この世界のスキル・アイテム“オリガミ”の秘密は僕だけが知っている

みけの

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オリガミを授かったその日

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  あの10歳の日。
つい寝間着にも着替えず寝入ってしまった僕は、メイドの悲鳴で起こされた。

「ぼっ、坊ちゃま――――!!」

 僕が跳ね起きたと同時に、ドタバタと複数の足音が近付いてくる。止まったと思った途端、バンッと音を立てて部屋の扉が開かれ、家族と使用人達が飛び込んで来た。
「どうした、何が起きた!」
「泥棒? それとも暴漢?」
「奥様やお嬢様を狙ってか! お2人の美しさに懸想する者は多いからな!」
「金目の物がないこのお屋敷だ、狙いはそれしかない!」
……なにげに失礼な発言が混じっている。
でも情けない事に否定出来ない。父さんは一応、伯爵位を賜っているけど、家の家計は裕福とは言えないから。
 でも今重要なのはそれじゃない。僕は、部屋の机の脇で蹲るメイドのメイを見る。彼女は怯えきった顔で僕を見返し、震える指で机を指さした。


 「坊ちゃまの机の上にあった、白い変な形の紙……っ」
 折り鶴のことだろう。
「あ、アレに触ったら体に吸い込まれる様に消えたんです! わ、私はどうなるんでしょう……!」
「吸い込まれた?」
あの折り鶴が? あり得るのか? と疑っても、その言葉が嘘だとは思えない。
 涙目になってガタガタ震えているメイ。そりゃそうだ。得体の知れないモノが自分の体に入ったら、誰だって恐い。
 と思いつつ机の上を見たら、確かに折り鶴がない。
その後、皆でメイに、体に何かおかしなところはあるか? 気持悪かったりしないかと訊いてみた。けれど、何もないと言うので、では朝1番で病院へ行ってみよう。と言う事で落ち着いた。
では解散、とみんなバラバラに部屋に帰ろうとして、姉さんが目を見開いた。
「……メイ? 貴女ビッコ引いていなかった? 転んだ時に痛めたって言ったじゃない」
「え、ええそうです。……って、アレ?」
メイが恐る恐る、痛めた箇所をゆっくり刺激する。 しばらく続けた後……、信じられない! と言う表情でつま先をトントン、と床に打ち付け……大きく目を見開いた。
「嘘でしょ? あんなに痛かったのに……」

 まさか、あの折り鶴が関係している……?


 その後。
試しに再び折り鶴を折る。
 出来上がった途端唐突に、奇妙な声が頭に響いた。
“所持者の手により“癒やし(小)” が具現しました。後9998羽で癒やし(大)になります”


「……へ?」
思わずキョロキョロするけど、部屋には当然、僕以外にはいない。
何だこれ? き、気持ち悪い……。
 それでも気を取り直し再び、鶴を折る。すると再び、
“所持者の手により、“癒やし(小)”が具現しました。後9997羽で癒やし(大)になります”
――これ、スキルに関連する声か!
 9997羽という数字は当然、千羽鶴からだろう。千羽で癒やし(大)になると不気味な声は告げている。
と、いうか……この声って、何?


「それはアイテムの声だ」
食事の時間に姉さんと兄さんにそれを言ったら、簡単に謎が解けた。
 スキル・アイテムは、使用後に所持者に起きた現象を解説してくれるらしい。兄さんの剣も“○○の骨だけを切りました”とか“××を魂ごと切りました”とかいう解説? っぽい声が聞こえるそう。
「初めて訊いたんでしょ、ビックリした?」
姉さんがケラケラと笑う。でもすぐに真顔になって、ちょん、と僕がテーブルに置いた折り鶴をつついた。
「こんな紙が、癒やしの力を持ってるなんてね……。じゃあ“オリガミ”には癒やしの力があるって事か」
と納得したように言う。……けど僕は、それだけじゃない気がしている。
 だって折り鶴は、病気平癒や鎮魂の願いが込められたものだ。だから怪我を治したんだろう、ならば。
「他のものなら……?」


 その後、鶴以外の他のものも作ってみて分かった事。
“紙飛行機”や“船”は、普通に飛ばしたり水に浮かせたり出来る。けど、出来た時の言葉が違う。
“所有者の手により“空を飛ぶ物体(極小)”が具現化しました。○グラムまで搭載可能。約▽キロ先まで移動します”
“所有者の手により“水に浮かぶ物体(極小)”が具現化しました。○グラムまで搭載可能。約×キロ先まで移動します”
みたいな機能の説明がつく。
――面白い。

 記憶を頼りに、ひたすら“オリガミ”を折って色々作った。
すると……僕の能力も上がってきた。数え切れない程に作り続け、魔力切れで倒れる僕の頭にその声が響く。
“所有者のレベルがアップしました。オリガミ2。(大)(中)が新たに選べるようになりました”
“所有者のレベルがアップしました。オリガミ3。三種の色を追加します”


 大きさを選べるようになると、効果も大幅にアップし。
色が増えた事で、あらゆる効能を付加出来るようになった。例えば折り鶴だと、前は小さい怪我をランダムに一つしか治せなかったけど大きくなったら複数箇所一気に治せるし、色を使う事で指定された場所だけ治す、って事も出来る。
 船や飛行機だと、大きく変える事で今の僕のように人1人乗れるようになった。
更には速度や到着地を指定出来る程だ。
でもまだまだ、このスキルには謎がある。まぁ……僕の折り紙の知識が原因だけど。

 最初はこんな謎スキルとか思っていたけど、色々役立てられるし研究も出来る。
 最初は訳の分からないこんなスキルと思っていたけどこれはこれで、満足だ。
表には立てない程でも、誰かの役には立てるのだから。
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