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前兆①
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鏡の前で、何度目かの身だしなみ点検をする。
一張羅のスーツに埃も汚れも、ない。髪型は、綺麗に整ってる。花束と招待状、持った。プレゼントのブレスレットは、キチンとラッピングされている。リボンの処にオリガミで作った花も添えた。
「アンタって、本当にマメよねぇ」
いつの間に来たのか、姉さんが僕に呆れたような目を向けていた。
「それにその花、また持って行くの?」
姉さんの言う“花”は花束じゃなく、オリガミの花のことだろう。
「だってこれ、今までで保って1年だったろ? 前のはもう、ないだろうし」
替えが必要だと思うんだけど。
僕が言うと、姉さんはなぜか不服そうに口をへの字に曲げ、
「……どうだかね……」
独り言のように呟いた。
姉さんはどうもマリアが気に入らないようで。……マリアも姉さんが苦手だ、って言っていた。
物怖じしないコミュ強のマリアと、学者肌で交際範囲の狭い姉さんは正反対だからだろう。僕たちが結婚する頃までには、多少でも緩和されていて欲しいと思っている。
っとと、いけない。こんな事をしていたら遅れてしまう。
今日はマリアの誕生日パーティだ。婚約者の僕が遅れるわけにいかない。
「じゃあ、行ってくるよ姉さん」
「いってらっしゃい。……私の誕生日には、百合をよろしく」
ちゃっかりリクエストされてガク、とずっこける。
百合、かぁ……。難しいんだよなー。
オリガミで作ったものの中で、僕には最も必要のない効果だったのが花だ。
取りあえず前世で作った覚えのあるので薔薇や水仙、百合等と作ってみた。
すると……。
“所有者の手により“華やぎ(小)”が具現化しました”
“所有者の手により“潤い(小)”が具現化しました”
“所有者の手により“清楚さ(小)”が具現化しました”
という、メッセージ。……イメージを変えられる、って事だろうか? なら潤い、って言うのは……?
僕は男だし、俳優を目指す程の美形でもないからどれもあってもいらないものだ。そう言ったら母さんが『なら、私にちょうだい』と言ったので、取りあえず水仙をあげてみる。すると翌朝、母さんが興奮して僕の部屋に飛び込んできた。
僕も驚いたよ。まさかあんな事が出来るなんて。
でも、その時はまだスキル1だったので、直ぐに効果は無くなってしまった。
女性が喜ぶんなら、とマリアにも、誕生日の度にあげている。――効能については言わないで。
何故か母さんや姉さんが『マリア(ちゃん)にスキルの詳しい話はしない方が良い。結婚するまでで良いから』と言われているからだ。
確かにこのスキルは謎ばかりだ。僕自身、研究はしているけどまだ底知れない部分はある。
下手な事は、言わない方が良いだろう。だから……罪悪感はあるけれど、マリアにはスキルについては話していない。
「カヤラ! よく来てくれたな」
「おじさん、お久しぶりです」
伯爵邸に着いた僕を、真っ先に迎えてくれたのはナルシト伯爵だった。
マイク・ナルシト伯。マリアのお父さんで、父さんの友達。おばさんが派手好きなのに対し、おじさんは地味だけど品のあるスーツを着ている。
邸内はお祝い仕様の飾り付けがされていて、パーティ会場の広間には招待客がチラホラと見える。僕はキョロキョロしながら、
「マリアはどこですか?」
と訊いた。
「そ……それが……」
と、急におじさんは、何故か決まり悪そうに目をそらし、言葉を濁す。
その時……。
「ふふっ、イヤだわ~ユーリったら、冗談ばっかり!」
「冗談じゃないぞ、マリアは誰よりも美しい」
「……殿下、マリアを困らせてはいけませんよ」
「そうだぞユリアス! 臆面も無くそんなセリフを言うな。……でも、まぁ……マリアならしゃあネェか……」
楽しそうな声が聞こえる。と思ってそちらを見てみたら
そこにはマリアと、マリアを囲む3人の少年達がいた。
一張羅のスーツに埃も汚れも、ない。髪型は、綺麗に整ってる。花束と招待状、持った。プレゼントのブレスレットは、キチンとラッピングされている。リボンの処にオリガミで作った花も添えた。
「アンタって、本当にマメよねぇ」
いつの間に来たのか、姉さんが僕に呆れたような目を向けていた。
「それにその花、また持って行くの?」
姉さんの言う“花”は花束じゃなく、オリガミの花のことだろう。
「だってこれ、今までで保って1年だったろ? 前のはもう、ないだろうし」
替えが必要だと思うんだけど。
僕が言うと、姉さんはなぜか不服そうに口をへの字に曲げ、
「……どうだかね……」
独り言のように呟いた。
姉さんはどうもマリアが気に入らないようで。……マリアも姉さんが苦手だ、って言っていた。
物怖じしないコミュ強のマリアと、学者肌で交際範囲の狭い姉さんは正反対だからだろう。僕たちが結婚する頃までには、多少でも緩和されていて欲しいと思っている。
っとと、いけない。こんな事をしていたら遅れてしまう。
今日はマリアの誕生日パーティだ。婚約者の僕が遅れるわけにいかない。
「じゃあ、行ってくるよ姉さん」
「いってらっしゃい。……私の誕生日には、百合をよろしく」
ちゃっかりリクエストされてガク、とずっこける。
百合、かぁ……。難しいんだよなー。
オリガミで作ったものの中で、僕には最も必要のない効果だったのが花だ。
取りあえず前世で作った覚えのあるので薔薇や水仙、百合等と作ってみた。
すると……。
“所有者の手により“華やぎ(小)”が具現化しました”
“所有者の手により“潤い(小)”が具現化しました”
“所有者の手により“清楚さ(小)”が具現化しました”
という、メッセージ。……イメージを変えられる、って事だろうか? なら潤い、って言うのは……?
僕は男だし、俳優を目指す程の美形でもないからどれもあってもいらないものだ。そう言ったら母さんが『なら、私にちょうだい』と言ったので、取りあえず水仙をあげてみる。すると翌朝、母さんが興奮して僕の部屋に飛び込んできた。
僕も驚いたよ。まさかあんな事が出来るなんて。
でも、その時はまだスキル1だったので、直ぐに効果は無くなってしまった。
女性が喜ぶんなら、とマリアにも、誕生日の度にあげている。――効能については言わないで。
何故か母さんや姉さんが『マリア(ちゃん)にスキルの詳しい話はしない方が良い。結婚するまでで良いから』と言われているからだ。
確かにこのスキルは謎ばかりだ。僕自身、研究はしているけどまだ底知れない部分はある。
下手な事は、言わない方が良いだろう。だから……罪悪感はあるけれど、マリアにはスキルについては話していない。
「カヤラ! よく来てくれたな」
「おじさん、お久しぶりです」
伯爵邸に着いた僕を、真っ先に迎えてくれたのはナルシト伯爵だった。
マイク・ナルシト伯。マリアのお父さんで、父さんの友達。おばさんが派手好きなのに対し、おじさんは地味だけど品のあるスーツを着ている。
邸内はお祝い仕様の飾り付けがされていて、パーティ会場の広間には招待客がチラホラと見える。僕はキョロキョロしながら、
「マリアはどこですか?」
と訊いた。
「そ……それが……」
と、急におじさんは、何故か決まり悪そうに目をそらし、言葉を濁す。
その時……。
「ふふっ、イヤだわ~ユーリったら、冗談ばっかり!」
「冗談じゃないぞ、マリアは誰よりも美しい」
「……殿下、マリアを困らせてはいけませんよ」
「そうだぞユリアス! 臆面も無くそんなセリフを言うな。……でも、まぁ……マリアならしゃあネェか……」
楽しそうな声が聞こえる。と思ってそちらを見てみたら
そこにはマリアと、マリアを囲む3人の少年達がいた。
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