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第24話 新たな命の誕生、そしてデウスが全世界に向けて発した宣言
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俺達は数日を掛けて教会の周辺を綺麗にすると、教会の隣の少し開けた場所に吉宗を埋葬して墓を立てた。リィナは自らの子として転生するまでの安らかな眠りを祈り、デウスはその力の一端を使い教会の周囲から不浄な気を消し去ると教会はまるで神殿の様な荘厳な空気に覆われた。
そして俺達は自分達の住む家に戻ると、皆に長谷川が死んだ事と俺とリィナの子として転生させる事を伝えた。反対の声が上がる事も覚悟していたが皆の気持ちを代表したのかサーラが
「リィナさんとそのお子様だけ幸せにするのは駄目ですよ、私達はもちろんターニャさんやもうすぐ生まれる子供も全員纏めて幸せにしてくださいな」
そう言いながら、晴れやかな笑顔を見せてくれる。マリアや美沙も俺の方を見ながら頷きまた1つ絆が強くなっていくのを感じていた。それから1週間後魔王の居城の中でターニャは1人の子を産む、女の子だった。異世界から渡ってきた俺と魔王ターニャの血を引くこの娘には、予想すら出来ない障害がきっと行く手を阻むに違いない。だが、皆で力を合わせて守り抜こうと誓った。
それから3日後、俺は工房内で丸めたメモ用紙の山の中で溺れそうになっていた。
生まれた我が娘の名をまだ決められないのだ、ターニャと同じ様に魔王の道には進んで欲しくは無い。そして、将来幸せになって貰いたいこの気持ちを込めた名が早々簡単に出せる筈も無かった。
「子の名前を考えるのが、こんなに大変だとは思わなかったな・・・」
「頑張ってくださいね、パパ。早くしないと、娘が名無しの権兵衛になってしまいますよ」
隣ではターニャが娘に乳を与えながら、幸せそうに微笑んでいる。
「幸せ、幸せ・・・俺の元居た世界じゃ幸運の事をラッキーとラックとか言っていたが、こっちの世界ではなんて言うんだターニャ?」
「そうですわね、今ではイシスと言っておりますが古の時代ではエシスと言っていたそうです。なので、子の名前にもイシスやエシスを真似てエリシスと名付けたりしておりますわ」
「そうか。ラック・・ラック、エシス。ラックエシス、ラッケシス、ラケシス。ターニャ!ラケシスだ、この子の名前はラケシスにしよう!安直かもしれないが、2つの世界の幸運をきっと呼んでくれるぞ」
「ラケシス、ラケシス・・・本当に良い名です。ラケシス、これがお前の名前よ。幸せになるのよ、ラケシス」
翌日、俺とターニャは皆の前で娘の名前をラケシスに決めた事を伝えた。サーラや美沙も愛おしそうにラケシスの頭を撫で、リィナもラケシスの顔に頬を寄せると
「これから生まれてくる子達の良いお姉ちゃんになってね、ラケシス。そしてあなたは生まれてきた時から、ここに居る皆を幸せにしてくれているわ」
っと祝福してくれた、その様子を見ていたデウスは何か決意を固め俺にこう言ってきた。
『ミツクニ様、わたしはこれより全世界に向けある宣言を行おうと思います。その際に申し訳無いのですがラケシスの名を使わせて戴きますが宜しいでしょうか?』
「それは構わないが、ラケシスに危害が及ぶ様な事なら許さないぞ」
『その様な事は決してさせません、ご安心ください』
そう言うと、デウスは工房の天井を擦り抜けるとそのまま上空高く舞い上がり全世界に向け全ての住人に対しこう宣言を行った。
『私の名はデウス、この世界の主神にして全てを導く者。これより私の言う言葉をよく聞いて欲しい』
『先日、この世界に1人の赤子が生まれた。その子の父は勇者として召喚された若者と一緒に巻き込まれてこの世界に渡ってきた。そして、その子の母は今この世界の人間達に魔王と呼ばれている者だ』
『魔王は皆も知っての通りだが、この世界を全て手に入れた。だが、一部悲しい事は有ったが王や貴族達に財を奪われたり血筋で価値を決められる様な世の中から開放された事は皆も承知していると思う』
『そして、魔王は人間達に危害を加える気など持ってはいない。それは私が保証する、何故ならば私も今この娘の父である男の元で暮らしているからだ』
『私がこの男の元を訪れたのは、私の部下である1人の女神の浅はかさが呼んだ災いと1人の邪神の愚かさが引き起こした悲劇に対して被害を受けた者達に謝罪をする為だった』
『そこで私は、この男から新しい愛の形や結ばれ方を学ぶ事が出来た。更に私自身の思慮の足りなさや思い込みが今この世界で悲劇を起こした原因であったと知った』
『初めに私は魔王を討つ為に異世界より1人の少女を勇者として召喚しようと試みた、しかしそれは邪神の介入によって阻まれその少女は当初の場所と別の場所に召喚されてしまい尚且つ邪神の手によって性奴隷とされてしまった。それだけではない、邪神は少女と共に旅に出る筈であった2人の少女の人生までその力で歪め同じく性奴隷としてしまう』
『更に追い討ちとなったのは、私の部下の女神が勇者の出迎えに降りていたが早く天界に戻りたいが為に次代の勇者となる者を無理矢理召喚してしまう。そしてあろうことかこの女神は現魔王を討った後に、この勇者を口封じして消すつもりだった様なのだ』
『だがここで奇跡が起きた、この魔王と結ばれた男は先程も言ったが邪神によって性奴隷とされた勇者達3人をも救い出し魔王よりも先に妻として迎え共に生活していたのだ。つまり、魔王と勇者は戦う必要を無くしていたのだ』
『勇者と魔王といえども共に同じ誰かを愛し、共に同じ誰かを支える為に生きる道を選んでも構わない。私はこんな簡単な事すら忘れていた事実を思い知らされた。だが、悲劇は繰り返された』
『女神によって、無理矢理召喚された勇者は先日惨めな姿で死ぬ事となった。魔王の治める世になった今、勇者にはなんの意味も持たない、誰にも相手にもされず残飯などを漁り飢えをしのぐ生活にまで追い落とされた』
『そして、この勇者は最後に残る小さな誇りの為に魔王に挑み命を落とした。本来は、この様な人生になる筈の無い者がその人生を弄ばれ尊厳を踏みにじられたのだ』
『ゆえにこの様な悲劇を2度と繰り返さない為にも、私は勇者や魔王の存在しない世界に変えていく!そして、その象徴となるのは最初に言った赤子だ。この者の名はラケシス、異世界とこの世界で幸運の意味の名を持つ尊い存在である』
『この者を世界に居る全ての者が愛し慈しみ育て上げる事が出来た時こそ、勇者と魔王が存在する必要の無い未来へと繋がるだろう。だが、この未来へ至る道を消す可能性を持つ2人の存在がいまだどこかに潜んでいる』
『よって、我がデウスの名をもってここに宣言する!勇者や魔王のみならず、この世界に住む多くの者の人生を狂わせてきた女神フローディアと邪神ヴェルドを討つと!そしてこの2人を討った後、改めて私の口から全ての者に対して謝罪をさせて欲しい。そして贖罪として、皆の幸福を永遠に祈っていきたいと思う』
その言葉を最後にデウスの長い演説は終わった、そしてデウスも改めてフローディアとヴェルドの探索に協力を申し出てくれた。
どちらが先に探索の網に掛かるか今の時点では分からない、だが見つかった時がその2人の神にとっての最期を意味するのは間違い無い。俺はこの2人を討つ為だけの武器を作る為に神話級の武器の素材が多く眠っていると言うダンジョンに鍛冶屋のLV上げを兼ねデウスを連れ2人で潜る事にした。
そして俺達は自分達の住む家に戻ると、皆に長谷川が死んだ事と俺とリィナの子として転生させる事を伝えた。反対の声が上がる事も覚悟していたが皆の気持ちを代表したのかサーラが
「リィナさんとそのお子様だけ幸せにするのは駄目ですよ、私達はもちろんターニャさんやもうすぐ生まれる子供も全員纏めて幸せにしてくださいな」
そう言いながら、晴れやかな笑顔を見せてくれる。マリアや美沙も俺の方を見ながら頷きまた1つ絆が強くなっていくのを感じていた。それから1週間後魔王の居城の中でターニャは1人の子を産む、女の子だった。異世界から渡ってきた俺と魔王ターニャの血を引くこの娘には、予想すら出来ない障害がきっと行く手を阻むに違いない。だが、皆で力を合わせて守り抜こうと誓った。
それから3日後、俺は工房内で丸めたメモ用紙の山の中で溺れそうになっていた。
生まれた我が娘の名をまだ決められないのだ、ターニャと同じ様に魔王の道には進んで欲しくは無い。そして、将来幸せになって貰いたいこの気持ちを込めた名が早々簡単に出せる筈も無かった。
「子の名前を考えるのが、こんなに大変だとは思わなかったな・・・」
「頑張ってくださいね、パパ。早くしないと、娘が名無しの権兵衛になってしまいますよ」
隣ではターニャが娘に乳を与えながら、幸せそうに微笑んでいる。
「幸せ、幸せ・・・俺の元居た世界じゃ幸運の事をラッキーとラックとか言っていたが、こっちの世界ではなんて言うんだターニャ?」
「そうですわね、今ではイシスと言っておりますが古の時代ではエシスと言っていたそうです。なので、子の名前にもイシスやエシスを真似てエリシスと名付けたりしておりますわ」
「そうか。ラック・・ラック、エシス。ラックエシス、ラッケシス、ラケシス。ターニャ!ラケシスだ、この子の名前はラケシスにしよう!安直かもしれないが、2つの世界の幸運をきっと呼んでくれるぞ」
「ラケシス、ラケシス・・・本当に良い名です。ラケシス、これがお前の名前よ。幸せになるのよ、ラケシス」
翌日、俺とターニャは皆の前で娘の名前をラケシスに決めた事を伝えた。サーラや美沙も愛おしそうにラケシスの頭を撫で、リィナもラケシスの顔に頬を寄せると
「これから生まれてくる子達の良いお姉ちゃんになってね、ラケシス。そしてあなたは生まれてきた時から、ここに居る皆を幸せにしてくれているわ」
っと祝福してくれた、その様子を見ていたデウスは何か決意を固め俺にこう言ってきた。
『ミツクニ様、わたしはこれより全世界に向けある宣言を行おうと思います。その際に申し訳無いのですがラケシスの名を使わせて戴きますが宜しいでしょうか?』
「それは構わないが、ラケシスに危害が及ぶ様な事なら許さないぞ」
『その様な事は決してさせません、ご安心ください』
そう言うと、デウスは工房の天井を擦り抜けるとそのまま上空高く舞い上がり全世界に向け全ての住人に対しこう宣言を行った。
『私の名はデウス、この世界の主神にして全てを導く者。これより私の言う言葉をよく聞いて欲しい』
『先日、この世界に1人の赤子が生まれた。その子の父は勇者として召喚された若者と一緒に巻き込まれてこの世界に渡ってきた。そして、その子の母は今この世界の人間達に魔王と呼ばれている者だ』
『魔王は皆も知っての通りだが、この世界を全て手に入れた。だが、一部悲しい事は有ったが王や貴族達に財を奪われたり血筋で価値を決められる様な世の中から開放された事は皆も承知していると思う』
『そして、魔王は人間達に危害を加える気など持ってはいない。それは私が保証する、何故ならば私も今この娘の父である男の元で暮らしているからだ』
『私がこの男の元を訪れたのは、私の部下である1人の女神の浅はかさが呼んだ災いと1人の邪神の愚かさが引き起こした悲劇に対して被害を受けた者達に謝罪をする為だった』
『そこで私は、この男から新しい愛の形や結ばれ方を学ぶ事が出来た。更に私自身の思慮の足りなさや思い込みが今この世界で悲劇を起こした原因であったと知った』
『初めに私は魔王を討つ為に異世界より1人の少女を勇者として召喚しようと試みた、しかしそれは邪神の介入によって阻まれその少女は当初の場所と別の場所に召喚されてしまい尚且つ邪神の手によって性奴隷とされてしまった。それだけではない、邪神は少女と共に旅に出る筈であった2人の少女の人生までその力で歪め同じく性奴隷としてしまう』
『更に追い討ちとなったのは、私の部下の女神が勇者の出迎えに降りていたが早く天界に戻りたいが為に次代の勇者となる者を無理矢理召喚してしまう。そしてあろうことかこの女神は現魔王を討った後に、この勇者を口封じして消すつもりだった様なのだ』
『だがここで奇跡が起きた、この魔王と結ばれた男は先程も言ったが邪神によって性奴隷とされた勇者達3人をも救い出し魔王よりも先に妻として迎え共に生活していたのだ。つまり、魔王と勇者は戦う必要を無くしていたのだ』
『勇者と魔王といえども共に同じ誰かを愛し、共に同じ誰かを支える為に生きる道を選んでも構わない。私はこんな簡単な事すら忘れていた事実を思い知らされた。だが、悲劇は繰り返された』
『女神によって、無理矢理召喚された勇者は先日惨めな姿で死ぬ事となった。魔王の治める世になった今、勇者にはなんの意味も持たない、誰にも相手にもされず残飯などを漁り飢えをしのぐ生活にまで追い落とされた』
『そして、この勇者は最後に残る小さな誇りの為に魔王に挑み命を落とした。本来は、この様な人生になる筈の無い者がその人生を弄ばれ尊厳を踏みにじられたのだ』
『ゆえにこの様な悲劇を2度と繰り返さない為にも、私は勇者や魔王の存在しない世界に変えていく!そして、その象徴となるのは最初に言った赤子だ。この者の名はラケシス、異世界とこの世界で幸運の意味の名を持つ尊い存在である』
『この者を世界に居る全ての者が愛し慈しみ育て上げる事が出来た時こそ、勇者と魔王が存在する必要の無い未来へと繋がるだろう。だが、この未来へ至る道を消す可能性を持つ2人の存在がいまだどこかに潜んでいる』
『よって、我がデウスの名をもってここに宣言する!勇者や魔王のみならず、この世界に住む多くの者の人生を狂わせてきた女神フローディアと邪神ヴェルドを討つと!そしてこの2人を討った後、改めて私の口から全ての者に対して謝罪をさせて欲しい。そして贖罪として、皆の幸福を永遠に祈っていきたいと思う』
その言葉を最後にデウスの長い演説は終わった、そしてデウスも改めてフローディアとヴェルドの探索に協力を申し出てくれた。
どちらが先に探索の網に掛かるか今の時点では分からない、だが見つかった時がその2人の神にとっての最期を意味するのは間違い無い。俺はこの2人を討つ為だけの武器を作る為に神話級の武器の素材が多く眠っていると言うダンジョンに鍛冶屋のLV上げを兼ねデウスを連れ2人で潜る事にした。
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