8 / 27
オリガミを授かったその日
しおりを挟む
あの10歳の日。
つい寝間着にも着替えず寝入ってしまった僕は、メイドの悲鳴で起こされた。
「ぼっ、坊ちゃま――――!!」
僕が跳ね起きたと同時に、ドタバタと複数の足音が近付いてくる。止まったと思った途端、バンッと音を立てて部屋の扉が開かれ、家族と使用人達が飛び込んで来た。
「どうした、何が起きた!」
「泥棒? それとも暴漢?」
「奥様やお嬢様を狙ってか! お2人の美しさに懸想する者は多いからな!」
「金目の物がないこのお屋敷だ、狙いはそれしかない!」
……なにげに失礼な発言が混じっている。
でも情けない事に否定出来ない。父さんは一応、伯爵位を賜っているけど、家の家計は裕福とは言えないから。
でも今重要なのはそれじゃない。僕は、部屋の机の脇で蹲るメイドのメイを見る。彼女は怯えきった顔で僕を見返し、震える指で机を指さした。
「坊ちゃまの机の上にあった、白い変な形の紙……っ」
折り鶴のことだろう。
「あ、アレに触ったら体に吸い込まれる様に消えたんです! わ、私はどうなるんでしょう……!」
「吸い込まれた?」
あの折り鶴が? あり得るのか? と疑っても、その言葉が嘘だとは思えない。
涙目になってガタガタ震えているメイ。そりゃそうだ。得体の知れないモノが自分の体に入ったら、誰だって恐い。
と思いつつ机の上を見たら、確かに折り鶴がない。
その後、皆でメイに、体に何かおかしなところはあるか? 気持悪かったりしないかと訊いてみた。けれど、何もないと言うので、では朝1番で病院へ行ってみよう。と言う事で落ち着いた。
では解散、とみんなバラバラに部屋に帰ろうとして、姉さんが目を見開いた。
「……メイ? 貴女ビッコ引いていなかった? 転んだ時に痛めたって言ったじゃない」
「え、ええそうです。……って、アレ?」
メイが恐る恐る、痛めた箇所をゆっくり刺激する。 しばらく続けた後……、信じられない! と言う表情でつま先をトントン、と床に打ち付け……大きく目を見開いた。
「嘘でしょ? あんなに痛かったのに……」
まさか、あの折り鶴が関係している……?
その後。
試しに再び折り鶴を折る。
出来上がった途端唐突に、奇妙な声が頭に響いた。
“所持者の手により“癒やし(小)” が具現しました。後9998羽で癒やし(大)になります”
「……へ?」
思わずキョロキョロするけど、部屋には当然、僕以外にはいない。
何だこれ? き、気持ち悪い……。
それでも気を取り直し再び、鶴を折る。すると再び、
“所持者の手により、“癒やし(小)”が具現しました。後9997羽で癒やし(大)になります”
――これ、スキルに関連する声か!
9997羽という数字は当然、千羽鶴からだろう。千羽で癒やし(大)になると不気味な声は告げている。
と、いうか……この声って、何?
「それはアイテムの声だ」
食事の時間に姉さんと兄さんにそれを言ったら、簡単に謎が解けた。
スキル・アイテムは、使用後に所持者に起きた現象を解説してくれるらしい。兄さんの剣も“○○の骨だけを切りました”とか“××を魂ごと切りました”とかいう解説? っぽい声が聞こえるそう。
「初めて訊いたんでしょ、ビックリした?」
姉さんがケラケラと笑う。でもすぐに真顔になって、ちょん、と僕がテーブルに置いた折り鶴をつついた。
「こんな紙が、癒やしの力を持ってるなんてね……。じゃあ“オリガミ”には癒やしの力があるって事か」
と納得したように言う。……けど僕は、それだけじゃない気がしている。
だって折り鶴は、病気平癒や鎮魂の願いが込められたものだ。だから怪我を治したんだろう、ならば。
「他のものなら……?」
その後、鶴以外の他のものも作ってみて分かった事。
“紙飛行機”や“船”は、普通に飛ばしたり水に浮かせたり出来る。けど、出来た時の言葉が違う。
“所有者の手により“空を飛ぶ物体(極小)”が具現化しました。○グラムまで搭載可能。約▽キロ先まで移動します”
“所有者の手により“水に浮かぶ物体(極小)”が具現化しました。○グラムまで搭載可能。約×キロ先まで移動します”
みたいな機能の説明がつく。
――面白い。
記憶を頼りに、ひたすら“オリガミ”を折って色々作った。
すると……僕の能力も上がってきた。数え切れない程に作り続け、魔力切れで倒れる僕の頭にその声が響く。
“所有者のレベルがアップしました。オリガミ2。(大)(中)が新たに選べるようになりました”
“所有者のレベルがアップしました。オリガミ3。三種の色を追加します”
大きさを選べるようになると、効果も大幅にアップし。
色が増えた事で、あらゆる効能を付加出来るようになった。例えば折り鶴だと、前は小さい怪我をランダムに一つしか治せなかったけど大きくなったら複数箇所一気に治せるし、色を使う事で指定された場所だけ治す、って事も出来る。
船や飛行機だと、大きく変える事で今の僕のように人1人乗れるようになった。
更には速度や到着地を指定出来る程だ。
でもまだまだ、このスキルには謎がある。まぁ……僕の折り紙の知識が原因だけど。
最初はこんな謎スキルとか思っていたけど、色々役立てられるし研究も出来る。
最初は訳の分からないこんなスキルと思っていたけどこれはこれで、満足だ。
表には立てない程でも、誰かの役には立てるのだから。
つい寝間着にも着替えず寝入ってしまった僕は、メイドの悲鳴で起こされた。
「ぼっ、坊ちゃま――――!!」
僕が跳ね起きたと同時に、ドタバタと複数の足音が近付いてくる。止まったと思った途端、バンッと音を立てて部屋の扉が開かれ、家族と使用人達が飛び込んで来た。
「どうした、何が起きた!」
「泥棒? それとも暴漢?」
「奥様やお嬢様を狙ってか! お2人の美しさに懸想する者は多いからな!」
「金目の物がないこのお屋敷だ、狙いはそれしかない!」
……なにげに失礼な発言が混じっている。
でも情けない事に否定出来ない。父さんは一応、伯爵位を賜っているけど、家の家計は裕福とは言えないから。
でも今重要なのはそれじゃない。僕は、部屋の机の脇で蹲るメイドのメイを見る。彼女は怯えきった顔で僕を見返し、震える指で机を指さした。
「坊ちゃまの机の上にあった、白い変な形の紙……っ」
折り鶴のことだろう。
「あ、アレに触ったら体に吸い込まれる様に消えたんです! わ、私はどうなるんでしょう……!」
「吸い込まれた?」
あの折り鶴が? あり得るのか? と疑っても、その言葉が嘘だとは思えない。
涙目になってガタガタ震えているメイ。そりゃそうだ。得体の知れないモノが自分の体に入ったら、誰だって恐い。
と思いつつ机の上を見たら、確かに折り鶴がない。
その後、皆でメイに、体に何かおかしなところはあるか? 気持悪かったりしないかと訊いてみた。けれど、何もないと言うので、では朝1番で病院へ行ってみよう。と言う事で落ち着いた。
では解散、とみんなバラバラに部屋に帰ろうとして、姉さんが目を見開いた。
「……メイ? 貴女ビッコ引いていなかった? 転んだ時に痛めたって言ったじゃない」
「え、ええそうです。……って、アレ?」
メイが恐る恐る、痛めた箇所をゆっくり刺激する。 しばらく続けた後……、信じられない! と言う表情でつま先をトントン、と床に打ち付け……大きく目を見開いた。
「嘘でしょ? あんなに痛かったのに……」
まさか、あの折り鶴が関係している……?
その後。
試しに再び折り鶴を折る。
出来上がった途端唐突に、奇妙な声が頭に響いた。
“所持者の手により“癒やし(小)” が具現しました。後9998羽で癒やし(大)になります”
「……へ?」
思わずキョロキョロするけど、部屋には当然、僕以外にはいない。
何だこれ? き、気持ち悪い……。
それでも気を取り直し再び、鶴を折る。すると再び、
“所持者の手により、“癒やし(小)”が具現しました。後9997羽で癒やし(大)になります”
――これ、スキルに関連する声か!
9997羽という数字は当然、千羽鶴からだろう。千羽で癒やし(大)になると不気味な声は告げている。
と、いうか……この声って、何?
「それはアイテムの声だ」
食事の時間に姉さんと兄さんにそれを言ったら、簡単に謎が解けた。
スキル・アイテムは、使用後に所持者に起きた現象を解説してくれるらしい。兄さんの剣も“○○の骨だけを切りました”とか“××を魂ごと切りました”とかいう解説? っぽい声が聞こえるそう。
「初めて訊いたんでしょ、ビックリした?」
姉さんがケラケラと笑う。でもすぐに真顔になって、ちょん、と僕がテーブルに置いた折り鶴をつついた。
「こんな紙が、癒やしの力を持ってるなんてね……。じゃあ“オリガミ”には癒やしの力があるって事か」
と納得したように言う。……けど僕は、それだけじゃない気がしている。
だって折り鶴は、病気平癒や鎮魂の願いが込められたものだ。だから怪我を治したんだろう、ならば。
「他のものなら……?」
その後、鶴以外の他のものも作ってみて分かった事。
“紙飛行機”や“船”は、普通に飛ばしたり水に浮かせたり出来る。けど、出来た時の言葉が違う。
“所有者の手により“空を飛ぶ物体(極小)”が具現化しました。○グラムまで搭載可能。約▽キロ先まで移動します”
“所有者の手により“水に浮かぶ物体(極小)”が具現化しました。○グラムまで搭載可能。約×キロ先まで移動します”
みたいな機能の説明がつく。
――面白い。
記憶を頼りに、ひたすら“オリガミ”を折って色々作った。
すると……僕の能力も上がってきた。数え切れない程に作り続け、魔力切れで倒れる僕の頭にその声が響く。
“所有者のレベルがアップしました。オリガミ2。(大)(中)が新たに選べるようになりました”
“所有者のレベルがアップしました。オリガミ3。三種の色を追加します”
大きさを選べるようになると、効果も大幅にアップし。
色が増えた事で、あらゆる効能を付加出来るようになった。例えば折り鶴だと、前は小さい怪我をランダムに一つしか治せなかったけど大きくなったら複数箇所一気に治せるし、色を使う事で指定された場所だけ治す、って事も出来る。
船や飛行機だと、大きく変える事で今の僕のように人1人乗れるようになった。
更には速度や到着地を指定出来る程だ。
でもまだまだ、このスキルには謎がある。まぁ……僕の折り紙の知識が原因だけど。
最初はこんな謎スキルとか思っていたけど、色々役立てられるし研究も出来る。
最初は訳の分からないこんなスキルと思っていたけどこれはこれで、満足だ。
表には立てない程でも、誰かの役には立てるのだから。
0
あなたにおすすめの小説
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める
自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。
その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。
異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。
定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。
秋田ノ介
ファンタジー
88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。
異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。
その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。
飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。
完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。
知識スキルで異世界らいふ
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる