とあるダンジョンのラスボス達は六周目に全てを賭ける

太嘉

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主と従者の章

アルター

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領主がこっそりと抱え込んだ二人の客人は、回復まで1週間ほど掛かった。

二人が食事と風呂以外はひたすら眠っていたその間、リヴォワールドは精力的に、昼は領主としての務めを果たし、夜は夜で今後の事をあれこれと思考を巡らせていた。

流石に城は一人で住むにはかなりの広さと部屋数だ。人を入れなければまともに機能しない。
地下迷宮への転移陣を人目に付かないようにしながらも、人をどこまで入れるか──

後は、街の復旧だ。
リ・ボーの知識はあれども、リヴォワールド自身ははまだ若いし、ここ以外の街造りの知識など無いに等しい。
──街を復興したとしても、王都に蹂躙される様な造りでは駄目なのである。壁を乗り越えたとしても、易々と蹂躙されない、そんな街並みが欲しいのだ。
人ではともかく物資も足りない。頭が痛い事だらけだ。

「…どうした」
執務机にことん、と額を落とした時、背後からエルドナスの声がした。

「…エルドナス~…」
情け無い声を出すな、と、初めて遭った時よりも、やや嗄れが抜けた声が返って来る。

「城の部屋の割りと街並みの建て直しで頭パンクしそう…」
頭を悩ます二つを口にすると、パンクさせておけ、と覇気なく、しかし即座に切り返される。
ぐう、と唸る若い領主の手元から、城の見取り図を取ると
「…ここだな」
と、自分たちが今いる三階の、執務室の所を囲った。

城の三階は、1フロア全て、元々リ・ボーが執務室兼居室として使っていた。
当時をよく知るエルドナスは、そこから更に、彼自身で維持が可能であろうと思われて、かつひとまず最低限必要な空間まで絞り込む。
「執務室までは人の手を入れさせろ。
3Fの居室にベッドを置くのは構わんが、可能なら隣に移したと周知して、そちらはダミーにした方がいい。部屋同士を繋ぐ扉は陣の応用で仮設ができる。
確か今の君の部屋の東の隅に転移陣があるはずだ。そこから2階の隠し部屋に飛べる。窓は無いが、換気は出来ているはずだ」

陣が生きていれば、と前置きをして、更にそこからの陣で1階の隠し部屋と行き来ができ、万が一の時は地下迷宮に脱出出来る様にもなっている、と続ける。

何せそれを設置させられたのはエルドナス本人だ。知らない訳がない。

「城の街並みに関しては…」
声を辿って来たのだろう、奥からフールがてとてとと覚束ない足取りで寄って来る。
「東国に、腕がいい者が確か居たはずだ。ツテがあるから迷宮のシステムを使って連絡を…」
言葉を続けようとしたエルドナスの袖が、強く引かれた。見やると、フールだった。
一生懸命、首を横に振っている。

──だめだよ、マスター。
システムはふかいところでつながってる。
ここでつないでつうしんしたら、おうとにほそくされる──

伝えたいのに、言葉が出ない。

ただでさえ普段からあまり良くない顔色を、更に土気色にして、何かを伝えたいのか、はくはくと口を動かして一生懸命に訴えようとしている。
その頭をぽんぽん、と叩いて、エルドナスはリヴォワールドに「済まない」と声を掛けた。

「…システムは、使えん」

ツテがある事だけは分かったが、システムによる情報伝達が使えない以上、交渉はこちらから事前連絡も無しに向こうに直に出向いて、という形になる。
赴任してすぐに長期間、領主が城を空けるわけにもいかないし、かといって匿っている客人を使うわけにも行かない──すぐにはそのツテは使えない、という事だ。

「それに関してはこちらで何とかしよう。今は人や馬が通れる位の道路の整備と、瓦礫の撤去等に留めておく事を薦める」
それに、と、エルドナスは静かに伝える
「見張られているぞ」
「まあねー」

王都で辞令を受け、この街に向かう時から、見張られているのはリヴォワールドも把握していた。
当たり前である。
王都にしてみればある意味鬼門でもあるトーリボルで『試練場』を利用すると堂々と許可まで取って来ているのだ。これで見張りすら付かなければ王都の人間は木偶の坊の方がマシな存在としか言いようが無い。
見張られている以上、こここら文を飛ばそうものなら奪われる事は間違いない。そこから謂われない事をでっち上げられるのだって──。

そこまで思考を回して、はた、とリヴォワールドは気付いた。

エルドナスが、身震いの止まらない痩躯の男をそっと抱き寄せ、甘える様にぴったりと身を寄せる大の男のこめかみに、額に、頬にと、母が子をあやす様に口付けを降らせている。

何を、見せつけられているの、だろうか。

「──エルドナス?」
「…しばらくこうしてやると、落ち着いてくれるのだが…」
当然と言わんばかりに返されて、はは、と小さな渇いた笑いが口から溢れた。

「……何かさ、聞きたいことがあって俺が邪魔しちゃっんだろうけど、一回寝かしつけて来たらどうかな…」
「……そうさせてもらう」

済まなかったな、と残して、フールの腰を抱き寄せたまま、エルドナスが客間に下がった。

「──おやすみ、また明日」
多少の騒音は我慢するから、できればそのまま今夜は引っ込んでいて欲しいなぁと心の底から願いながら、リヴォワールドは書類を片付けて、客間の隣の自身の寝室へと姿を消した。

────

意外と、見張りはザルなんだよなぁ。

屋外で指示を出しながら、リヴォワールドは現場に指示を出していく。
自分の動向を見張っている割には、城に侵入して、などと強行はまではして来ない。
(──まだ様子見であろうよ)
昨日のアレにはだんまりを決め込んで何も教えてくれないでいた居候が、退屈そうに返して来る。

街は未だ復旧途中で、部屋どころか屋根の無い民も少なく無い。
蹂躙の後で建てられた前領主の館を解放しても、たったそれだけでは全く足りてない。
せめて無事な城の敷地と建物二階までを開放できればと思うが、完全に執務室を仕切って二人の安全を確保してからでなければ、とも思うと、一人の力ではなんともできない歯痒さがどうしても拭えない。

そんな時、だった。

遠くに騎影が二つ、見えた。
ゆっくりと、城に向かって近づいて来る──
「…もし」
それは、従者を連れ立った、それなりに身なりの良い男であった。
銀色の髪を短く切り揃え、よく通る、低く柔らかい声で、男は魔術師ギルドから派遣されたと書類を出して来た。

ここトーリボルは、城塞都市として名を馳せているが、同時に、最初期の最高難易度の地下迷宮を擁するせいか、冒険者の街としても知られている。
昔ほどではないが、冒険者を取りまとめるギルドの他に、辺境の一都市としては異例の、前衛・後衛全ての職で、それぞれの互助会的な組織としてのギルドも存在していた。

王都からの二度に渡る破壊を受けて時間は経ったものの、この惨状に、とうとう国の干渉を受けない組織『冒険者ギルド』が動き出したのである。

「今後、他の職のギルドからも、派遣された者達が到着する事でしょう。まずは、必要な事の取りまとめと各ギルドへの振り分けの為に、魔術師ギルドから私が派遣されました。」
アルターと名乗る男が差し出した手を、有難い、とリヴォワールドが握る。
「あちらは私の従者のフルートゥ」
申し訳ないのですが、彼は私専属ですので、皆様のお手伝いはさせられないのですが…と、申し訳なさそうにアルターが頭を少し下げる。

魔術師の中には、身の回りの事を一切放棄し、研究一辺倒になってしまい、自分の身の回りの世話の為だけに従者を雇う者も少なく無い。彼もそういった人種の様だった。

「前衛ギルドの者が来れば、力仕事も進むでしょう。他の後衛ギルドの者達が来れば、細やかな復旧も進むはずです。どうかそれまで、微力ではございますがお力添えさせていただけますなら…」
「感謝する。領主のリヴォワールドだ。赴任して来たばかりで右も左も分からなかったからとても助かる。早速で済まないが、執務室の方に来ていただけないだろうか?とにかくやる事がありすぎて、篩にも掛けられなくてな…」

一緒に居た街の人間に、少し席を外す旨を伝えると、リヴォワールドは二人を城に連れていく。

「…で、なに雑な変装やってるんだよエル…」
「アルター、でございますよ」
「…アルター、殿」

嗄れた声しか知らなかったから、顔だけでは一瞬分からなかった。
自分の中の居候が噴いて分かったくらいだ。

アルターと名乗った男は、髪をバッサリと切り落としただけの、エルドナスその人だった。
嗄れのなくなった声は、いつまでも聴いていたいほど、とても耳に心地よい。
としたら後ろの従者は。
「フー。
馬を繋いで、荷物を下ろして下さい。
往復は面倒なので私も運びます」
改めて見直すと、変装も何もしていない、そのまんまの痩躯の男だった。

「…アレは、装い直す必要も無いので」
囁くように伝えるその声に、苦味が滲む。

こうして、ダンジョンマスターとその側近は、街を堂々と動く事を可能とした。

────

三階に招き入れられ、扉を施錠する音を聞き届けたと同時に、三人はふぅ、と大きく息を吐いた。

「冒険者ギルドを通して、全職のギルドに救援要請を掛けてきた」

人の良いアルターの皮をひとまず脱ぎ捨てたエルドナスは応接用のソファーに腰を下ろす。
そもそも地下迷宮には、城の裏手に出るのとは別の脱出口がいくつか設けられているもので、それを使ってわざわざ見張りの居ない所に転移して行動を起こしたらしい。
長距離転移が可能な魔術師ならではの荒技だ。

「魔術師ギルドだけは、私と交代という形になるだろうがな。あと、サムライはギルドを通して東国のツテの方に繋いだから到着が遅くなる」

サムライ──それは戦士として鍛え上げた上で、識字でき、一定の知識を修めた者だけが資格を得る事が許される上級職の一つだ。

そもそも狭義の侍は、東国に本拠地を置く、未だに正しく全容が知られていない武士の集団を指すが、冒険者ギルドに於いては、盾の守りを捨て、剣や槍といった戦士が扱う武器の他に、東国でよく使われている「カタナ」と呼ばれる細身の曲剣を扱う為の技術と、炎や氷などの攻撃系の魔法を授けられた者達を指す。
しかし、その真髄は在り方──どこまでも自身の研鑽にストイックで、決して他者を蔑ろにしない。自らの力を他人と己の共栄の為に振るう、その姿勢であるとされている。

「ギルドは国の影響を受けない組織だからな。金は掛かるが安心できる。
ただ、ここまで施設ごと機能を破壊されていたら、ギルドへ復旧の救援要請は飛ばせなかったろうよ」
フールが馬で運んできた箱を、応接のテーブルに置く。重い音を立てたソレを開けると──

中身を見たリヴォワールドが、慌ててばすんと蓋を閉める。

「!!!?!?!」
「とっておけ」
天下の回りものだ、と楽しそうに、エルドナスが人の悪い笑みを浮かべた。

地下迷宮産である。

冒険者を誘き寄せるのには財宝が必要だ。システムを起動させれば、一度に大量にとはいかないのが難点ではあるが、余程のユニークアイテムで無ければ自動で製造できる。
こういったモノを少しづつバラまいて、「地下迷宮に潜れば儲かる」と中毒性を持たせ、深みへとおびき寄せるのだ。
「適当に、隠し倉庫に眠ってたとでも言っておけ」
「あ、ありが、とう」
一つの箱で、見たことも無い量の、相当数の金貨が入っている。
それが3つも並んでいた。
「多分それだけあってもな、すぐ消える」
人を雇う、というのはそういう事だと、エルドナスは続けた。リ・ボーの受け売りだがな、と。
「まずそれで各種ギルドの拠点を建て直せ。
冒険者は拠点を軸に動くからな、その分一般市民に割ける空間の余裕も生まれてくる。
そのうちカパタト神の使徒も来よう。」

カパタト神──
『如何なる神も本質は同じであり、広めた者の違いであり説くことは同じである』
という教義故に、どんな教えであれど尽きぬ愛を以て認め、受け入れる愛の教えの教会だ。
それ故に、カパタト神の教会は、ただこの神の御許でのみ復活の奇跡が赦されている、冒険者達には無くてはならない施設である。

カパタト神の使徒は、この惨状であればまず衆生救済の動きに入るはずだ。この場合は、城塞都市の外にキャンプ地を切り拓きに入る──と、エルドナスは読んだ。

神に仕える者達が集まる僧侶ギルドの中でも、カパタト神に祈りを捧げ、失われた命を取り戻す奇跡を願う祝詞が伝えられているという。一定の修行を修めた者に授けられるが、結界と陣、複数人による祈りですらも成就率は五割を切る。地下迷宮という極限状態での成功率などたかがしてれいるものなのだが、それでもその祝詞を授けられたというのは、一種のステータスでもある。

「領主殿、私とフーは他のギルドの到着までここに居させてもらうと言う体は取れないだろうか?」
人の気配を感じ取ったのか、今更ながら居住まいを正し、申し出る『アルター』に
「有難い。場所を提供させて頂こう」
と、リヴォワールドも領主の皮を被り直す。
「では、早速。篩に掛けましょうか」
リストアップされた紙の束を受け取ると、『アルター』は形ばかりの『仕事』に取り掛かった。
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