上 下
136 / 254
第9章 製鉄技術

第136話 春 鉱山と炭鉱

しおりを挟む
 春が来た。
 俺とダークエルフのみんなで綿の種を植えた。
 これで秋頃、綿が収穫できるはずだ。

 そしてお茶の摘採てきさい時期だ。
 茶葉は1年に2~4回摘採する。
 4月下旬頃から摘採される茶葉を新茶または一番茶。
 その後は45日間で、二番茶、三番茶と続く。
 今後はこれも彼らに任せよう。


 それから石炭が見つかった。
 開拓村はアスケル山脈の麓の森の中にある。
 アスケル山脈はとても険しく隣接している他国とは攻められることも、攻めることもできないくらい厳しい山脈だ。
 そのため、山脈には貴重な資源が眠っている半面、森の奥に行けば行くほどレベルの高い凶暴な大型魔獣がたくさんいるのが現状だ。
 まあ、今もいればだけど…。

 鉱山物質を探してアスケルの森を歩いていた時に、鑑定スキルを広範囲に使い見つけることができた。

 炭鉱から取れる石炭があれば木炭よりも高温になり、不純物の少ない鉄ができる。
 木炭の温度は約1000℃ぐらいだ。
 鉄が融解する温度は1500℃だから、どうしても不純物が多くが入り脆い。
 それに木炭のみに頼ると木々が、いずれはなくなってしまう。
 最初から石炭があれば、元から高温になるから製造が楽になる。

 
 だが石炭に含まれる硫黄分が鉄を脆くする作用がある。
 それを解消するためにコークスという方法を使う。
 石炭を約1000℃~1300℃の高温で加熱し乾かす。
 すると硫黄やアンモニアなどの不純物が抜け、発熱の大きい燃料になる。

 それだけではなくお風呂を沸かしたり、ストーブを焚いたりもできる。
 そして鉄の加工がしやすくなれば、色んな物が作れるようになる。


 ただ石炭だけあっても、加工できるかんじんの鉱物がないと。

 これだけの山脈だ。
 どこかにきっとあるはずだ。
 そして俺は何日も捜しやっと見つけた。
 鉄、鋼、銀、銅、鉛を含んだ鉱山だ。

 これで好きな物が作れる。
 俺は毎日、行き来し鉱石をストレージに収納していった。




 そしてもう1つ分かったことがある。
 それは大型の魔物が居ることだ。
 鑑定スキルで調べると大きな魔石の反応があった。
 そして見に行ってみると、大型の魔物が休眠していた。

 きっと常に活動していては食べ物に事欠く。
 休眠状態であればエネルギー消費が低く保たれ、水や食物を必要しない。
 そして環境条件がよくなれば、休眠から覚めて活動を再開するのかもしれない。

 冬眠する魔物か。
 でも常に活動していたら、その存在自体が困るけどね。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

俺を裏切り大切な人を奪った勇者達に復讐するため、俺は魔王の力を取り戻す

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:5,219pt お気に入り:93

BLショートショート

BL / 連載中 24h.ポイント:21pt お気に入り:5

異世界ライフは山あり谷あり

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:1,307pt お気に入り:1,552

虐げられた皇女は父の愛人とその娘に復讐する

恋愛 / 完結 24h.ポイント:568pt お気に入り:3,358

処理中です...