16 / 55
第1部 新しい世界
第16話 始動
しおりを挟む
あぁ、駄目だわ、この子。
またどこかに気持ちが飛んでる。
焦点が定まってないし。
これでは、とても使い物にならない。
それでもタケシと言う男がいれば、少しは気持ちが安定するのかしら?
あの男が側に居ても、邪魔になる訳でもないから試してみましょうか。
そして使い物にならなければ、どこかに閉じ込めて周りの目から隠さないと。
聖女を召喚したと各国に触れ回った。
しかし、使い物にならないと分かったらいい笑いものだわ。
その時、ドアを叩く音がした。
「どうぞ」
ドアを開けイルゼと共にタケシが入って来た。
「お待ちしてましたわ、タケシ様。イルマ様が変なのです」
俺はビッチェ王女にそう言われ、イルマちゃんを見た。
するとどこかを漠然と見つめ、ブツブツ言っているイルマちゃんがいた。
「イルマちゃん!イルマちゃん!俺の声が聞こえるか?大丈夫か」
あ、あれ?
私はどうしていたのかしら。
目の前にはタケシ君がいた。
前世のことを思い出すのに、どれくらいこうしていたのかしら。
「分かりましたわ。イルマ様のご希望通り、討伐にはタケシ様もご一緒して頂きましょう」
「本当ですか、ビッチェ王女様」
「もちろん本当です。どうやらイルマ様は、現状がよほどご不安なご様子。同郷のタケシ様がご一緒なら、気持ちも和らぐと言われるのならそう致しましょう」
「ありがとうございます。それから、お願いがございます」
「どんなことでしょうか」
「討伐中なにがあるか分かりません。装備を充実させて頂きたいのですが」
「勿論です。軽くて防御力のある、ローブをご用意致しますわ」
「私だけではなくタケシ様にも防具と剣、そしてお金をご用意して頂けないでしょうか」
「えっ、防具と剣は分かりますが、どうしてお金を?使う機会はありませんよ」
「それが先日タケシ様とお話した際に、持ち合わせがないのは不安だと言う話になりまして。そしてこの国のお金自体も見たことがなく、使う機会がなくても持っていれば安心かなと思いまして」
貧乏根性て、ことね。
「それにこの国の貨幣を覚えたいそうで。小さいのもから大きい貨幣まで、一通り欲しいそうです」
取りあえず、言う通りにしてあげないと。
気が変わったら困るわ。
「一通りね、分かりました。用意させましょう」
「ありがとうございます。それともう1つお願いがございます」
「もう1つお願い?なんでしょうか」
「タケシ君と自由に合わせてほしいのです」
「それはどういう事でしょうか?」
「いつでも私やタケシ君が、お互いの部屋に行けるように許可をください」
こ、この女。
やはりタケシ狙いか。
「それはなりません、あなたは女性なのです。男と部屋を行き来できるようにしてほしいなんて」
「い、いえ。違います。タケシ君は、そう向こうの世界にいる私のお兄ちゃんに似ているのです」
「お兄様に?」
「兄は私より2つ年上で、背格好もタケシ君は兄に似ているもので。故郷の兄といるようで、安心するんです」
「はあ、分かりました。ただし会う時は必ずお互いに、メイドを連れて行くように」
「はい、ありがとうございます」
この女は。
何を考えているのかしら?
異世界に召喚されたのに、男の尻を追うなんて。
とんだアバズレだわ。
タケシと2人きりにさせたら、あっと言う間に純潔が…。
メイド2人に、よく言っておかないと。
「討伐は日にちが決まり次第、お伝えしますから。イルマ様はローブ用の採寸をしましょうか。レーナ」
「はい、ビッチェ王女様」
「イルマ様の採寸をお願い」
「かしこまりました。さあ、こちらへどうぞ、イルマ様」
「では失礼いたします、ビッチェ王女様」
メイドのレーナに連れられ、イルマ様、いいえイルマは部屋を出て行った。
「イルゼはタケシ様を騎士団の訓練所にお連れして」
「はい」
「そこでタケシ様に合う防具や剣を借りて頂戴」
「かしこまりました。ではタケシ様、参りましょう」
そしてタケシも部屋を出て行く。
さあ、私もやることをやらないと。
「オバダリア侯爵」
「なんだい、ビッチ」
「私はこれからロターリ司祭様に、聖魔法が使える神官様をお貸し頂くように手紙を書きますので」
「あぁ、そうか。それではまたなビッチ」
「はい、また後で」
オバダリア侯爵も部屋を出て行った。
もう疲れた。
いつまでこんなことが続くのだろう。
15歳の私には荷が重すぎるわ。
でも生き残るため、今を頑張らないといけないわ。
私は羊紙皮を広げペンをとった。
そしてあのロリコンでドMのロターリ司祭宛に、神官要請の文を書き始めた。
私の要請を聞いてくれたら謝礼と、素晴らしいご褒美を別途差し上げますからと。
あんなことで済むなら、安いと考えればいいのかしら。
またどこかに気持ちが飛んでる。
焦点が定まってないし。
これでは、とても使い物にならない。
それでもタケシと言う男がいれば、少しは気持ちが安定するのかしら?
あの男が側に居ても、邪魔になる訳でもないから試してみましょうか。
そして使い物にならなければ、どこかに閉じ込めて周りの目から隠さないと。
聖女を召喚したと各国に触れ回った。
しかし、使い物にならないと分かったらいい笑いものだわ。
その時、ドアを叩く音がした。
「どうぞ」
ドアを開けイルゼと共にタケシが入って来た。
「お待ちしてましたわ、タケシ様。イルマ様が変なのです」
俺はビッチェ王女にそう言われ、イルマちゃんを見た。
するとどこかを漠然と見つめ、ブツブツ言っているイルマちゃんがいた。
「イルマちゃん!イルマちゃん!俺の声が聞こえるか?大丈夫か」
あ、あれ?
私はどうしていたのかしら。
目の前にはタケシ君がいた。
前世のことを思い出すのに、どれくらいこうしていたのかしら。
「分かりましたわ。イルマ様のご希望通り、討伐にはタケシ様もご一緒して頂きましょう」
「本当ですか、ビッチェ王女様」
「もちろん本当です。どうやらイルマ様は、現状がよほどご不安なご様子。同郷のタケシ様がご一緒なら、気持ちも和らぐと言われるのならそう致しましょう」
「ありがとうございます。それから、お願いがございます」
「どんなことでしょうか」
「討伐中なにがあるか分かりません。装備を充実させて頂きたいのですが」
「勿論です。軽くて防御力のある、ローブをご用意致しますわ」
「私だけではなくタケシ様にも防具と剣、そしてお金をご用意して頂けないでしょうか」
「えっ、防具と剣は分かりますが、どうしてお金を?使う機会はありませんよ」
「それが先日タケシ様とお話した際に、持ち合わせがないのは不安だと言う話になりまして。そしてこの国のお金自体も見たことがなく、使う機会がなくても持っていれば安心かなと思いまして」
貧乏根性て、ことね。
「それにこの国の貨幣を覚えたいそうで。小さいのもから大きい貨幣まで、一通り欲しいそうです」
取りあえず、言う通りにしてあげないと。
気が変わったら困るわ。
「一通りね、分かりました。用意させましょう」
「ありがとうございます。それともう1つお願いがございます」
「もう1つお願い?なんでしょうか」
「タケシ君と自由に合わせてほしいのです」
「それはどういう事でしょうか?」
「いつでも私やタケシ君が、お互いの部屋に行けるように許可をください」
こ、この女。
やはりタケシ狙いか。
「それはなりません、あなたは女性なのです。男と部屋を行き来できるようにしてほしいなんて」
「い、いえ。違います。タケシ君は、そう向こうの世界にいる私のお兄ちゃんに似ているのです」
「お兄様に?」
「兄は私より2つ年上で、背格好もタケシ君は兄に似ているもので。故郷の兄といるようで、安心するんです」
「はあ、分かりました。ただし会う時は必ずお互いに、メイドを連れて行くように」
「はい、ありがとうございます」
この女は。
何を考えているのかしら?
異世界に召喚されたのに、男の尻を追うなんて。
とんだアバズレだわ。
タケシと2人きりにさせたら、あっと言う間に純潔が…。
メイド2人に、よく言っておかないと。
「討伐は日にちが決まり次第、お伝えしますから。イルマ様はローブ用の採寸をしましょうか。レーナ」
「はい、ビッチェ王女様」
「イルマ様の採寸をお願い」
「かしこまりました。さあ、こちらへどうぞ、イルマ様」
「では失礼いたします、ビッチェ王女様」
メイドのレーナに連れられ、イルマ様、いいえイルマは部屋を出て行った。
「イルゼはタケシ様を騎士団の訓練所にお連れして」
「はい」
「そこでタケシ様に合う防具や剣を借りて頂戴」
「かしこまりました。ではタケシ様、参りましょう」
そしてタケシも部屋を出て行く。
さあ、私もやることをやらないと。
「オバダリア侯爵」
「なんだい、ビッチ」
「私はこれからロターリ司祭様に、聖魔法が使える神官様をお貸し頂くように手紙を書きますので」
「あぁ、そうか。それではまたなビッチ」
「はい、また後で」
オバダリア侯爵も部屋を出て行った。
もう疲れた。
いつまでこんなことが続くのだろう。
15歳の私には荷が重すぎるわ。
でも生き残るため、今を頑張らないといけないわ。
私は羊紙皮を広げペンをとった。
そしてあのロリコンでドMのロターリ司祭宛に、神官要請の文を書き始めた。
私の要請を聞いてくれたら謝礼と、素晴らしいご褒美を別途差し上げますからと。
あんなことで済むなら、安いと考えればいいのかしら。
0
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。
向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。
それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない!
しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。
……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。
魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。
木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから
渡里あずま
ファンタジー
安藤舞は、専業主婦である。ちなみに現在、三十二歳だ。
朝、夫と幼稚園児の子供を見送り、さて掃除と洗濯をしようとしたところで――気づけば、石造りの知らない部屋で座り込んでいた。そして映画で見たような古めかしいコスプレをした、外国人集団に囲まれていた。
「我々が召喚したかったのは、そちらの世界での『学者』や『医者』だ。それを『主婦』だと!? そんなごく潰しが、聖女になどなれるものか! 役立たずなどいらんっ」
「いや、理不尽!」
初対面の見た目だけ美青年に暴言を吐かれ、舞はそのまま無一文で追い出されてしまう。腹を立てながらも、舞は何としても元の世界に戻ることを決意する。
「主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから」
※※※
専業主婦の舞が、主婦力・大人力を駆使して元の世界に戻ろうとする話です(ざまぁあり)
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
【完結】辺境の魔法使い この世界に翻弄される
秋.水
ファンタジー
記憶を無くした主人公は魔法使い。しかし目立つ事や面倒な事が嫌い。それでも次々増える家族を守るため、必死にトラブルを回避して、目立たないようにあの手この手を使っているうちに、自分がかなりヤバい立場に立たされている事を知ってしまう。しかも異種族ハーレムの主人公なのにDTでEDだったりして大変な生活が続いていく。最後には世界が・・・・。まったり系異種族ハーレムもの?です。
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる