この世界のスキル・アイテム“オリガミ”の秘密は僕だけが知っている

みけの

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公爵令嬢と公爵令嬢②

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 ケイトとジュリアン。
どちらも筆頭貴族の親を持つ令嬢として、わずかながらに交流はある間柄だ。年もジュリアンの方が1つ上程度。
 が……趣味も気質も丸っきり正反対。顔を見れば聞くだけで凍るようなやり取りが展開される。当人たちでなく、周りが凍るのだ。

「今回の件、マリア・ナルシトの単独犯だと思います?」
校庭を2人並んで歩きながらケイトが問いかける。校庭といっても王立学園。国きっての匠達が才を奮った芸術品の一つ。花壇や彫刻一つをとっても優れた芸術品である。
 そして……その中を歩く2人の少女も芸術の一つだ。画家が見ればすぐさま絵筆を奮うだろうが、彼女らの語りは、きっとその絵に込められない。事実は美から程遠い内容だからだ。
問われたジュリアンは少し考え込んでから答えた。
「今の状況ではどうとも。ただわたくしは単独犯だと思いますわ。あまりにもお粗末過ぎますから。……目的は貴女の言う通り、自分が殿下達の特別だと見せつけたかったんでしょうね」
そして自分の婚約者を罠にかけ、悪者にして破棄を受け容れさせる。
自分と王太子達は悲劇のヒロインと正義のヒーローとして断罪劇の喝采を浴びる。狙いはそんな処だったのだろう――失敗したけれど。
「本音を言えばもう少し、うまくやって欲しかったですわ」
「引っかかる方も方ですが……馬鹿な真似をしたものです」
「全くね、彼との婚約を破棄するなんて。……って、何ですの?」
言い終えたケイトは、ジュリアンに驚いたような目で見つめられた。
「――そこ?」
ジュリアンは王太子達を巻込んだ事に対して言ったのに、ケイトは違ったようだ。食い入るように見つめられ、若干引きながらケイトは答える。
「お、おかしいかしら? 王太子殿下はナルシト嬢を妻になどと思っていないわ。せいぜい側妃程度よ。シャーマニテイ宰相令息だって“真実の愛”なんて阿呆丸出しな事を宣っても周りが許さないわ。せいぜい愛人扱いで終わりでしょう」
だがカヤラ・オリガは違うだろう。一時の気散じや慰めの相手ではなく、一生共に生きる対等の妻として尊重してくれた筈だ。
 そんな意味の事をアワアワしながら言うケイトに、ジュリアンがニマーっと笑う。
普段は真面目が過ぎる彼女には似合わない笑みを、言葉に訳すとこんな感じだ。

――エエもん見さしてもらいましたわ。

 「と……ところで先程殿下達、妙な事を仰られてましたわね?」
話題を変えようと、苦し紛れに言った言葉にジュリアンが首を傾げる。
「妙な事?」
「私達が不仲なんて……」
ああ、とジュリアンは頬に手を当て、? という表情で同意する。ケイトも考え込むように首を捻った。
「どうしてなのでしょう……? わたくしラチェット様のあたかも修道女のような堅苦しくてガッチガチで窒息しそうなストイックさを目の当たりにするたび、よく生きていられるなと尊敬しておりますのに」
ケイトの言葉に、ジュリアンも微笑み返す。
「全くです。わたくしこそ毎日厭きずに奇天烈な格好をされて、“頭の箍をお母上様のお腹に置いてかれたのか?”などと思わせる突き抜けたラッセン様の事を、とても貴重だと思っておりますのに」
「ふふふ……」
「おほほほ……」

 もし聞いている人がいたら、“本当に仲が良いのか?”と突っ込みたくなっただろう。
しかし目で見る限りは、美少女令嬢が微笑み会う、優雅な光景だった。
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