【完結】聖女戦記物語。結局、誰が聖女役?-魔法より武力と丈夫な体に自信があります-

ジェルミ

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第1部 新しい世界

第17話 終生の剣

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 俺はメイドのイルゼさんに連れられて、騎士団の訓練所にやって来た。
 広さとしては学校のグランドくらいだ。

 そこに2階建ての建物があり、イルゼさんと中に入った。

 ここは寄宿舎なのか入り口にはカウンターがあり、50代の白髭の男の人が居た。
「ガスター様、こんにちは」
「おう、これはビッチェ王女様のところのメイドさんかい。どうしたんだい、こんなところへ」
「実はビッチェ王女様がこちらのタケシ様に、防具と剣をお貸しするようにと言われまして」
「このあんちゃんにか?」
「はい。実は今度、アウルの森の魔物の討伐に付き添いで、行かれることになりまして」
「付き添いね。まっ、詳しい話は聞かないことにするよ」
「ここは騎士団の寄宿舎だ。ここで騎士は寝起きをして訓練に励むんだ。だが防具や剣は騎士用のもので、たいしたものはないぞ」

 あぁ、やっぱり使いまわし品か。
 防具は使用済みなら臭いと嫌だな。

「こっちに来い」
 ガスターさんに言われ俺達は、奥の部屋に入った。

 むっとするような汗の臭いがする部屋だ。
「ここが防具だな」
 そう言われ中を見てみる。
 同じような作りの防具ばかりだ。
「ライトアーマーくらいしかないからな。まあ頭、肩、胸、胴から太腿辺りまで守れるから、ちょつとした攻撃ならこれで十分だろ?」

 俺は汗臭いのを我慢して何着か試着し、サイズの合うものを見つけた。
「次は剣だな、こっちに来い」
 今度は隣の部屋に来た。

「剣はここだな、好きな物を持っていけ。まっ、ろくなものはないがな」
 
 俺はせっかくあるんだからと、鑑定を使い品定めをした。
 どの剣も粗悪品ばかりで、これが騎士団の剣なら大したことは無いと思った。

 手に取ってみても、同じだった。
 そして1つだけ目につく剣があった。
 置いてあると言うよりは、立て掛けてある剣だった。

 【鑑定】
  名前:クレイモア
  全長:1.4mの大剣
  重さ:30kg

  単純に剣身を大型にした大剣
  重さで叩き切る


「この剣はなんですか?」
「これはクレイモアと言って両手持ち用の剣だが、誰も重すぎて振ることが出来ないんだよ」
「随分前に王様がドワーフの鍛冶屋に依頼して作らせたものさ。『丈夫でドラゴンでも倒せる剣』を造るように、てな」
「へえ、見るからに丈夫そうですね」
「確かに丈夫さ。ヒヒイロカネを混ぜて作られた剣だからな。しかも誰がそんな重たい剣を、持って移動できるんだ?だから剣は出来たが、お蔵入りて訳さ」

 そんなに重いのか。
 だがなんとなく、俺なら持てる様な気がした。

「持ってみても、いいですか?」
「あぁ、持てるならな」
 上に向いた柄の部分を掴んだ。
 そして持上げる。

「お、お前。持てるのか?」
「どこかで振れるところは、ないでしょうか?」
「中庭に行こう。着いて来い」

 俺は剣を持ったまま、部屋を出た。
 そして建物から中庭に出た。

「では、いきます」
 シュッ!シュッ!シュッ!
  シュッ!シュッ!シュッ!

 上段、中段、下段と剣を振る。
 
 昔テレビで見た居合の構えを思い出す。

 左足を引き腰を落とし、膝に力を貯めた。
 剣を抜き刀を外側に捻り、抜き放つ瞬間にそのまま刃は水平に振り抜く!

 ザァァァァァァ~!!

 手首を反らしせて柄を握り、二の太刀で首を狙う!

 ヒュン!!

 これは重さと長さと言い、俺に丁度いい。

「す、凄いですわ。タケシ様」
 イルゼさんが驚いている。

「あぁ、まったくだ。振れる奴がいるとは思わなかった。しかも片手でとはな」
「この剣が気に入ったのですが」
「持っていけ、お前の剣だ。誰も使わん、鞘は無いからな」

「はい、ありがとうございます」

 俺は礼を言って、イルゼさんと騎士団の寄宿舎を後にした。

 これでライトアーマーと剣を手に入れた。

 俺の身長は172~3cmくらいだと思う。
 剣の先を下に向け立てると、柄の部分が胸のところまでくる長さだ。
 大剣だがまるで、俺に合わせて作られたような使いやすさだった。

『われ、ここに終生の剣を得る』

 これから起こる多くの危険から、身を守ってくれる剣に出会った日だった。

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