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第1部 新しい世界
第14話 既視感
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私は…誰?
私は魔界の王の娘に生まれた。
魔界も色々と勢力があり、父は小さな一所領の王でしかなかった。
魔族は人族に比べ魔力や腕力に長けるものが多かった。
しかしその反面、繁殖力は人族にくらべると弱い。
個々の能力が弱い分、数で補う人族。
繁殖力が弱い分、個々の能力で補う魔族。
人族と魔族はアスケル山脈と言う、大きな山脈に阻まれて行き来はしていない。
その山脈自体を超えるのが、命がけになるからだ。
そして人が踏み込まない分、魔物も強く大型のものが多いと言う。
弱肉強食の中で生き残った魔物である以上は、弱い訳がなかった。
魔界は閉ざされ、魔族以外、魔族には敵はいない。
魔界を統一するため、群雄割拠の時代がやって来た。
数多の英雄が生まれ死んでいく。
領地を取られては、取り返すの繰り返しで『覇』を唱える英雄はいなかった。
魔族は力。
相手の絶対的な力に従う種族だ。
どんなに戦略が優れていても、武力のみが認められる世界だった。
戦略に優れても、それを認めて着いてくる家臣はいない。
なぜなら武力のみが全てだからだ。
逆に戦略重視の勢力ができれば、それだけで一大勢力を築くことができるのに。
そしてどの魔界の国々も、王の力に屈服した家臣の集まりだ。
それ故に王より弱い家臣しかいないのが、各国が『覇』を唱えることが出来ない要因だった。
人族の様にその国の家臣となり、功績を上げ所領をもらい成り上がっいく。
例え王が自分より武力や才覚が無くても、自分が立身出世するための手段として仕える。
人族的な考えが魔族にあればとうの昔に魔界は統一され、他の種族の国に攻め入っていただろう。
もう1つの要因は魔族の寿命だった。
人族と比べ魔族は長寿で300~500歳は生きる。
その寿命のため時間はあり余る。
生きていれば、次がある。
人族の様に限られた短い寿命なら、知略や戦略を駆使して効率を上げるだろう。
父のアルトゥル ・グライナーは、まだ150歳の若い魔王だった。
銀髪で黒い2本の角を持つ魔族。
精神系魔法を使い父の様な上位の魔族になると、攻撃力の凄い魔法を放てる。
だが他の炎や雷系の魔法と比べ地味なのが、家臣が集まりずらい理由の1つだ。
母のマガリは父より2つ年下の148歳。
私にしてみると些細な事だが、なぜか母はその2歳にこだわった。
分からないわ。
紫色の髪に15cmくらいの黒い角が1本、額から生えている。
母は属性は邪属性魔法だ。
対象の相手に苦痛を与えたり、即死系魔法を使う。
父と同じで地味だった。
そして姉のレオノールは112歳。
燃える様な赤い髪をしており、生まれた時は炎属性かと喜んだらしいが。
結局は母と同じ邪属性魔法だった。
それはそうだ。
夫婦や肉親間の魔力を引きついて、子供は生まれてくるのだから。
もし炎属性の無い家系に炎属性を持った子供が生まれたら、それはおかしい。
だがその属性を取り込みたい家は、妻の浮気は黙認らしい。
時にはあえて妻に迫らせ、能力を欲しがる家もあるとか。
「お母さん。私は誰似かしら?」
「隣のおじさんよ」
なんてジョークもあるくらいだ。
姉は15歳の私からすれば両親達と、変わらない年齢だ。
父が38歳の時に姉が生まれ、それから97年ぶりに私が生まれた。
97歳年上で姉と言われてもね。
それでも私が生まれた時は、両親も姉もとても喜んでくれたとか。
そして小さい頃から私は時々、知らない記憶があった。
大きな建物、車やTVなど。
医者に診てもらっても、感受性豊かな年齢だから、既視感を見ると言われて終り。
それならそれで別に構わなかった。
その疑似記憶が役に立つこともあったから。
でも今日の私は違う。
何かを思い出しそう。
父は早くに他界し私は、母1人に育てられた。
そして私は、18歳で社会に出て商社に入社した。
女手1人で私を育てた母は、私を育てるために昼夜構わず働き体を壊した。
1980年。
男性と女性は賃金格差があり、女性が身を立てるには大変な時代だった。
私は魔界の王の娘に生まれた。
魔界も色々と勢力があり、父は小さな一所領の王でしかなかった。
魔族は人族に比べ魔力や腕力に長けるものが多かった。
しかしその反面、繁殖力は人族にくらべると弱い。
個々の能力が弱い分、数で補う人族。
繁殖力が弱い分、個々の能力で補う魔族。
人族と魔族はアスケル山脈と言う、大きな山脈に阻まれて行き来はしていない。
その山脈自体を超えるのが、命がけになるからだ。
そして人が踏み込まない分、魔物も強く大型のものが多いと言う。
弱肉強食の中で生き残った魔物である以上は、弱い訳がなかった。
魔界は閉ざされ、魔族以外、魔族には敵はいない。
魔界を統一するため、群雄割拠の時代がやって来た。
数多の英雄が生まれ死んでいく。
領地を取られては、取り返すの繰り返しで『覇』を唱える英雄はいなかった。
魔族は力。
相手の絶対的な力に従う種族だ。
どんなに戦略が優れていても、武力のみが認められる世界だった。
戦略に優れても、それを認めて着いてくる家臣はいない。
なぜなら武力のみが全てだからだ。
逆に戦略重視の勢力ができれば、それだけで一大勢力を築くことができるのに。
そしてどの魔界の国々も、王の力に屈服した家臣の集まりだ。
それ故に王より弱い家臣しかいないのが、各国が『覇』を唱えることが出来ない要因だった。
人族の様にその国の家臣となり、功績を上げ所領をもらい成り上がっいく。
例え王が自分より武力や才覚が無くても、自分が立身出世するための手段として仕える。
人族的な考えが魔族にあればとうの昔に魔界は統一され、他の種族の国に攻め入っていただろう。
もう1つの要因は魔族の寿命だった。
人族と比べ魔族は長寿で300~500歳は生きる。
その寿命のため時間はあり余る。
生きていれば、次がある。
人族の様に限られた短い寿命なら、知略や戦略を駆使して効率を上げるだろう。
父のアルトゥル ・グライナーは、まだ150歳の若い魔王だった。
銀髪で黒い2本の角を持つ魔族。
精神系魔法を使い父の様な上位の魔族になると、攻撃力の凄い魔法を放てる。
だが他の炎や雷系の魔法と比べ地味なのが、家臣が集まりずらい理由の1つだ。
母のマガリは父より2つ年下の148歳。
私にしてみると些細な事だが、なぜか母はその2歳にこだわった。
分からないわ。
紫色の髪に15cmくらいの黒い角が1本、額から生えている。
母は属性は邪属性魔法だ。
対象の相手に苦痛を与えたり、即死系魔法を使う。
父と同じで地味だった。
そして姉のレオノールは112歳。
燃える様な赤い髪をしており、生まれた時は炎属性かと喜んだらしいが。
結局は母と同じ邪属性魔法だった。
それはそうだ。
夫婦や肉親間の魔力を引きついて、子供は生まれてくるのだから。
もし炎属性の無い家系に炎属性を持った子供が生まれたら、それはおかしい。
だがその属性を取り込みたい家は、妻の浮気は黙認らしい。
時にはあえて妻に迫らせ、能力を欲しがる家もあるとか。
「お母さん。私は誰似かしら?」
「隣のおじさんよ」
なんてジョークもあるくらいだ。
姉は15歳の私からすれば両親達と、変わらない年齢だ。
父が38歳の時に姉が生まれ、それから97年ぶりに私が生まれた。
97歳年上で姉と言われてもね。
それでも私が生まれた時は、両親も姉もとても喜んでくれたとか。
そして小さい頃から私は時々、知らない記憶があった。
大きな建物、車やTVなど。
医者に診てもらっても、感受性豊かな年齢だから、既視感を見ると言われて終り。
それならそれで別に構わなかった。
その疑似記憶が役に立つこともあったから。
でも今日の私は違う。
何かを思い出しそう。
父は早くに他界し私は、母1人に育てられた。
そして私は、18歳で社会に出て商社に入社した。
女手1人で私を育てた母は、私を育てるために昼夜構わず働き体を壊した。
1980年。
男性と女性は賃金格差があり、女性が身を立てるには大変な時代だった。
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