【完結】聖女戦記物語。結局、誰が聖女役?-魔法より武力と丈夫な体に自信があります-

ジェルミ

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第3部 聖女降臨

第44話 聖女の肉

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 そこには金髪の髪を風になびかせ、神々しいばかりの笑顔を見せた少女がいた。

「聖女様だ」
 誰かがぽつんと呟いた。
 それをきっかけにビッチェ王女の周りには、たくさんの人が集まり始める。

「聖女様だ」「聖女様だ」「聖女様だ」「聖女様だ」「聖女様だ」
 「聖女様だ」「聖女様だ」「聖女様だ」「聖女様だ」「聖女様だ」
   「聖女様だ」「聖女様だ」「聖女様だ」「聖女様だ」「聖女様だ」
 「聖女様だ」「聖女様だ」「聖女様だ」「聖女様だ」「聖女様だ」


 私は思わず身の危険を感じ身構えた。
 どこから取り出したのか、リンリン、ランランが刃渡り20cmくらいのナイフを構え私の前後を守る。

 すると私を囲んだ人々は、2mくらいの距離で立ち止まり跪いた。

「聖女様。お願いです。早く魔物を倒してください」
「一刻も早い対応をお願いします」
「このままで、飢え死にしてしまいます」
「食べ物が、もうこの町にはありません!!」
「聖女様。どうか食べ物をください!食べ物を!!」

 人々が騒ぎ出す。
 私は呆然としていた。

 ふと見ると怪我を治した親子は、とても痩せている。
 そして周りの町の人達も、同じように痩せこけている。

 いくら聖魔法で治療が出来ても、食べ物までは用意できないからだ。


「凄いわね」
 ミリアちゃんが人々を見渡しながら言う。
 「すがるものがあれば縋りつきたい。たとえ相手が誰であろうと。そんな切羽詰まったところまで追いつめられているのね」
「でも可哀そうだけど、私にはなにも出来ないわ」

「今の彼らに必要なのは、同情ではないのよ。同情するなら、パンをくれ!!よ」
「パン?でも小麦粉も高騰して、手に入りづらいと聞くわ」

「パンが無ければ、お肉を食べればいいじゃない!!」
「お肉?なにを言っているのミリアちゃん?」

「持っているのよ」
「なにを?」
「お肉よ」
「どこに?」
「ここよ!」

 パン、パン、とミリアちゃんは、自分の太腿を叩く!!
「ミリアちゃんの自己犠牲は認めるけれど、肉の量が足りなすぎるわ」
 
「違うわよ!どこかお肉が出せる場所はないかしら?」
「お肉が出せる場所??」
「あぁ、あそこが良いわ」
 ミリアちゃんは野菜を売っている出店に飛んでいく。
 慌てて私も後を追う。

「ここで良いわ。野菜をどけてよ」
「そんなこと言っても」
「もう良いわ!!」
 ミリアちゃんがそう言ったかと思うと、出店の野菜が突然無くなってしまった。

「わっ!なんだい?どうしたんだい??」
 出店のおばさんが、驚いて声を上げている。

「いくわよ~ん!!」
 ミリアちゃんはそう言うと何もない空間から、縦横1mくらいの肉の塊を台の上に出した。
「ドン!!」
 出店の台がきしむくらいの重さだ。

「何をやっているんだい、あんた?!」
 おばさんにしてみれば、私がやったように見えたのだろう。

 マジック・バッグ?
 ミリアちゃんに説明を聞くのは後ね。

「このお肉をみんなに切り分ければ?お肉はまだまだ、たくさんあるからね」
「わかったわ」
 私は頷くとおばさんに伝えた。

「このお肉の一部を差し上げますから、この場所を貸して頂けないかしら?」
「に、肉をくれるのかい?」
「えぇ」
 私はそう言って側に来たリンリンの持っているナイフを借りた。

「危ないですよ、お嬢様」
「大丈夫よ」

 私はそう言うと四角く肉を、15cmくらいに切っておばさんに渡した。

「こ、こんなにくれるのかい?」
「えぇ、どうぞ!」
「それならさっき、あんたがどこかにやった野菜もあげるから」
「ありがとうございます」
 私がお礼を言うと、おばさんは肉を持ってどこかに消えていった。

「あなた達は、これを切り分けてね」
 そう言うと私はリンリンにナイフを返した。
「「 わかりました!! 」」

「さあ、みなさん。お肉の配給です!1人に対しては僅かしかありませんが、2列に並んでください!!」

「肉だと!!」
「肉がもらえるのか?」

「肉だ!」「肉だ!」「肉だ!」「肉だ!」「肉だ!」「肉だ!」「肉だ!」
   「肉だ!」「肉だ!」「肉だ!」「肉だ!」「肉だ!」「肉だ!」「肉だ!」
     「肉だ!」「肉だ!」「肉だ!」「肉だ!」「肉だ!」「肉だ!」
 「肉だ!」「肉だ!」「肉だ!」「肉だ!」「肉だ!」「肉だ!」

 その場を歩いていた人達も足を止め、私達の前に2列に並ぶ。
 突然のことなのでみんな皿なんて持ち合わせてない。
 だからみんな手のひらに載せ、嬉しそうな顔をして帰って行く。
 助けた親子も肉をもらい帰って行つた。

 そしてすぐに困った事が起きた。
「我が家は4人家族なんです」
「俺は3人だ」
「頼む、家族の分もくれ~!」

 家族分も欲しいと言う者が出て来た。
 だが家族を連れて並んでいるわけではない。
 本当かどうか、わからない。
 家族で並んでくださいとも言えない。

 私が困っているとミリアちゃんが面倒臭そうに言う。
「それなら謁見の時のように、魔力をぶつけて脅かしてあげれば?」
「魔力をぶつけて?」
「うん。畏怖の念があれば、人は嘘はつかないからね」

「じぁ、また力を貸してミリアちゃん」
「今回はあまり驚かせる必要もないし、この人数ならビッチェの魔力で十分だよ」
「そうかな。じゃあ、やってみるね」
 私はリンリン、ランランを一旦下がらせた。

「分かりました。ご家族の分もお分けしましょう」

「「「 オォ!!!! 」」」
「やったぞ~!!」

「ですが、嘘は消していけませんよ」

〈〈〈〈〈 ズウゥン~~!!! 〉〉〉〉〉

「わっ?!」
「な、なんだ?!」
「きゃ~!!」

 並んでいた人達がよろけたり、座り込んだりしている。
「この中に嘘を言う方は居ないと信じています。さあ。みなさん。並んでください」

 そういうと私はリンリン、ランランを前に出し、また肉を切らせた。

「聖女様だ」「聖女様だ」「聖女様だ」「聖女様だ」
  「聖女様だ」「聖女様だ」「聖女様だ」「聖女様だ」「聖女様だ」

 人々は敬う様に私に肉をかかげ、帰って行く。
 そして肉が無くなったので、ミリアちゃんにまた出してもらった。
 何もない空間から、縦横1mくらいの肉の塊がまた出てくる。

「ドン!!」

 出店の台がきしんだ。
 それを見ていた人々はとても驚き、眼を見開いていた。

「聖女様」「聖女様だ」「聖女様の肉だ」「聖女の肉」「聖女の肉」
  「聖女の肉」「聖女の肉」「聖女の肉」「聖女の肉」「聖女の肉」
   「聖女の肉」「聖女の肉」「聖女の肉」「聖女の肉」「聖女の肉」
 「聖女の肉」「聖女の肉」「聖女の肉」「聖女の肉」「聖女の肉」
   「聖女の肉」「聖女の肉」「聖女の肉」「聖女の肉」「聖女の肉」

 人々は口々に「聖女の肉」と呟き、私に血が滴る肉をかかげ帰って行く。
 
 聖女の肉、聖女の肉と、彼らが口々に言いながら…。
 こ、これは、なにかのミサなの?


 その日、城下町はどの家も、肉の焼く匂いが漂い笑い声が絶えなかったという。
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