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幕間
時は未だ-3-
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トーリボルの地下迷宮群が隆起して一月経とうとしていたある日のこと。
────
領主の居城の裏口、『試練場』の入口の北側には、草原が広がっている。
遠目に見やると人の手が入っている様に見えるが、近づくと木こそは生えていないものの、荒れ果てているのが分かる。草原と言うより、放置されすぎていて最早草叢だ。
陽も西側に傾き始めた頃、四人の男が試練場の入口に立っていた。
「…もうそろそろ復帰できそうだな、エル」
「ですね。お医者様の許可が出れば、すぐにでも」
久々に顔を合わせたフェンティセーザとエルドナスに
「……」
「あの、だ、大丈夫…?」
顔面蒼白でその場に立ち尽くすヘリオドールと、彼を気遣うフールだ。
「…だから来るなと言ったろうに」
ややため息混じりのフェンティセーザの声に、
「言葉が足りなすぎだよお前…」
フールに支えられながら、きっ、とヘリオドールが睨み返す。
ここがどんな場所なのか、ヘリオドールは直感で分かっていた。
(何をする気だよこの馬鹿)
本当なら、こんな場所になんて立っていたくないし、ここに来るのが分かっていたら、決して付いて来なかった。しかもこっちがついつい付いて来たくなる様な言い回しをされてノってしまった。もうなんだったら、速攻拠点に帰ってこの馬鹿を締め出してやりたい。それなのに、悪寒と吐き気で身じろぐ事すら出来ずにいた。
それはフェンティセーザも多かれ少なかれ一緖のはずだ。聡い彼なら──しかし、眉一つひそめる事なく、微笑みさえ浮かべて、彼は弟子と向き合っている。
「エル、ここなら充分な広さがある。さあ──」
にっこりと笑って、師は弟子に促した。
「今後の為に、攻撃呪文の練習だ」
────
この世界で、聖職者が神の奇跡を体現すると言うのなら、魔術師は叡智の真髄をこの世に顕にする。
その中でも、旅の空の下──特に、地下迷宮に挑む者達にとって、それらの叡智は時に仲間の身を護る盾となり、冒険を後押し紐解く力となり
そして、敵を薙ぎ払う力となる。
弟子が妹と縁組したその時に、師は弟子に、一切の攻撃呪文の使用を禁じた。
理由は単純だ。人の身に余りある魔力が、弟子自身を焼くのを恐れたからだ。
絶対数が少ない古代種エルフとの、更に縁組となったら、それだけで研究対象になりかねない。それ程に、定命の者には過ぎた魔力を宿すことになる。
故に、魔力の強さや大きさが関係しない呪文だけしか使わせなかった。
無論、弟子も師の元を離れるまでの間に、最高位の呪文まですべて解放し、網羅している。しかし、師の考えをきちんと理解して、敢えて攻撃呪文は使って来なかった。
かつて『試練場』の主として、最奥で待ち構えていた時ですら、だ。
「これから先『宝物庫』の番人として立ちはだかるのに、一切攻撃呪文を使わないと言う訳にはいかないだろう?
今ならバックファイアから身を護る『殻』もある。攻撃呪文の解禁だ」
領主に許可は取ってある、と、にこやかに、にこやかに。
こんな時のフェンティセーザが、何も考えてない訳がないのを知っているヘリオドールが、くいくい、と小さくフールの袖を引く。
(…おい、おいフー)
(なあに?)
地下迷宮のメインオペレーティングシステムである彼を『フール』と呼べるのは、マスターである弟子だけだ──遺跡探索者として地下迷宮システムについてある程度把握しているヘリオドールが
(エルの魔力、介入して制限できるか?)
(できるとは思うけど、やったことないからわからないよ?)
フールが小声で返す。
地下迷宮のオペレーティングシステムが、地下迷宮の維持運営の為に、マスターの魔力を増幅させる事が可能なのは、今までの『学府』の研究で判明している。増幅させた場合の副作用も含めてだ。
しかし、その逆の例は無い。
迷宮の維持運営には、魔力はどれだけあっても困らないから、敢えて制限する理由が無いのだ。
「まずは<大炎>から」
「…はい」
師に促されて、弟子は一呼吸置くと、草原に手を翳し、短く呪文を唱えた。
次の瞬間、草原が朱に染まった。
────
「……ははっ、よく燃えるなぁ!」
はっはっはっ。
未だかつて無い上機嫌で笑い声を上げる師の横で、弟子が呆然と立ち尽くしている。
草原は炎の海と化していた。
様々なモノが焼ける臭いが辺りに充満する。
「……何やってんの!?」
流石に慌ててやってきた領主・リヴォワールドの咎める声に、ぎぎぎ、とエルドナスが声の方を向く。
その表情の強張り具合から、この有様は、本人にとっても予想の範囲を遥かに超えていたのだろうというのが手に取るように分かった。
地下迷宮も、その入口も、この城も、特殊な結界によって護られているから、例え真裏で大火事が起ころうとも被害は無いはずだ。
「フェンティセーザ殿、城の裏を借りると言ってきた時に二つ返事で許可を出したが、焼畑するならすると言って貰わないと困る」
リヴォワールドの故郷では、冬の終わりに畑を焼くのは普通の事だった。それ故の今の発言だが驚愕と混乱が否めない。予想以上の出来事に、リヴォワールドも取り乱していた。
「ここ焼き払って農地にするとかなったら『王都』が嬉々として税を巻き上げにくるからな…」
「焼き払うだけ焼き払ってそのまま放置しておけばいいだろうに」
くつくつと笑いを収めながら返す言葉に、流石に領主が渋面を作る。
どうやら弟子の魔力の殻に護られたのは、本人とフェンティセーザだけだった様だった。
(…これを焼畑で済ませるには肝が据わりすぎてるだろ?!?!)
結界を張るのが一瞬遅れて、軽く熱を喰らったヘリオドールが心の中でツッコミを入れる。炎に巻かれるまでは行かなかったのは、フールが無理やり介入して炎の舌先の進路を捻じ曲げたからだ。
今もリヴォワールド含め、ここに居る全員が普通にしていられるのは、『試練場』だけでなく『宝物庫』上部の地上までが管轄であるというちょっと無理げな拡大解釈を展開したフールによる力場調整の賜物である。
「エル、次は<凍結>を。魔力は制御しなくていい。今の状態でどれだけかをまず知っておく必要がある」
「は、はい…!」
師の声に我に返った弟子が、再び一面の炎に手を翳し、呪文を唱える。
次の瞬間、草原は一面の白銀の世界と化した。
────
「……いやあ、流石の魔力だ。笑えんな」
はっはっはっ。
漏らした言葉とは裏腹に笑い、頷きながらフェンティセーザが感想を漏らした。
赤と黒の世界を塗り替えた白銀は一瞬。
凍りついた世界が、しかし今までの炎の熱でゆるゆると溶けて行く。白いもやとなり大気へと立ち上り始める頃には、更に二騎の騎影が辿り着こうとしていた。
「何事だ?!──フェンティセーザ殿?」
声の主は、この街の冒険者ギルドマスター・フォスタンドだ。もう一人は顔を確認せずとも、遠目からでも体格で分かる。副ギルドマスターのルチレイトだ。
「ああ、済まない、フォスタンド殿。
既に伝えてある通り、『試練場』のダンジョンマスターは奇遇にも私の弟子でね。コレは少し特殊な体質だから、本格的な始動に向けて少し具合を見ていたのだよ。安全な所でね」
フェンティセーザにしては珍しく、人を食ったような笑みを浮かべて、呼び掛けに答えた。
その空色の瞳の奥に、ちらりと、確かに、フォスタンドは狂気の炎を見た。
「一体何を使ったらこんなになるんだ?」
「──<大炎>、を……」
追いついて来たルチレイトに、エルドナスがぽつりと返した。
目の前の二人の向こうに拡がるは、視界が届く限りの黒焦げの一帯──魔術師が、複数体向けの攻撃魔法として体得する呪文で、これである。
最高位の、全体攻撃呪文を発動させたら、どうなることか。
「……『アルター』殿…?」
しかし、その恐ろしさを一番危惧していたのは、他ならぬダンジョンマスターであり、この街の復興の立役者である彼本人だった。
領主の横でトーリボルの街の復興の先陣を切っていた切れ者の表情が、凍り付いている。
(……まるで)
呪文を憶えたての駆け出しのようだ。
自分達が勝手に思っているよりも、目の前に立つこの街の『賢者』は、冒険者としては幼いのかもしれない。
(フー、私はいい。行っておあげ)
ヘリオドールが、側で支えているフールの背中をそっと押すと、フールは一瞥して、主の元へ足を向けた──
「何やってんの兄さん!!!!!!!!」
その横を翔ける様に抜き去る声。
続いて、その声に一瞬、気を取られたフェンティセーザの顔面に綺麗に拳がめり込んだ。
「何を考えてるか常々分かりにくいとは思っていたけど、そろそろいい歳なんだから一人で突っ走るのはいい加減やめたらどうだい?」
さすがにその一撃は効いたのでだろう、倒れ込みそうになったフェンティセーザの身体を支えながら、拳の主のトゥーリーンが苦笑まじりに苦言を呈する。
「すまないねぇフォスタンド。
ここ数日あからさまに様子がおかしかったのは知ってはいたんだ。うちのが迷惑掛けた」
「……こっちは何も迷惑はしてない、しているとしたら領主殿の方だ」
「オレは驚きはしたけど城は被害ないし、住民が巻き込まれた訳でもないから、迷惑かといえばそうじゃない。焼けて草叢もスッキリしたし、まあいいんじゃないかな」
「流石に後で折檻しとくよ」
「「あの一撃でもういいんじゃないか」」
顔面に綺麗に拳が入った絵面に、エルドナスとフール、ヘリオドールとルチレイトが呆然としている。
「…鼻の骨が折れてようが顔が膨れ上がろうが呪文で元通りにするから、気にしないでいいわよ」
ふんすふんす、と、ヘリオドールの側に立ったアレンティーナが鼻を鳴らした。
「…大丈夫?ヘリオドール、フール」
「…なんとかね。あと彼は『フール』と呼ばないでやってくれ、アレンティーナ」
「どうして?」
「彼は…人と同じ存在だけど『システム』だからね。主以外がその名で呼んでも『認識しない』んだ」
「そうなの?」
「そういった存在なんだ」
手短に伝えた研究者の言葉に、アレンティーナが「分かったわ」と短く返した。
「…フー。ちょっといいかな?エル・ダーナスも連れて来て」
「うん。どうしたの?」
ヘリオドールはフールに、エルドナスと共に側に呼ぶと、フールは素直に従った。魔力の消費よりも、予想以上の光景が余程精神的に負担だったのか、抱き抱えられたエルドナスはぐったりとしている。
「いいかい。『宝物庫』の探索の為には『試練場』の突破が大前提だ。でも、エルがこのままだったら『試練場』は最初から攻略不能になる」
こいつが呪文を一発撃てば、攻略側がどんなに強くても全滅するだろうね、と続けると、こく、とフールが頷いた。
「こいつの全部の魔力を制限しろとは言わない。ただ、戦闘用の魔力のリソースだけでもごっそり、迷宮の運営維持とかに回したりとかはできないかな?
さっき炎や熱や冷気から私達を護ってくれた様な感じで、常にそれなりに消費し続けてみるとかして」
「うん…できるかぎり、やってみる」
「やけに詳しいんだな」
会話に割って入ったのはルチレイトだった。
「地下迷宮のシステム解析は、私の専門分野だからね。これでも『虚空』と『呪いの穴』は一通り押さえている」
変化が絶えないだろうから、細部は変わっているとは思うけど、とヘリオドールが返す。
「──こんな風に役に立つ日が来るなんてね」
ぽつり、と漏らした呟きごと、アレンティーナがヘリオドールを抱きしめた。
「……アレンティーナ?」
「なんか、こうしたくなったのよ」
「有難いけど離れてくれ。君の兄に刺される」
「…それは無いわよ」
出逢った頃の、超強火のシスコンぶりを思い出して身を震わせたヘリオドールにアレンティーナは苦笑を返した。
「……」
気絶しているからか。見られていないならいいか。
言っても聞かないのは双子揃ってなので、ヘリオドールは好きにさせる事にした。
────
立ち昇るもやも消えゆく頃。
「あーーーー何やってんだよフェンティス~!」
「ほんとほんと」
がさごそと、燃え尽きた草叢から燃え滓が宙に舞う。
「いきなり火の海にするわ氷の原にするわ」
姿は見えないが、ハロドとジャスパの声が少しづつ近づいて来る──
そして
「色々持ってって無かったら~」
「オイラ達確実に巻き込まれてたよ!」
ひょい、と、トゥーリーンとフォスタンドの足元に、ぷう、と頬を膨らませた小さな人影が二つ姿を現した。
「ハロド!」
「ジャスパ、お前…!」
若干煤けてはいるが、それぞれの欠かせない仲間だ。
「とりあえずさ、ちょーーー急ぎの話あるからお城の部屋借りていい?」
「ハロド兄と一緒に見つけてきたんだ。ここにいる全員、すぐに移動お願い」
いつもの口調の小さき人たちからのお願いは、命令にも近かった。
────
「奥に」
余程の事だと察したのだろう。リヴォワールドが、案内したのは自室から転移した2階の隠し部屋だった。
「これだけの人数だと少し狭いな」
「ここはそもそもあいつ専用だったからな」
リヴォワールドの呟きに、エルドナスが応える。
あいつとは言うまでもない、初代領主、リ・ボーだ。
「狭くていいよ。狭い方がいい」
「アレンティー、フェンティス起こして」
「分かったわ」
ハロドの声色に、アレンティーナが気絶しているフェンティセーザに<完治>の祈りを捧げる。
「……死んだかと思った」
「そんな馬鹿な死に方したら末代まで残すわよ」
意識を取り戻したフェンティセーザに、呆れたようにアレンティーナが返した。
「全員、いい?」
ジャスパの声掛けに、全員が頷く。
見届けて、ジャスパが腰袋から取り出したのは、三枚の金属片だった。
「フェンティスが言った場所の所にあったよ」
いつに無く固い、ハロドの声。
それは、傷だらけの、冒険者タグだった。
「名前、ちゃんと読み取れた。
二度目のトーリボル壊滅時の、ギルマス達のものだよ」
ジャスパが、それらをフォスタンドに手渡す。
「……そうか」
普段通りのフェンティセーザの声から、彼の思う所は読めない。
しかし目の前のそれらは
「…馬鹿かティス。お前、なんでこんな無茶を」
ヘリオドールの『夢見』の確たる証拠だった。
夢を見続けた本人ですら、己が身に爪を立て全身を掻きむしり、のたうちまわり吐き戻すほどのあの惨劇を、一方的な蹂躙を──カパタト神の奇跡すらも望めぬほどの仕打ちを、この男は一片たりとも拾い漏らす事なく観ていたというのか。
かつて自分達の仲間が同じ目に逢わされているかもしれないというのに。
それを想う度に表情を無くしていたというのに。
「お前の能力が過小評価されるのが、我慢ならないからだ」
それなのに。
ヘリオドールにとっては「たったそれだけ」の。
フェンティセーザにとっては、どんなにちっぽけであっても「どうでも良くない」そんな理由で。
「……何があったか、教えて貰えないだろうか、アガット殿」
詳しい事は伏せられていた内容に、フォスタンドが勇気と礼節を持って切り込んだ。
────
そうして、この日を境に、冒険者ギルドとその構成員は、静かに『王都』への反撃の機会を伺う事となった。
────
領主の居城の裏口、『試練場』の入口の北側には、草原が広がっている。
遠目に見やると人の手が入っている様に見えるが、近づくと木こそは生えていないものの、荒れ果てているのが分かる。草原と言うより、放置されすぎていて最早草叢だ。
陽も西側に傾き始めた頃、四人の男が試練場の入口に立っていた。
「…もうそろそろ復帰できそうだな、エル」
「ですね。お医者様の許可が出れば、すぐにでも」
久々に顔を合わせたフェンティセーザとエルドナスに
「……」
「あの、だ、大丈夫…?」
顔面蒼白でその場に立ち尽くすヘリオドールと、彼を気遣うフールだ。
「…だから来るなと言ったろうに」
ややため息混じりのフェンティセーザの声に、
「言葉が足りなすぎだよお前…」
フールに支えられながら、きっ、とヘリオドールが睨み返す。
ここがどんな場所なのか、ヘリオドールは直感で分かっていた。
(何をする気だよこの馬鹿)
本当なら、こんな場所になんて立っていたくないし、ここに来るのが分かっていたら、決して付いて来なかった。しかもこっちがついつい付いて来たくなる様な言い回しをされてノってしまった。もうなんだったら、速攻拠点に帰ってこの馬鹿を締め出してやりたい。それなのに、悪寒と吐き気で身じろぐ事すら出来ずにいた。
それはフェンティセーザも多かれ少なかれ一緖のはずだ。聡い彼なら──しかし、眉一つひそめる事なく、微笑みさえ浮かべて、彼は弟子と向き合っている。
「エル、ここなら充分な広さがある。さあ──」
にっこりと笑って、師は弟子に促した。
「今後の為に、攻撃呪文の練習だ」
────
この世界で、聖職者が神の奇跡を体現すると言うのなら、魔術師は叡智の真髄をこの世に顕にする。
その中でも、旅の空の下──特に、地下迷宮に挑む者達にとって、それらの叡智は時に仲間の身を護る盾となり、冒険を後押し紐解く力となり
そして、敵を薙ぎ払う力となる。
弟子が妹と縁組したその時に、師は弟子に、一切の攻撃呪文の使用を禁じた。
理由は単純だ。人の身に余りある魔力が、弟子自身を焼くのを恐れたからだ。
絶対数が少ない古代種エルフとの、更に縁組となったら、それだけで研究対象になりかねない。それ程に、定命の者には過ぎた魔力を宿すことになる。
故に、魔力の強さや大きさが関係しない呪文だけしか使わせなかった。
無論、弟子も師の元を離れるまでの間に、最高位の呪文まですべて解放し、網羅している。しかし、師の考えをきちんと理解して、敢えて攻撃呪文は使って来なかった。
かつて『試練場』の主として、最奥で待ち構えていた時ですら、だ。
「これから先『宝物庫』の番人として立ちはだかるのに、一切攻撃呪文を使わないと言う訳にはいかないだろう?
今ならバックファイアから身を護る『殻』もある。攻撃呪文の解禁だ」
領主に許可は取ってある、と、にこやかに、にこやかに。
こんな時のフェンティセーザが、何も考えてない訳がないのを知っているヘリオドールが、くいくい、と小さくフールの袖を引く。
(…おい、おいフー)
(なあに?)
地下迷宮のメインオペレーティングシステムである彼を『フール』と呼べるのは、マスターである弟子だけだ──遺跡探索者として地下迷宮システムについてある程度把握しているヘリオドールが
(エルの魔力、介入して制限できるか?)
(できるとは思うけど、やったことないからわからないよ?)
フールが小声で返す。
地下迷宮のオペレーティングシステムが、地下迷宮の維持運営の為に、マスターの魔力を増幅させる事が可能なのは、今までの『学府』の研究で判明している。増幅させた場合の副作用も含めてだ。
しかし、その逆の例は無い。
迷宮の維持運営には、魔力はどれだけあっても困らないから、敢えて制限する理由が無いのだ。
「まずは<大炎>から」
「…はい」
師に促されて、弟子は一呼吸置くと、草原に手を翳し、短く呪文を唱えた。
次の瞬間、草原が朱に染まった。
────
「……ははっ、よく燃えるなぁ!」
はっはっはっ。
未だかつて無い上機嫌で笑い声を上げる師の横で、弟子が呆然と立ち尽くしている。
草原は炎の海と化していた。
様々なモノが焼ける臭いが辺りに充満する。
「……何やってんの!?」
流石に慌ててやってきた領主・リヴォワールドの咎める声に、ぎぎぎ、とエルドナスが声の方を向く。
その表情の強張り具合から、この有様は、本人にとっても予想の範囲を遥かに超えていたのだろうというのが手に取るように分かった。
地下迷宮も、その入口も、この城も、特殊な結界によって護られているから、例え真裏で大火事が起ころうとも被害は無いはずだ。
「フェンティセーザ殿、城の裏を借りると言ってきた時に二つ返事で許可を出したが、焼畑するならすると言って貰わないと困る」
リヴォワールドの故郷では、冬の終わりに畑を焼くのは普通の事だった。それ故の今の発言だが驚愕と混乱が否めない。予想以上の出来事に、リヴォワールドも取り乱していた。
「ここ焼き払って農地にするとかなったら『王都』が嬉々として税を巻き上げにくるからな…」
「焼き払うだけ焼き払ってそのまま放置しておけばいいだろうに」
くつくつと笑いを収めながら返す言葉に、流石に領主が渋面を作る。
どうやら弟子の魔力の殻に護られたのは、本人とフェンティセーザだけだった様だった。
(…これを焼畑で済ませるには肝が据わりすぎてるだろ?!?!)
結界を張るのが一瞬遅れて、軽く熱を喰らったヘリオドールが心の中でツッコミを入れる。炎に巻かれるまでは行かなかったのは、フールが無理やり介入して炎の舌先の進路を捻じ曲げたからだ。
今もリヴォワールド含め、ここに居る全員が普通にしていられるのは、『試練場』だけでなく『宝物庫』上部の地上までが管轄であるというちょっと無理げな拡大解釈を展開したフールによる力場調整の賜物である。
「エル、次は<凍結>を。魔力は制御しなくていい。今の状態でどれだけかをまず知っておく必要がある」
「は、はい…!」
師の声に我に返った弟子が、再び一面の炎に手を翳し、呪文を唱える。
次の瞬間、草原は一面の白銀の世界と化した。
────
「……いやあ、流石の魔力だ。笑えんな」
はっはっはっ。
漏らした言葉とは裏腹に笑い、頷きながらフェンティセーザが感想を漏らした。
赤と黒の世界を塗り替えた白銀は一瞬。
凍りついた世界が、しかし今までの炎の熱でゆるゆると溶けて行く。白いもやとなり大気へと立ち上り始める頃には、更に二騎の騎影が辿り着こうとしていた。
「何事だ?!──フェンティセーザ殿?」
声の主は、この街の冒険者ギルドマスター・フォスタンドだ。もう一人は顔を確認せずとも、遠目からでも体格で分かる。副ギルドマスターのルチレイトだ。
「ああ、済まない、フォスタンド殿。
既に伝えてある通り、『試練場』のダンジョンマスターは奇遇にも私の弟子でね。コレは少し特殊な体質だから、本格的な始動に向けて少し具合を見ていたのだよ。安全な所でね」
フェンティセーザにしては珍しく、人を食ったような笑みを浮かべて、呼び掛けに答えた。
その空色の瞳の奥に、ちらりと、確かに、フォスタンドは狂気の炎を見た。
「一体何を使ったらこんなになるんだ?」
「──<大炎>、を……」
追いついて来たルチレイトに、エルドナスがぽつりと返した。
目の前の二人の向こうに拡がるは、視界が届く限りの黒焦げの一帯──魔術師が、複数体向けの攻撃魔法として体得する呪文で、これである。
最高位の、全体攻撃呪文を発動させたら、どうなることか。
「……『アルター』殿…?」
しかし、その恐ろしさを一番危惧していたのは、他ならぬダンジョンマスターであり、この街の復興の立役者である彼本人だった。
領主の横でトーリボルの街の復興の先陣を切っていた切れ者の表情が、凍り付いている。
(……まるで)
呪文を憶えたての駆け出しのようだ。
自分達が勝手に思っているよりも、目の前に立つこの街の『賢者』は、冒険者としては幼いのかもしれない。
(フー、私はいい。行っておあげ)
ヘリオドールが、側で支えているフールの背中をそっと押すと、フールは一瞥して、主の元へ足を向けた──
「何やってんの兄さん!!!!!!!!」
その横を翔ける様に抜き去る声。
続いて、その声に一瞬、気を取られたフェンティセーザの顔面に綺麗に拳がめり込んだ。
「何を考えてるか常々分かりにくいとは思っていたけど、そろそろいい歳なんだから一人で突っ走るのはいい加減やめたらどうだい?」
さすがにその一撃は効いたのでだろう、倒れ込みそうになったフェンティセーザの身体を支えながら、拳の主のトゥーリーンが苦笑まじりに苦言を呈する。
「すまないねぇフォスタンド。
ここ数日あからさまに様子がおかしかったのは知ってはいたんだ。うちのが迷惑掛けた」
「……こっちは何も迷惑はしてない、しているとしたら領主殿の方だ」
「オレは驚きはしたけど城は被害ないし、住民が巻き込まれた訳でもないから、迷惑かといえばそうじゃない。焼けて草叢もスッキリしたし、まあいいんじゃないかな」
「流石に後で折檻しとくよ」
「「あの一撃でもういいんじゃないか」」
顔面に綺麗に拳が入った絵面に、エルドナスとフール、ヘリオドールとルチレイトが呆然としている。
「…鼻の骨が折れてようが顔が膨れ上がろうが呪文で元通りにするから、気にしないでいいわよ」
ふんすふんす、と、ヘリオドールの側に立ったアレンティーナが鼻を鳴らした。
「…大丈夫?ヘリオドール、フール」
「…なんとかね。あと彼は『フール』と呼ばないでやってくれ、アレンティーナ」
「どうして?」
「彼は…人と同じ存在だけど『システム』だからね。主以外がその名で呼んでも『認識しない』んだ」
「そうなの?」
「そういった存在なんだ」
手短に伝えた研究者の言葉に、アレンティーナが「分かったわ」と短く返した。
「…フー。ちょっといいかな?エル・ダーナスも連れて来て」
「うん。どうしたの?」
ヘリオドールはフールに、エルドナスと共に側に呼ぶと、フールは素直に従った。魔力の消費よりも、予想以上の光景が余程精神的に負担だったのか、抱き抱えられたエルドナスはぐったりとしている。
「いいかい。『宝物庫』の探索の為には『試練場』の突破が大前提だ。でも、エルがこのままだったら『試練場』は最初から攻略不能になる」
こいつが呪文を一発撃てば、攻略側がどんなに強くても全滅するだろうね、と続けると、こく、とフールが頷いた。
「こいつの全部の魔力を制限しろとは言わない。ただ、戦闘用の魔力のリソースだけでもごっそり、迷宮の運営維持とかに回したりとかはできないかな?
さっき炎や熱や冷気から私達を護ってくれた様な感じで、常にそれなりに消費し続けてみるとかして」
「うん…できるかぎり、やってみる」
「やけに詳しいんだな」
会話に割って入ったのはルチレイトだった。
「地下迷宮のシステム解析は、私の専門分野だからね。これでも『虚空』と『呪いの穴』は一通り押さえている」
変化が絶えないだろうから、細部は変わっているとは思うけど、とヘリオドールが返す。
「──こんな風に役に立つ日が来るなんてね」
ぽつり、と漏らした呟きごと、アレンティーナがヘリオドールを抱きしめた。
「……アレンティーナ?」
「なんか、こうしたくなったのよ」
「有難いけど離れてくれ。君の兄に刺される」
「…それは無いわよ」
出逢った頃の、超強火のシスコンぶりを思い出して身を震わせたヘリオドールにアレンティーナは苦笑を返した。
「……」
気絶しているからか。見られていないならいいか。
言っても聞かないのは双子揃ってなので、ヘリオドールは好きにさせる事にした。
────
立ち昇るもやも消えゆく頃。
「あーーーー何やってんだよフェンティス~!」
「ほんとほんと」
がさごそと、燃え尽きた草叢から燃え滓が宙に舞う。
「いきなり火の海にするわ氷の原にするわ」
姿は見えないが、ハロドとジャスパの声が少しづつ近づいて来る──
そして
「色々持ってって無かったら~」
「オイラ達確実に巻き込まれてたよ!」
ひょい、と、トゥーリーンとフォスタンドの足元に、ぷう、と頬を膨らませた小さな人影が二つ姿を現した。
「ハロド!」
「ジャスパ、お前…!」
若干煤けてはいるが、それぞれの欠かせない仲間だ。
「とりあえずさ、ちょーーー急ぎの話あるからお城の部屋借りていい?」
「ハロド兄と一緒に見つけてきたんだ。ここにいる全員、すぐに移動お願い」
いつもの口調の小さき人たちからのお願いは、命令にも近かった。
────
「奥に」
余程の事だと察したのだろう。リヴォワールドが、案内したのは自室から転移した2階の隠し部屋だった。
「これだけの人数だと少し狭いな」
「ここはそもそもあいつ専用だったからな」
リヴォワールドの呟きに、エルドナスが応える。
あいつとは言うまでもない、初代領主、リ・ボーだ。
「狭くていいよ。狭い方がいい」
「アレンティー、フェンティス起こして」
「分かったわ」
ハロドの声色に、アレンティーナが気絶しているフェンティセーザに<完治>の祈りを捧げる。
「……死んだかと思った」
「そんな馬鹿な死に方したら末代まで残すわよ」
意識を取り戻したフェンティセーザに、呆れたようにアレンティーナが返した。
「全員、いい?」
ジャスパの声掛けに、全員が頷く。
見届けて、ジャスパが腰袋から取り出したのは、三枚の金属片だった。
「フェンティスが言った場所の所にあったよ」
いつに無く固い、ハロドの声。
それは、傷だらけの、冒険者タグだった。
「名前、ちゃんと読み取れた。
二度目のトーリボル壊滅時の、ギルマス達のものだよ」
ジャスパが、それらをフォスタンドに手渡す。
「……そうか」
普段通りのフェンティセーザの声から、彼の思う所は読めない。
しかし目の前のそれらは
「…馬鹿かティス。お前、なんでこんな無茶を」
ヘリオドールの『夢見』の確たる証拠だった。
夢を見続けた本人ですら、己が身に爪を立て全身を掻きむしり、のたうちまわり吐き戻すほどのあの惨劇を、一方的な蹂躙を──カパタト神の奇跡すらも望めぬほどの仕打ちを、この男は一片たりとも拾い漏らす事なく観ていたというのか。
かつて自分達の仲間が同じ目に逢わされているかもしれないというのに。
それを想う度に表情を無くしていたというのに。
「お前の能力が過小評価されるのが、我慢ならないからだ」
それなのに。
ヘリオドールにとっては「たったそれだけ」の。
フェンティセーザにとっては、どんなにちっぽけであっても「どうでも良くない」そんな理由で。
「……何があったか、教えて貰えないだろうか、アガット殿」
詳しい事は伏せられていた内容に、フォスタンドが勇気と礼節を持って切り込んだ。
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そうして、この日を境に、冒険者ギルドとその構成員は、静かに『王都』への反撃の機会を伺う事となった。
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