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第一章 下ごしらえ編
見てますんで。見てるだけで働きませんので、
しおりを挟む『初めまして、如何なさいました?』
魔法、トリック、狂気、天国。そして、「飴と罰」。
恋慕はゲームで、友達飛ばしの快楽を求め、誰も彼も見境なく蜜へと群がる蟻の様。
「貴方も私と遊びたいの? 私の『治療』は幻想のような悪夢だとよく言われるから、あまりお勧めしないけど……」
男も女も「遊び人」を好むし。若さ故の無鉄砲・無秩序が言い訳にならぬほど、みんなセックスに嵌っていた。
ご褒美と称して鳴かせて、お仕置きしては叫ばせて。例え「サイアクな状況」になろうと、基本的には辞めてあげれない。
……と。
君は鈴蘭の様に可憐で、然し口開けば猛毒を吐露する蜘蛛の如く。
「でも。それでもいいのなら、———『我慢しないで、いっぱい甘えて』?」
普段時は優しいけれど、ゲームとくれば甘くない。
常日頃いくら美しい薔薇の庭の様に見えようと、一度『中』に踏み込み、ベッドに上がれば棘塗れな妖精。
「もう終わりなら、教えてね」
つれない、つれない。どんなに愛らしくとも、とにかく『冷たい』君。
皆が知る、その姿。
そればかりが、皆が、俺が知る君で。これまでの「君」というのは、そんな女王蜂だった。
『どんだけ、盛っていやがるんです? こんの、おませさんメ!!』
のに。
『———そう、すまた!! 素股なら、ちょっと太腿貸して、挟むくらい…なら……っ??』
そうであった筈。だった、と言うのに。
まさか君に、こんな一面があったなんて……!
~~~~~~~~~っ♡♡!!!!
チェリー色のリップ、透き通る白に潤んだ藍。思わず脳が焼き切れそうになって……一瞬信じられないものを見て聞いたような気もしたが。
そんな些末さなぞ次の時、声にならなかった高揚と共に木っ端微塵に噴散し、感情ばかりが先立ち。
「下」克「上」。
と、なんと甘美な響き。なんて麻薬染みた行為なのだろう。
……不意打ちの仕草。そうやっていつも通り下に敷かれるも、「愛らしい言い分」に雌としての腹が鳴り、雄としての喉も鳴る
「一時の迷い故の痕は。……きっと、『最悪な事態』になるモノよ」
そして、息することすらままならない、本当の「罪悪」に対し。この時の我が身は果たして、一体「どっち」の顔をしているのだろうかと。少しばかし気になるも……君が、オフィーリアが、少女が、あの日の面影が。
「ほら早くお入り、何時までぐずるの、可愛い子。時間は有限、私と遊びたいなら———『おいで』」
緋色の鼓動、すなわち生の証。
それで居て、それどころか、全てを統べる女王蜂になるも。「非常識」でありながら、君はいつも甘く、「自然界の常識」を教えてくれる生娘だった。
だから、もう。
———もう、どうでもいいや、何もかも。どうにでも、
「はっはは、はっ♡ 何時ものもいいけどっ、この体位、君の顔がよーく見えて、すっごくすき。『体面座位』? って言うんだっけ、ホント好き……ん…♡♡」
「~~~~~~~~っ!?!?」
『キス』しやすいし、隙の無いくっ付き方で「愛し合ってる」感じがして途轍もなく、興奮する♡
唇を交え、はむはむする度、同じ体かの様に溶け合って———だから♡♡
「もっと、もっと『キス』しよ♡? 今までの、今まで我慢した分も、ね……はぁ♡ キス…君の、オフィーリアの唇をはむはむしながら、おちんちんシコシコするの、気持ちぃ……♡♡」
好意を寄せる相手を愛し愛される、例え彼女の気まぐれ、泡沫の夢だとしても。……例えこの後、この身にナニが降りかかろうと、もはや「どうでもいい」と思うほど。
そんな悪夢に一時であろうと身を置けるのであれば、今世……。例えどんな情けない痴態を晒し、どんな手段をとろうとも。
「君に見られながら、すりすりって乳首撫でて、いじいじするのも気持ちい♡ 右も左も…あんっ♡ はっ、そう、ここをね、カリカリぎゅううと、するとね、ぅ♡ あぁあ♡ ……ンっ♡」
———俺をこんな体、こんなのにした責任を取らせて、責任を取ろう♡
だから、もう。ここまでこんなにも行儀よく、「お利口に我慢してきた」のだから、もう我慢は嫌だ。
と、言わんばかりに。
「や、目よ。その目やば、イって……っ」
「両方、ちくび両方したら腰、浮いちゃっ♡」
ずり、ずりゅっ♡♡
それは男だとか女のだとか関係ない、結局いつの世も身体と言うのは思考や理性何かより、ずっと素直だった。
「ひゃ、んん…ッ!? ???????」
……を、繰り返し。「彼女のならばいいな」と期待しながら、止めどなく流れ出る自身の欲にも塗れ、汁という汁、水音という水音、それと真っ白な濁音。
何時かは口で転がし、舐めて吸って、思いつく限りの「お世話」をシたいその場所。今はまだ一枚の膜越しではあれど……。
でも、だとしても♡
「あはは、すごい顔、大きなおめめぱちぱちさせて、可愛い♡」
「っ????」
思い寄せる雌の蜜ある、濡れそぼったソコに雄の象徴を押し付けて ずり、ずりゅっ♡♡ と腰をスライドさせる。
驚愕に塗れた小さな悲鳴が腰に響き、脳自体を揺さぶられた気がした。
それで、又もや「ドサッ」と言う音が周囲に渡り、格式高いベッドがギシっと軋み、視界一面の反転。……三度目の正直、この度の行為における三度目の「下」克「上」。
「はっ、あっ♡ あー、やば、絶ッ景」
白い枕に広がる黒髪はまるで夜帳の様。
そして、それでいて未だこの状況に着いて行けていないのか、こちらをぱちくり、見上げる金色混じりの藍の瞳が星空の様で。
今の自分が、仮にもSubである俺が……。
(堪らない)
と。
———この、人の手で「星を堕とした」かの様な感覚、実感。
眼をギラつかせ、ごろごろ無意識、レオは喉を低く鳴らす。
「全身ぴりぴりゾクゾクして、腰へこ、腰勝手に動く……っ♡」
「う、っわ……」
後は、「俺、今日が命日なのかもしれない」と言わんばかりの、生殖本能だ。
思わざる負えない。突如湧き出ては、与えられた『ご褒美』にくらくら、グラグラ♡
男でありながら、意図せず「こんなの」になって仕舞った今生どころか、三世先まで悔いはないし。
……でも、やはりこのまま、欲望に果てはなく。「この次」を求めるのが男、人、動物としての性でもあるのだから。
「あー♡ ダメ、とまんない♡ ちくび、おちんちんも気持ちよくて…止めらんない♡ これ、分かる? これが、君が何時もする触り方。散々焦らした後、クリ勃起した乳首をきゅううっ♡ て摘むの、すき、ビリビリってして、気持ちいぃ……っ♡♡」
やはりどう考えても、雌雄どちらにせよ、つまる所の詰み。俗に言う「責任問題」一択である。
———君が、オフィーリアが、いつもしつこい位遊んで、イジメるから。
と耳元で。時代は押しかけ女房ならぬ、押し寄せSubと言ったが勝ち。
そうなのだと、お前のせいで「こう」なって仕舞ったのだからだと、責任取れ。
そんな胸から下にかけても、すっかり開花させられたソコを『見せつける』かのように、晒し。
切なげに言葉、喘ぎの合間合間で くぅんん♡ と仔犬みたい鼻を鳴らすレオ。
「ゴ、ごくり」
……と、そんな男方につられでもシたのか。(無)だけに、例の無人島の住人みたいな顔をしながらも、女の喉も思わず きゅん♡ っと鳴り。
これはこれで、お互い様様。
お互い、ここまで出来上がれば、とうとう「元来のルール」すら脳の隅に遣り、どっちもどっちで無我夢中。
もう何も考えられず、それどころか。男も女も今ばかりは、この昂りのままに……と。
がくがく♡ レオの腰が震え。ちかちか、現実的な目の前すら星が散らばり、散り始め。
「あぁッ~♡ ア~ッ♡ ………っ、」
一人から二人分へと、重みを増したベッドが ギシギシ、ギシッ、ギシッ とする度。そういった音さえ興奮の要素と吟味されては、何度も。何度でも、イキそうになる。
例え改めて傍から見ずとも、指摘されずとも分かるほど。如何にも盛りきった犬みたいで恥ずかしいのに、ソレすら快感と化け……その分どうしようもないほど「気持ちぃい」のだ。
「ん~~~っ…♡♡」
気持ちいの、気持ちよくなる以外、考えられない。
「好き。ほんとに好き、だいすきッ♡! キス、もっとキス、ちゅーしよ♡♡」
「え。……む、むぅうっ」
蜜を舐める動物や虫の本能。譫言の様な睦言が溢れ出し、舌をもチラつかせ、見せつけ、幾度なく。
場の主たる相手の許可も待たずに、又もや覆い被さり、がぶり付き、♡に濡れて。
それだけ、何の前触れなく訪れた歓喜。いきなり目前最中にぶら下げられた「餌」に、正気なぞとうに消え果て♡♡
へこっ♡ へこっ♡
無意味で、情けない腰ふりを繰り返し♡
ゾクッ♡ ゾクゾクッ♡
全身、特に太腿周りを痙攣させては♡
ずりズリ、ぬちゃあ。
———ズリッ、
ズリュウッ♡♡
「…フィー、オフィーリアぁ……♡ これダメ、ホントっ! コレすごく駄目かも、おちんちん へこっ♡ へこっ♡ ってする度、君の大事なとこ♡ 網目、レースのザラザラに擦れて……ぁああ♡♡」
「マグロとしていいとこなので、どうぞお構いなく。是非とも続けてやってください……」
と、好きな女の子に跨り、両手、両腕で囲み。大好きな乳首を置き去りにした、全力の男の子イキ体勢。
腰の動きが早まるにつれ はっ♡ はっ♡ はッ♡
レオの呼吸ばかりが次第に小刻みに刻まれ。
腹筋が引き攣り、嘗てないほどの興奮、ぱんぱんに膨れ過ぎて玉は痛いし、摩擦熱によって竿が本当に溶け堕ちそう♡
イきそう♡
イきたい♡
イくっと♡♡
正しく「鴨が葱をしょってキタ」と呼べるような攻撃を、もろに喰らって仕舞ったかのような心地となった。
これまでどれ程思い願った所で、結局は妄想頼り。それだけ、一度すら目の当たりにしたことのないDomの白肌が晒されているだけでも興奮ものなのに、そんな時分に『素股』だなんて……。
そう思うと心なし、レオのギラついた瞳孔が♡形に歪み。
「んっ……ンっ♡ ンんん~~~っ♡♡!! ぁ、俺…♡ 腰へこも、腰びくびく、止まらない♡ 裏筋にザラザラ擦れるの、すき♡ クセになりそうっ、しこしこ、シコシコッて♡ 嬉しい、気持ちいい、女の子の大事なとこ、オフィーリアのおまんこの前で、綺麗な女の子の下着でしこしこ♡ へこへこ、自慰みたいっに……ッ」
こ、こんなに早いの、恥ずかしいし、嫌なのに♡♡
まだ果てたくない、まだ、もっと……っ♡♡!!!! と思うも……。
「ん""♡ あ"っ♡ アぁあ、出るっ、イ"く♡ イ"くイ"く、イク~~~……っ♡♡!!!!」
「え。えッッッ」
限界まで昂り、これまで幾度ない「我慢」を強いられてきた男、Subの体はやはり素直で、Domの前ともなれば、より一層。
ビクビク、ビクッ♡
と男が自身の太腿や腹筋、腹部そのモノをひく付かせ、前かがみに腰を曲げたかと思えば……びゅっ、びゅっ。
びゅるるっ~~~~~~~~っ♡♡
飛び散る潮混じりの白濁。
そんな本能、雄味丸出しな『素股』をシてるくせして。何時ものクセ名残からなのか、将又Domを前にしたSub故なのか。
行為中女の子みたいな声を出し、♡入り乱れた吐息に喘ぎ、途中まで自分で乳首すら弄っていたという相手……レオの痴態に、方やマグロ化。
正直申し上げれば「全ッ然、余裕なくてバチクソ可愛い」くて、自分の股、おパンツ事情なんてどうでもよくなったオフィーリア。
思わず真顔になり、嘗てないほどのクソデカボイスで、
(え。えッッッッッッッッッッろ! すごくえっち!!)
で大変お宜しいと思います(賢者)と叫びそうになったものの。
もし。
もしも、万が一にも。かの有名な従者さながら、そんな音量を上げた途端、いくら防音ある場所であろうと、例のシスターラブ・モンスターが結界・壁ブチ抜いて来そうなので……反射的に口を両手で押え、辛うじて耐え。
(さ、流石カッコ可愛い界の新星、マジモンの逸材……)
と主に紙一重的な意味合いでドキドキしながら、こうしている最中であろうと、乙女は心の中でちょっと泣いた。
だって、今日も今日とて相も変わらず「見てますんで。見てるだけで働きませんので、」とマグロっていようと、相手が勝手に盛り上がり、果ててくれるのは大変眼福、大変結構と思うも。
……然し、宅抜きされ残った一人の女としては大分複雑なもんだ。
「……………」
マジで。
行為における加減と塩梅って難しいね、マジで。
「ねっ、寝ちゃった……」
ただ何にせよ、同時に同時刻。
こんなカッコいい男の子の媚態コンテンツを無料の間近で拝見できるのだから、前世、いや前々前世あたりの私は世界を救い。シンプルに日頃の行い、これまでの色と々が良かったからだと思う、今日この頃……。
とうとう事切れたレオきゅんの下から、オフィーリアは静かに抜け出し、起立。
魔法でパパっと清掃。そして、一礼。
そんで最後の締め「今日も対戦ありがとうございました(感想)」で〆て…。
「ナニか、とても大事なナニかを絞め忘れている様な……」とうんうん唸りながら、清め、着替え。……それはそうと、彼女が逃げるように外へ踵を返せば……。
「おはよう、フィーちゃん。今日も真面目に可愛いね ———で? 特にここ数日、後はその唇の腫れどうしたの、お兄様に言ってみ?」
「あらあら、まぁまぁ! 今までその毛がまるでなかったモノだから、心配していたのだけれど…。うちのオフィーリアもついに……お熱いこと。お母様も気になるわ~」
「朝っぱらからナニをふざけたこと……お父様は何も、ナニも聞きたくないからな……」
———等と。
いくら前向きという名の現実逃避、心底どうでもいい哲学を考え、賢者に成り変わろうとも。そう問屋が卸されない、問屋が終わらないのが、世の『現実』というモンなので。
一難去ってまた一難、
「これは…荒れますね……」
いつになく賑やかな食卓の傍ら、そうしみじみ呟く老執事に。「フラグ……てか、次回予告辞めてもろて、本当に勘弁してくれろ」とオフィーリアは、又もやちょっと鳴く羽目になる。
アレもコレも全部秘め事、あくまで心の中だけの話。
……ではあるのだけれど。
そうやって何時もの顔で家族の団欒に花を咲かせるも、コレまでにない名残。それゆえ後引く様で腹が鳴り、時折りの無意識、脚を擦り合わせる。
そんな少女の仕草に気づく目敏い人も、無論———。
応援ありがとうございます!
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