからです……私たちの」


「はぁ? 神の加護だって⁉ 勇者様を舐めるなっつーの、神め!」

アレックスは明らかに苛立っていた。
酒の瓶を投げ捨てて、八つ当たりする。

「ん? そういえば、新しく入れてやった支援魔術師の奴は、どこにいった? 便所か?」

「アイツなら退団していったよ。さっき」

「またかよ! これで五人目だぜ、辞めた支援魔術師は⁉ どうなっているんだ⁉」

「そうですわね。誰もアレックス様の偉大さを、分かっていないですわ」

「それに仕えねー奴らばっかりだしな! 誰も《収納魔法》も使えないなんて、クズハリト以下ばっかりだったな!」

アレックスたちは知らなかった。
収納魔法を使える支援魔術師は、この世にほとんどいないことを。
最初に雇ったハリトを基準にして、勘違いをしているのだ。

そんな時、今まで沈黙して赤毛の少女が、静かに口を開く。

「ねぇ、アレックス。もしかしたら今まで私たちが好調だったのって、ハリトのお蔭なんじゃない?」

彼女は女弓士のマリナ。
ハリトの幼馴染で、唯一アレックスと距離を置いているメンバーだ。


「はぁ、マリナ? おめぇ、何言っているんだ⁉ あんな雑魚、戦闘中は、ただボーッと突っ立ってだけだろうが⁉ しかも最弱の支援魔法《弱》しか使えねーし!」

「いや、ハリトには《弱》しか使わなかった理由が、あったんだよ、きっと……」

「マリナさん。さっきから聞いていたら、あなた調子に乗り過ぎではないです⁉ 勇者であるアレックス様に意見つもりですか⁉」

「そうよ、マリナ! あんたも、そんな左手で、意見しようなんて凄いよね! そんな腕で、これからどうやって、弓矢を引くつもりなのよ⁉」

今日の魔物との戦闘で、マリナの左腕は手首から先が欠損していた。

「うっ……でも、これも皆の今日の動きが、今までと違って、バラバラだったから、後列の私が皆をカバーしたから……」

「はぁ? 私たちに責任を押しつけるつもりなの⁉ というか、ウルル、あんた、マリナの左手、どうして回復してあげないのよ⁉」

「じ、実は……あの魔物には呪いがあって、マリナさんの欠損は、私の力では回復出来ないのですわ、エルザさん」

「はぁ? ウルル、前は、そんな呪いの欠損なんて、一瞬で回復していたでしょうが⁉」

「だ、だから、それは皆さんの神のへの信仰が足りないからです」

「おい、お前たち! さっきからピーピーうるせぇぞ! せっかくの酒が、もっと不味くなる!」

女子二人の喧嘩を、アレックスは更に苛立ちながら仲裁する。

「というか、マリナ。お前も、今日でクビな」

「えっ……私が⁉ でも、どうして……」

「そんな治らない腕で、どうやって弓矢を引くつもりだ? 口でか? ウケる!」

「そ、それは……」

「それにお前は、ハリトのことばっかり庇いやがって、前から気に入らなかっただよ! 早く消えろ! あと金が必要なら、娼館の仕事を紹介してやろか? その左腕でも、多少は稼げるだろうよ! あっはっは……」

「あら、アレックス様は本当にジョークも上手ですわ……クスクス……」

「そうよね。というか、早く消えなよ、役立たずマリナ! クスクス……」

「……失礼するわ」

マリナは個室を出ていく。
これ以上の屈辱はなかった。

外に出た瞬間、悔しくて涙が溢れ出してきた。

「でも……どうしよう……お父さんの治療費を稼がないと、いけないのに……」

マリナには多額の借金があった。
難病の父親の治療を、これからも稼いでいく必要がある。

だが勇者パーティーを追放されて、商売道具である左手も欠損。
金を返していくアテは、全くなかった。

「悔しいけど、娼館で働くしかないのかな? でも、その前の……最後に、ひと目でいいから、ハリトの顔が見たいよ……大好きなハリトの顔を……」

こうしてマリアは王都を後にする。

向かう先は東。

ハリトが向かうと言っていた、東の辺境の街ムサスへ。
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