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第4部 それぞれの思惑

第26話 ドゥメルグ公爵の思惑

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 ドゥメルグ公爵に呼ばれた俺は屋敷に着き、公爵と対面した。

 アルマンさんがドアを開け先に入り、俺はその後に続いた。

『?!』部屋に入るなり嫌な感じがした。

 見ると30代前半の男性がソファーに腰かけており、執事のアルマンさんが紹介を始めた。
 現当主トバイアス・ビクトワール・ドゥメルグ公爵だ。

 ドゥメルグ公爵が口を開いた。
「で、アルマンどうだった」
「はい、とても博学で貴族にも劣らない知識をお持ちだと思われます」
「ほう、ではエリアスとやら、君は一体何者なんだい?」

 鋭い眼光で俺を見た。
 俺としては『転移』して来ましたとは言えず、お決まりの『両親が死に村を出てきた』を説明した。

「そうなのかアルマン?」
「ただその割には辻褄が合いません。畑仕事をしていたと聞きましたが知識も豊富で、手がとても奇麗ですから」
「ふぅ~ん。二つの生活魔法を使えマジック・バッグを持っている。そして私の【鑑定】を弾くとは。君は一体、わが領に仇なすものなのか?」

(なんだこの展開は??【鑑定】をされたなんて初めてだ。部屋に入った時の嫌な気配はそれだったのか。それなら俺も!)

【スキル・鑑定】発動!
 名前:トバイアス・ビクトワール・ドゥメルグ
 種族:人族
 年齢:32歳
 性別:男
 職業:アレンの領主ドゥメルグ公爵
 レベル:25
 HP 150
 MP 200
 筋力  20
 攻撃力 22
 丈夫さ 23
 知力 40
 器用さ 30
 素早さ 30
 運   22
 状態:良好

【スキル】
 火:LV3
 剣術 :LV2
 生活魔法:火

【ユニークスキル】
 鑑定:LV1

【称号】
 なし

(ふ~ん。レベル25でこの程度なのか。久しぶりに自分のも見てみるか)

「ステータスオープン!」
 名前:エリアス・ドラード・セルベルト
 種族:人族
 年齢:17歳(58歳)
 性別:男
 職業:製造卸業
 レベル:1
 HP 300
 MP 500
 筋力  50
 攻撃力 50
 丈夫さ 50
 知力  100
 器用さ 50
 素早さ 50
 運   100
 EXP  0/20

 状態:良好

【スキル】
 生活魔法(火・水・氷・風・光):LV1
 世界の予備知識:LV2

【ユニークスキル】
 異世界言語:LV1
 鑑定:LV2
 時空間魔法ストレージ(カスタマイズ可能):LV2
 創生魔法(『無』から『有』は創れない):LV2

【メンタルスキル】
 沈着冷静:LV1
 高速思考:LV1
 魅力(人の心を引きつけ夢中にさせる力。発動しないこともある):LV2

【加護】
 女神ゼクシーの加護
 愛し子

【称号】
 外面そとずら良く:LV2
 慈悲の人:LV1

(俺の鑑定レベルがLV2だから弾いたのか。ストレージと創生魔法は使っているからレベルが上がってるな。職業も分離作業員から製造卸業へ変わり【称号】が『詐欺師のたまご』が無くなり、『慈悲の人』が新たに増えている。行いによって【称号】が変わるのか。しかしドゥメルグ公爵のステータスは俺よりはるかに低い。いや俺のステータスが高いのか?俺がレベル上げしたら凄いことになるのかな)

 俺は【メンタルスキル】高速思考で一瞬の内に考えた。

「仇なすなんて気はありません。それにそんな力もありません。生活魔法は両親も使えましたし知識も両親から教わりました。マジック・バッグは曽祖父の代から受け次いでいるものです」

「アバンス商会のアイザックから昨日、話は聞いている。アバンス商会は我が公爵家の出入り商人だ。馬車一台分の荷物を収納できるマジック・バッグなど国宝級だ。そんな人材を野放しにはできない」

(あぁ、やっぱりそうだったんだ。まずいことをしたな)

「君はこれから何をしたいのかな?」

「私ですか、美味しいものを食べ、その内便利な道具でも作り面白楽しく生きていければと思います」

「面白楽しくか、出来そうで出来ないことだな」

「色々と君のことは調べさせてもらった。商業ギルドで聞いたところでは『味元あじげん』という調味料も君の発案だとか」

「はい、そうです。誰かが思いつく前に、私が思いついただけです」

「ハッハッハッ、気を悪くしないでほしい。ギルドも国に属している以上、公爵家に逆らうことはできん。許してやってくれ」

ドゥメルグ公爵の笑顔が真顔に変わり、
「では塩の不純物を取り除く分離作業は?今までマジック・バッグで、そのようなことが出来るとは聞いたことがない!」

「マジック・バッグは古代遺跡から発掘される魔道具です。単一ではなくそんな機能がある魔道具もあるのでは?それになぜ、そんなことを聞くのですか!」

「それは勿論、君を取り込みたいからさ。新しい事業を起こし博学で生活魔法を二つも使え、しかも相対する火と水の魔法属性。そして異例なマジック・バッグを持っている。他の州にいや国に行かれないように、したいのさ。わかるだろう?」

 どうしてこうなった。
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