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第二章 第一節:王さまに会いに行ってみる
第6話 食べられちゃう?!(2)
しおりを挟む声の方を見てみると、すぐに廊下の少し先で肩を怒らせている人の背中を見つける。
わたしに掛けられた言葉ではないらしい。その事実に少しホッとして、じゃあ何だろうとよく見てみる。
大声を上げたのは、大きな魔族の人たちの中でも、特に体が大きな人だった。
たてがみのようなオレンジ色の髪に埋もれるように、丸くて小さなモフモフの耳が頭から生えているのが見える。
もしかしたら騎士なのかもしれない。腰に大きな剣を差していた。
「先祖返りの分際で、気高き獅子一族のこの俺にぶつかったか?! あぁん?!」
「す、すみませ……」
「そこは『私めのような下賤なネズミの先祖返りが、この世に存在して申し訳ありませんでした』だろうがぁ!!」
まるでお母さまの母国の書く道具・筆のように、先っちょだけフサフサな騎士の人の長い尻尾の先が、威嚇でもするかのようにブワッと大きく膨らんでいる。
彼の声と、今にも「ガオーッ」と言い出しそうな怖い顔が、「俺は怒っているぞ!」という彼の意思を声高に主張しているかのようだった。
でもだから何だというんだろう。
彼が怒っている相手は、彼の前に落ちていた。
メイド服を着たネズミ姿の女の子。彼女は顔を青くして震えていて、怖くて声も出ないようだった。
廊下には、他にも彼らを見ている人たちがいた。なのに誰も気にしている人はいない。
とめない。それどころか、まるで何も起きていないかのように、すぐ横をスッと通り過ぎていく。
「いつまでも俺の行く先を遮るなぁ! 早くどけぇぇ!!」
騎士の人が我慢できなくなったかのように、足を振り子のように後ろに振りかぶった。
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