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主と従者の章
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カツン、カツン、と玄室に足音が響く。
壁に寄りかかって座り込んでいた人影が、寝返りを打つ様に、音の方を振り仰いだ。
「……」
立っていたのは
「…リ・ボー…」
若い領主とは全く違う雰囲気に、力ない、嗄れた声で、座り込んだ人影は亡霊の名を呼んだ。
身を寄せる様に、隣に座る男に、人影は力無く手を伸ばす。
「わたし、は」
冷たい壁に触れる所から、ごく僅かな音と振動が伝わる。
「まちがって、いたの、だろうか…」
自分の我儘による五度のループ。
自分にとっての唯一無二を救ける事に間に合いたい。
たったそれだけの為に、五度、仲間を死なせてしまった。自分が殺した様なものだ。
それでも救けたい相手を救ける事はできなかった。
それどころか、蓄積された時間は、深い傷痕ととなって唯一無二を──唯一無二だというのに──蝕み、壊しかけていた。
もう、やり直せなかった。
やり直したら、完全に喪われる事など目に見えていた。
ループされた時間と経験は積み重なる。
その事に何故、気付く事は出来たはずなのに気づけなかったのか。
何故、五度も繰り返したのか。
繰り返さない事を選んだ時から続く、永遠の自問自答に答えは出ない。
差し出された手を取りながら、身を寄せる様に隣に座ると、男は答えを返した。
「終わってみらねば分からんだろうが。
まだ、始まってすらいない。今から始まるのだろうが」
五度、目の前の男は愚行を繰り返した。
それが間違いであると決して言えない事を、新たな身体で生き直す男は理解していた。
五度の繰り返しを経て得られるモノがあった。
この身となって分かった事だってある。
それは、この悪夢から抜け出す一条の光だった。
時が動き出し、同じ舞台で、同じ演目を踊るのは、新たな解釈を付け加えられた違う役者だ。
ならば、今度こそは。
返ってきた答えに、時を止めた男は力無く笑みを浮かべた。
引き寄せると、胸の中に倒れ込んで来る。
丸まった人影を、何も言わずに抱き抱えると、領主はそのままその場を後にした。
僅かな音と振動だけが、玄室を震わせていた。
────
三日間、アルターは眠り続けた。
その間も街の復旧と生活は続く。
「師父もお疲れだったんですねぇ」
ミフネの何気ない一言に、うっ、とリヴォワールドが声を漏らす。
確かに色々頼んだけど、一部押し付けてたりとかしてたけど!
でもあの人いつの間にか頼んだ以上の仕事終わらせてるんだよ…などとは言えず、口をぱくぱくさせているのを、侍と各ギルドからの代表が苦笑いで見ている。
肉体労働はしていないものの、その業務量は領主と同等かそれを超えるのを、アルターを知る現場で動く冒険者達は皆、知っていた。
そして拾われ子ではあっても、ミフネがアルターの縁者というのも皆知っていて「師父」という呼びに憧憬が滲み出るのも皆温かい目で見ていた。
戦士が驚嘆するほど、東国の侍は身体を使って働く事を惜しまず、魔術師が舌を巻くほど、言葉を重ねて親交を深め、議論を交わす事を厭わない。
東国では八百万の神と同じくらい『ホトケ』という先祖信仰が根付いているていることから、信仰者達とも話が弾み、自分の不得意分野は得意な者に頭を下げる事を何気なくやるので、ちょっとばかり捻くれ者が多い絡繰士達ですら、ついつい彼らの頼みを聞いてしまうのだ。
全てのギルド代表が集まって、カトウが出した街の復旧案が話し合われた。
市街復旧で出された案はルートの違いで四つ。
その四つ全てに、シマヅによる基本的な攻め方、守り方が添えられている。
建物についても、中から飛び道具で狙いやすい機構を組み込んだ造りや、建て直す際の素材についても、比較的手に入れやすいものでの提案があった。
これが全て叶ったら、市街戦で馬に乗っては進みにくく、徒歩になったら標的になりやすい。とにかくいやらしい造りであった。
「現在、仮住まいに使われているものは、うまく外せばまた資材として使えます。これはひとえに、街の大工職人や絡繰士の皆さんの腕前のお陰かと」
使える資材は使い回す、といった所も今は助かる。
問題は、ヒトとカネであった。
人手は第二陣、三陣と数は揃いつつある。
ほったて小屋程度であるが、各ギルドの寄場が出来た為、それぞれのギルドに所属している冒険者達の間での統率も取れ始めて来ている。
そのヒトを動かし資材を揃える為のカネを調達する方法が無かった──否、足元には「ある」のだ。使うには危険な、しかし、うまく行けばとてつとない金を産み出す……
最初期の最難関地下迷宮『試練場』が。
しかも領主のみぞ知る事だが、その起動に必要な魔力を持つ『ダンジョンマスター』本人もいる。
しかし、理由も無しに闇雲に起動させたとなれば、王都がまず黙ってはいない。最悪エルドナスは連れ去られ、この城塞都市は影も形も無くなる──
どうにか、打開できないものか。
─────
ふわり、と意識が浮いた。
「───」
泣き疲れて寝落ちして、爆睡して起きた朝の様な、スッキリしているのかぼんやりしているのかがいまいち分からない状態で、痩躯の男は身体を起こした。
目の前の壁に、光が走る。
「う、ん」
その光が何を言いたいのかが、男にはなんとなく「分かった」。
ピッ、と再び、壁に光が走ると、フォン、と微かな音を立てて、光の線が四角い枠に変化する。
『システム、起動』
枠の中に、女性の形の画面が浮かぶ。
『おはようございます、FOOL
わたしが、わかりますか?』
やわらかい、女性の声が、天井から降り注ぐ。
こくり、と痩躯の男は頷いて
「はい、ぷりえすてす…」
『ありがとうございます』
分かってくれてうれしいです、と声が続けた。
「しすてむ、02、はいぷりえすてす」
『はい』
システム、と呼ばれた声は、とても嬉しそうだ。
『きぶんは、いかがですか?』
「きぶんは、ふつう。まだ、あたま、すっきりしてない」
地上ではなかなか出ない声がここでは出せる。それはひとえにこの場所がフールの寝床だからだろう。
フールの返事に応える様に、フールの眉の上に光の帯が一瞬、走る。
『一気に情報整理しましたので、少し思考能力に疲労が出ているのかもしれません。軽微な影響です。
──情報処理機能は正常。記録領域のデフラグは全体の10%、クリーンアップ5%完了してます』
再び、もう一度、フールの眉の上に光が走る。
伝えられる情報量が一気に増したが、フールの思考は充分についていけていた。
『会話機能は正常状態の20%修復完了。
システム維持と調整機能の回復を優先、及び、記録情報整理と保持を最優先というFOOLの強い要望の為、外装機能の回復は後回しになります。
これにより、意思疎通用外装は現在の状態で永劫固定のおそれがあります。よろしいですか?』
「うん、だいじょうぶ」
三度、四度と眉の上に光が走る度に、フールの思考から霧が晴れる様な清々しさが増していく。
『システム02は不安要素を提示します』
「なあに?」
『不要な記録を削除せず保持する事で、現在の外装と未消去の記録が不確定要素にて組み合わさった時、情報処理機能に深刻な不具合が出る恐れがあります』
「ありがとう。でも、それは、きっと、だいじょうぶ」
『理由を伺っても?蓄積情報として記録します』
「ますたーが、ダナが、いるから」
へらり、と相好を崩す痩躯の男に
『そこが不確定要素としての最大の懸念です。
システム02は、もしもマスター・エルドナスが原因でFOOLに深刻な不具合が出た場合は、対処法として『マスターを振り回す』事を推奨します』
「ふりまわす?」
『はい。ご自分の状態をマスターに報告するだけです。
それだけで、マスター・エルドナスの今までの行動パターンから演算しますと、勝手に振り回されると予想されます』
物理的に振り回してはいけませんよ、と釘を刺すのも忘れない。
「うん、わかった」
『今回の修復はこれで完了となります』
「ありがとう、はいぷりえすてす」
『どういたしまして、FOOL。
……追提案をしても?』
「なあに?」
『現時点より、FOOLの機能回復補助専用システムとして、今まで蓄積されたデータから、FOOLⅡの生成の許可を』
「……」
少しだけ、哀しそうな、困ったような表情になる。
それをなんと表現するのか、システムは理解していた。
それは、システムには不要な──でもきっと、ヒトと交わるからには必要な感情情報。
『生成したFOOLⅡを使用すると、現段階で、デフラグとクリーンアップの速度が3倍、記憶情報整理及び各種状態回復が2.5倍、記憶バックアップ機能が追加されます。
オリジナルFOOLの役割には被らせません』
「うん……わかった」
『ありがとう、ございます』
まるで幼子を抱きしめるように、光の帯がフールのこけた頬を包むようになぞっていく。
『いつでも、修復にいらっしゃい』
ほんの少し、先ほどまでとは違う声に
「…えんぷれす?」
返事を返す代わりに、光の帯が優しくフールの頭を撫でる。
『さあ、いってらっしゃい』
ちゃんと戻ってくるのですよ、と続けながら、光の帯が一本、二本と増え、転移陣へ誘うように伸びていく。
てと、と、ハイプリエステスが写っていた枠に背を向けて、痩躯の男は歩き始める。
一歩、また一歩。
本来地下迷宮の外には出られない存在は、想定外の時間、行動範囲外に出ていた。
外装も、内部も、損傷は激しい。
それでもソレは、「外」に行かずにはいられない。
側に寄り添いたい相手を閉じ込めておく事などできないから──
壁に寄りかかって座り込んでいた人影が、寝返りを打つ様に、音の方を振り仰いだ。
「……」
立っていたのは
「…リ・ボー…」
若い領主とは全く違う雰囲気に、力ない、嗄れた声で、座り込んだ人影は亡霊の名を呼んだ。
身を寄せる様に、隣に座る男に、人影は力無く手を伸ばす。
「わたし、は」
冷たい壁に触れる所から、ごく僅かな音と振動が伝わる。
「まちがって、いたの、だろうか…」
自分の我儘による五度のループ。
自分にとっての唯一無二を救ける事に間に合いたい。
たったそれだけの為に、五度、仲間を死なせてしまった。自分が殺した様なものだ。
それでも救けたい相手を救ける事はできなかった。
それどころか、蓄積された時間は、深い傷痕ととなって唯一無二を──唯一無二だというのに──蝕み、壊しかけていた。
もう、やり直せなかった。
やり直したら、完全に喪われる事など目に見えていた。
ループされた時間と経験は積み重なる。
その事に何故、気付く事は出来たはずなのに気づけなかったのか。
何故、五度も繰り返したのか。
繰り返さない事を選んだ時から続く、永遠の自問自答に答えは出ない。
差し出された手を取りながら、身を寄せる様に隣に座ると、男は答えを返した。
「終わってみらねば分からんだろうが。
まだ、始まってすらいない。今から始まるのだろうが」
五度、目の前の男は愚行を繰り返した。
それが間違いであると決して言えない事を、新たな身体で生き直す男は理解していた。
五度の繰り返しを経て得られるモノがあった。
この身となって分かった事だってある。
それは、この悪夢から抜け出す一条の光だった。
時が動き出し、同じ舞台で、同じ演目を踊るのは、新たな解釈を付け加えられた違う役者だ。
ならば、今度こそは。
返ってきた答えに、時を止めた男は力無く笑みを浮かべた。
引き寄せると、胸の中に倒れ込んで来る。
丸まった人影を、何も言わずに抱き抱えると、領主はそのままその場を後にした。
僅かな音と振動だけが、玄室を震わせていた。
────
三日間、アルターは眠り続けた。
その間も街の復旧と生活は続く。
「師父もお疲れだったんですねぇ」
ミフネの何気ない一言に、うっ、とリヴォワールドが声を漏らす。
確かに色々頼んだけど、一部押し付けてたりとかしてたけど!
でもあの人いつの間にか頼んだ以上の仕事終わらせてるんだよ…などとは言えず、口をぱくぱくさせているのを、侍と各ギルドからの代表が苦笑いで見ている。
肉体労働はしていないものの、その業務量は領主と同等かそれを超えるのを、アルターを知る現場で動く冒険者達は皆、知っていた。
そして拾われ子ではあっても、ミフネがアルターの縁者というのも皆知っていて「師父」という呼びに憧憬が滲み出るのも皆温かい目で見ていた。
戦士が驚嘆するほど、東国の侍は身体を使って働く事を惜しまず、魔術師が舌を巻くほど、言葉を重ねて親交を深め、議論を交わす事を厭わない。
東国では八百万の神と同じくらい『ホトケ』という先祖信仰が根付いているていることから、信仰者達とも話が弾み、自分の不得意分野は得意な者に頭を下げる事を何気なくやるので、ちょっとばかり捻くれ者が多い絡繰士達ですら、ついつい彼らの頼みを聞いてしまうのだ。
全てのギルド代表が集まって、カトウが出した街の復旧案が話し合われた。
市街復旧で出された案はルートの違いで四つ。
その四つ全てに、シマヅによる基本的な攻め方、守り方が添えられている。
建物についても、中から飛び道具で狙いやすい機構を組み込んだ造りや、建て直す際の素材についても、比較的手に入れやすいものでの提案があった。
これが全て叶ったら、市街戦で馬に乗っては進みにくく、徒歩になったら標的になりやすい。とにかくいやらしい造りであった。
「現在、仮住まいに使われているものは、うまく外せばまた資材として使えます。これはひとえに、街の大工職人や絡繰士の皆さんの腕前のお陰かと」
使える資材は使い回す、といった所も今は助かる。
問題は、ヒトとカネであった。
人手は第二陣、三陣と数は揃いつつある。
ほったて小屋程度であるが、各ギルドの寄場が出来た為、それぞれのギルドに所属している冒険者達の間での統率も取れ始めて来ている。
そのヒトを動かし資材を揃える為のカネを調達する方法が無かった──否、足元には「ある」のだ。使うには危険な、しかし、うまく行けばとてつとない金を産み出す……
最初期の最難関地下迷宮『試練場』が。
しかも領主のみぞ知る事だが、その起動に必要な魔力を持つ『ダンジョンマスター』本人もいる。
しかし、理由も無しに闇雲に起動させたとなれば、王都がまず黙ってはいない。最悪エルドナスは連れ去られ、この城塞都市は影も形も無くなる──
どうにか、打開できないものか。
─────
ふわり、と意識が浮いた。
「───」
泣き疲れて寝落ちして、爆睡して起きた朝の様な、スッキリしているのかぼんやりしているのかがいまいち分からない状態で、痩躯の男は身体を起こした。
目の前の壁に、光が走る。
「う、ん」
その光が何を言いたいのかが、男にはなんとなく「分かった」。
ピッ、と再び、壁に光が走ると、フォン、と微かな音を立てて、光の線が四角い枠に変化する。
『システム、起動』
枠の中に、女性の形の画面が浮かぶ。
『おはようございます、FOOL
わたしが、わかりますか?』
やわらかい、女性の声が、天井から降り注ぐ。
こくり、と痩躯の男は頷いて
「はい、ぷりえすてす…」
『ありがとうございます』
分かってくれてうれしいです、と声が続けた。
「しすてむ、02、はいぷりえすてす」
『はい』
システム、と呼ばれた声は、とても嬉しそうだ。
『きぶんは、いかがですか?』
「きぶんは、ふつう。まだ、あたま、すっきりしてない」
地上ではなかなか出ない声がここでは出せる。それはひとえにこの場所がフールの寝床だからだろう。
フールの返事に応える様に、フールの眉の上に光の帯が一瞬、走る。
『一気に情報整理しましたので、少し思考能力に疲労が出ているのかもしれません。軽微な影響です。
──情報処理機能は正常。記録領域のデフラグは全体の10%、クリーンアップ5%完了してます』
再び、もう一度、フールの眉の上に光が走る。
伝えられる情報量が一気に増したが、フールの思考は充分についていけていた。
『会話機能は正常状態の20%修復完了。
システム維持と調整機能の回復を優先、及び、記録情報整理と保持を最優先というFOOLの強い要望の為、外装機能の回復は後回しになります。
これにより、意思疎通用外装は現在の状態で永劫固定のおそれがあります。よろしいですか?』
「うん、だいじょうぶ」
三度、四度と眉の上に光が走る度に、フールの思考から霧が晴れる様な清々しさが増していく。
『システム02は不安要素を提示します』
「なあに?」
『不要な記録を削除せず保持する事で、現在の外装と未消去の記録が不確定要素にて組み合わさった時、情報処理機能に深刻な不具合が出る恐れがあります』
「ありがとう。でも、それは、きっと、だいじょうぶ」
『理由を伺っても?蓄積情報として記録します』
「ますたーが、ダナが、いるから」
へらり、と相好を崩す痩躯の男に
『そこが不確定要素としての最大の懸念です。
システム02は、もしもマスター・エルドナスが原因でFOOLに深刻な不具合が出た場合は、対処法として『マスターを振り回す』事を推奨します』
「ふりまわす?」
『はい。ご自分の状態をマスターに報告するだけです。
それだけで、マスター・エルドナスの今までの行動パターンから演算しますと、勝手に振り回されると予想されます』
物理的に振り回してはいけませんよ、と釘を刺すのも忘れない。
「うん、わかった」
『今回の修復はこれで完了となります』
「ありがとう、はいぷりえすてす」
『どういたしまして、FOOL。
……追提案をしても?』
「なあに?」
『現時点より、FOOLの機能回復補助専用システムとして、今まで蓄積されたデータから、FOOLⅡの生成の許可を』
「……」
少しだけ、哀しそうな、困ったような表情になる。
それをなんと表現するのか、システムは理解していた。
それは、システムには不要な──でもきっと、ヒトと交わるからには必要な感情情報。
『生成したFOOLⅡを使用すると、現段階で、デフラグとクリーンアップの速度が3倍、記憶情報整理及び各種状態回復が2.5倍、記憶バックアップ機能が追加されます。
オリジナルFOOLの役割には被らせません』
「うん……わかった」
『ありがとう、ございます』
まるで幼子を抱きしめるように、光の帯がフールのこけた頬を包むようになぞっていく。
『いつでも、修復にいらっしゃい』
ほんの少し、先ほどまでとは違う声に
「…えんぷれす?」
返事を返す代わりに、光の帯が優しくフールの頭を撫でる。
『さあ、いってらっしゃい』
ちゃんと戻ってくるのですよ、と続けながら、光の帯が一本、二本と増え、転移陣へ誘うように伸びていく。
てと、と、ハイプリエステスが写っていた枠に背を向けて、痩躯の男は歩き始める。
一歩、また一歩。
本来地下迷宮の外には出られない存在は、想定外の時間、行動範囲外に出ていた。
外装も、内部も、損傷は激しい。
それでもソレは、「外」に行かずにはいられない。
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