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4話

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「はぁ……?」

 私が留学していたというのは、偽装である。

 レイはそんなことを言い始めた。

 何を言っているのだろうか。

 偽装なんて、できるわけが無い。

 私が留学していたという記録は王家にも、役所にも、公爵家にもあるし、何なら留学先にまである。

 役所や公爵家の書類はまだしも、王家や他国の書類なんて改ざんのしようがないし、出来るわけがない。

「デタラメを言っているのはあなたでしょう。私が留学していたという記録は王家や他国にもあるんですよ?」

「黙れ! お前の言葉は信じない!」

「信じる信じないではありません。私が留学してたのは事実です」

「だから、それはデタラメだ!」

「私が留学していたことは、それこそ証拠も証言も沢山あります。あなたの言っていることとは違って」

 私は皮肉交じりにレイにそう言った。

「ぐっ……!」

 レイは悔しそうに歯ぎしりをする。
 そしてどうにかして私を言い負かそうと考え始めた。

「そうか……分かったぞ!」

 レイは何かを閃いたのか、顔を上げた。

 そしてレイは私を指差した。

「お前は我が王家にも他国にもスパイを潜り込ませ、書類を改ざんしているんだ!」

「……は?」

 私はレイの言葉に呆れるほか無かった。

 そんな事を言い出したら、何でもありになってしまう。

「はぁ……」

 大きなため息が出る。

 私が頭に手を当てていると、レイは勝ち誇ったかのように私を見て笑顔になった。

 そしてとんでもない事を言い始めた。

「反論できないようだな! やっぱりそうなんだろう! お前は全て改竄していたんだ!」
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