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8、大惨事!!
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このタイミングを待ちに待ったロイドの合図で、ステージの真上に仕込んであった樽に繋がる紐がその手下によって引かれる。
瞬間、天井下のブドウ棚に吊ってあった樽がひっくり返り、中に入っていた大量の豚の血がアデルにぶっかかった。
ざばぁーーーーーーっ。
と、いっせいに鮮血を頭からかぶったアデルは、一瞬のうちに頭からドレスまで真っ赤に染め上げる。
「きゃああぁっ……!?」
思わず悲鳴をあげたあと、生臭い匂いに飲み過ぎた牛乳を戻しそうになり、両手で口を押さえ、深く腰を折る。
そんなアデルの姿が激しいダメージを受けているように見えたロイドは、してやったりと小躍りして叫んだ。
「はっ、はっー、無様だな、アデル!」
アデルはかがみ込み、なんとかギリギリで吐くのを堪えた。
しかし、激しくえづいたせいで涙目になっていた。
武人としても一級のアデルだ。
いつもなら気配に気づき、血を浴びる前に避けられていた。
でも今は平常とは全く違う状態。
そう、いつもの心に余裕のあるアデルではなかった。
(……何これっ……? いくらなんでも、やっていい事と悪い事があるでしょうっ……!?)
いたずらの限度をこえた行為に、さすがの温厚なアデルも頭に血が上る。
これまでの積もりに積もったうっぷんも加え、アデルは激しい怒りをみなぎらせながら、ゆらり血の海の中立ち上がった。
初めて人前でキレそうになっていた。
「これをやったのはレイモン殿下、それともロイド?」
まずは壇上から凄んだ目つきで容疑者二名を名指しして睨みつける。
――その頃、上の観覧席では――
可愛い娘が受けた酷い仕打ちに、バルト公爵の額の血管は浮き上がり、顔色もどす黒く変色していた。
その凄まじい怒りの形相を隣の席で目撃した王は、ショックで小水を漏らしかける。
(これは犯人次第ではクーデターが起こるかもしれない)
さすがの王太后も戦慄した。
――階下に戻り――
「何の事かな~?」
ロイドはそっぽを向いて白々しくトボけていた。
「……あっ……あっ……!?」
一方、まさかロイドがアホでも、ここまですると思わなかったレイモンは、驚きにあんぐりと口を開き声にならない声を漏らしていた。
「ロイドなのね」
二人の顔を見比べたアデルは速やかに結論づける。
瞬間、天井下のブドウ棚に吊ってあった樽がひっくり返り、中に入っていた大量の豚の血がアデルにぶっかかった。
ざばぁーーーーーーっ。
と、いっせいに鮮血を頭からかぶったアデルは、一瞬のうちに頭からドレスまで真っ赤に染め上げる。
「きゃああぁっ……!?」
思わず悲鳴をあげたあと、生臭い匂いに飲み過ぎた牛乳を戻しそうになり、両手で口を押さえ、深く腰を折る。
そんなアデルの姿が激しいダメージを受けているように見えたロイドは、してやったりと小躍りして叫んだ。
「はっ、はっー、無様だな、アデル!」
アデルはかがみ込み、なんとかギリギリで吐くのを堪えた。
しかし、激しくえづいたせいで涙目になっていた。
武人としても一級のアデルだ。
いつもなら気配に気づき、血を浴びる前に避けられていた。
でも今は平常とは全く違う状態。
そう、いつもの心に余裕のあるアデルではなかった。
(……何これっ……? いくらなんでも、やっていい事と悪い事があるでしょうっ……!?)
いたずらの限度をこえた行為に、さすがの温厚なアデルも頭に血が上る。
これまでの積もりに積もったうっぷんも加え、アデルは激しい怒りをみなぎらせながら、ゆらり血の海の中立ち上がった。
初めて人前でキレそうになっていた。
「これをやったのはレイモン殿下、それともロイド?」
まずは壇上から凄んだ目つきで容疑者二名を名指しして睨みつける。
――その頃、上の観覧席では――
可愛い娘が受けた酷い仕打ちに、バルト公爵の額の血管は浮き上がり、顔色もどす黒く変色していた。
その凄まじい怒りの形相を隣の席で目撃した王は、ショックで小水を漏らしかける。
(これは犯人次第ではクーデターが起こるかもしれない)
さすがの王太后も戦慄した。
――階下に戻り――
「何の事かな~?」
ロイドはそっぽを向いて白々しくトボけていた。
「……あっ……あっ……!?」
一方、まさかロイドがアホでも、ここまですると思わなかったレイモンは、驚きにあんぐりと口を開き声にならない声を漏らしていた。
「ロイドなのね」
二人の顔を見比べたアデルは速やかに結論づける。
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