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新章 私は今、平民の筈でしたよね?~元悪役夫人、ミッションを言い渡される~
乱入者は全てをかき乱す
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女は、呆然としている新入生達に構わず更に言葉を続けた。
「さあ、皆様は今日からこの学園のヒーローで、ヒロインです!
さあ! ご一緒にお声をお願いします。やるぞーーー!!」
「………………………」
が、それに応える者はいない。この異質な存在を前に困惑ばかり浮かべていたから。
「どうした? 頑張って学園に入学したのに意気込みが感じられないな。
ちゃんと形にして? 声、出せるでしょう!?」
声を出せないと、意気込みがない。そう思わせるセリフにどこかしこから少しだけ声がした。
「おー……」
が、それもポツポツで他はただ戸惑って目の前の“侵入者”を見ているばかり。
そうしている中……今気付いたとばかりの囁きがあちこちでおこる。
「あれ? あの神輿は確か神殿の中でも最高位のアブ神殿のものだな。つまり神々が我々を祝福してくれんと寄越してくれたのか」
「何と! 本来なら特例がない限り見る事が出来ないというのに……!」
「何という異例! これにあやからなくては一生の損だ、さあ我々も声を出そう!」
「英断です殿下!!」
その会話の影響は、たちまち園内に波状していく。
「え、殿下?」
「殿下って誰だ? ルクソール王太子殿下? リュクール第2王子殿下?」
「誰でも良い、とにかく王子様方が仰ってるんだから確かだ、何の馬鹿騒ぎだと思ってたけど王家のお方のお言葉なら、乗らなきゃ損だ」
そんな声があちこちでした後、力強い声が沸き起こった。
「おー!!」
けど、MCは不満だったようで更に声を張り上げた。
「……まだ、足りないなぁ。ねぇもっと声、出せるでしょ!!」
「うおーーーーっ!!」
たちまち熱気で溢れる中、1人だけ――自称ヒロインの娘――だけが、取り残されていた。
な、何? こんなイベントなかった筈!!
気が付けば、最初は戸惑っていたルクたん――否ルクソールも楽しそうに乗っている。自分の存在なんて知らないように、皆と一緒に手を振り回していた。それにも戸惑いしかない。
「さあ、次には皆の目標を教えてくれる? ―――返事ないか、仕方ないよねまだ始まったばかりだから!!
なら今から言うのが当たってたら、声上げて!
光に飛び出したい人も、日陰でいたい人もいるよね? ならそこから、ちょっとだけ声を頂戴?
今日、今ある思いを神様に伝えて!!」
なんて誘導力のある言葉、そしてその声音にたちまち声を出す者が増え、揺るがすような轟音に発展していく。
「はい、今日から学園生活を満喫したい人!」
「おーーー!」
「素敵な人との出会いを期待している人!」
「おおーーー!!」
「食堂のスイーツを全制覇したい人!」
「おおーーー!!」
「え、ちょっとあれ、ラクザ公爵家のご子息じゃ」
1人付いて行けないでいる娘の耳がピクッと動く。2人の令嬢の会話に耳をそばだてた。
「さあ、皆様は今日からこの学園のヒーローで、ヒロインです!
さあ! ご一緒にお声をお願いします。やるぞーーー!!」
「………………………」
が、それに応える者はいない。この異質な存在を前に困惑ばかり浮かべていたから。
「どうした? 頑張って学園に入学したのに意気込みが感じられないな。
ちゃんと形にして? 声、出せるでしょう!?」
声を出せないと、意気込みがない。そう思わせるセリフにどこかしこから少しだけ声がした。
「おー……」
が、それもポツポツで他はただ戸惑って目の前の“侵入者”を見ているばかり。
そうしている中……今気付いたとばかりの囁きがあちこちでおこる。
「あれ? あの神輿は確か神殿の中でも最高位のアブ神殿のものだな。つまり神々が我々を祝福してくれんと寄越してくれたのか」
「何と! 本来なら特例がない限り見る事が出来ないというのに……!」
「何という異例! これにあやからなくては一生の損だ、さあ我々も声を出そう!」
「英断です殿下!!」
その会話の影響は、たちまち園内に波状していく。
「え、殿下?」
「殿下って誰だ? ルクソール王太子殿下? リュクール第2王子殿下?」
「誰でも良い、とにかく王子様方が仰ってるんだから確かだ、何の馬鹿騒ぎだと思ってたけど王家のお方のお言葉なら、乗らなきゃ損だ」
そんな声があちこちでした後、力強い声が沸き起こった。
「おー!!」
けど、MCは不満だったようで更に声を張り上げた。
「……まだ、足りないなぁ。ねぇもっと声、出せるでしょ!!」
「うおーーーーっ!!」
たちまち熱気で溢れる中、1人だけ――自称ヒロインの娘――だけが、取り残されていた。
な、何? こんなイベントなかった筈!!
気が付けば、最初は戸惑っていたルクたん――否ルクソールも楽しそうに乗っている。自分の存在なんて知らないように、皆と一緒に手を振り回していた。それにも戸惑いしかない。
「さあ、次には皆の目標を教えてくれる? ―――返事ないか、仕方ないよねまだ始まったばかりだから!!
なら今から言うのが当たってたら、声上げて!
光に飛び出したい人も、日陰でいたい人もいるよね? ならそこから、ちょっとだけ声を頂戴?
今日、今ある思いを神様に伝えて!!」
なんて誘導力のある言葉、そしてその声音にたちまち声を出す者が増え、揺るがすような轟音に発展していく。
「はい、今日から学園生活を満喫したい人!」
「おーーー!」
「素敵な人との出会いを期待している人!」
「おおーーー!!」
「食堂のスイーツを全制覇したい人!」
「おおーーー!!」
「え、ちょっとあれ、ラクザ公爵家のご子息じゃ」
1人付いて行けないでいる娘の耳がピクッと動く。2人の令嬢の会話に耳をそばだてた。
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太真様 こちらこそ、いつもご感想を有難うございました💐
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