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第7部 視野を外へ
第45話 晩餐会
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ドゥメルグ公爵より、土地を開拓する許可を出す条件を出された。
来訪者を驚かすような晩餐会に出すメニューを考えてほしいと。
それができれば好きなように開拓していいと言われ、アルマンさんと一緒に厨房に向かっている。
「エリアス様!」
後ろを振り向くとマリーお嬢様がいた。
「マリーお嬢様。ご機嫌麗しゅう」
「屋敷にいらっしゃるとお聞きしたので」
「はい、これから厨房に向かうところです」
「まぁ、今日はなにをお作りになるのかしら?」
「公爵様より晩餐会で来訪者を、驚かすようなメニューを、考えてほしいと言われまして」
「晩餐会で驚かすようなメニューですか?私もご一緒致しますわ」
こうして俺は厨房に向かい、晩餐会用のメニューを考えることになった。
厨房に入ると料理長ジャンさんがこちらを向き、執事のアルマンさんと俺を見て
「よう、エリアス。今日は何だい?」
アルマンさんがジャンさんに説明をしてくれた。
「驚かすようなメニューねぇ。来賓者はどこにいっても、ありきたりな料理しか出て来ないから期待てないかもな」
そして俺は『醤油』と『ソース』をストレージから何本か出し、新しい調味料が出来たことを説明した。
「よく考えれるな」と、ジャンさん。
実際に『カツ』と『唐揚げ』の作り方を教えみんなで食べてみた。
「「「「 美味しい~!! 」」」」
みんな目を見開き驚いていた。
「油で揚げるのも贅沢だが、『味元』や『マヨネーズ』、調味料1つでこんなに味が変わるなんて」
「この『唐揚げ』というのは、たくさん食べてしまいそう。美味しいわ~!」
「あまり食べすぎると太りますよ、マリーお嬢様」
「えっ、え~!」
「ただこれだけでは、驚かすようなレベルではないな」
ジャンさんが眉をしかめて言う。
「はい、インパクトが足りないのです」
と、俺は言った。
「「「 インパクト!? 」」」
「はい、心理的な衝撃がないのです」
「でも、どうやって…」
「それは私に任せてください!」
* * * * *
あっと言う間に晩餐会の日が来た。
ホールには侯爵、伯爵から下位の士爵まで、幅広い爵位の貴族が呼ばれたくさんの人が来ている。
ホール奥にドゥメルグ公爵家が勢ぞろいした。
現当主トバイアス・ビクトワール・ドゥメルグ
30歳くらいの女性が公爵夫人のアイリーン・ビクトワール・ドゥメルグ
そして40代後半の男性が前当主ヒューバート・ビクトワール・ドゥメルグ
長女マリー・ビクトワール・ドゥメルグ
12歳くらいの男の子が嫡男ルーク・ビクトワール・ドゥメルグ
次女カトリーン ・ビクトワール・ドゥメルグ
ドゥメルグ公爵家は俺も初めて見る。
「お集りのみなさん、本日はご来場ありがとうございます。今夜は食と優雅な時間をお楽しみください」
「「「「 パチパチパチ! 」」」」
ホールは拍手に包まれた。
たくさんの食べきれない料理が出された。
ホール奥からそれを見ていた俺は、無駄だ、と思った。
だが料理の量が丁度いいのでは体裁が悪い。
食べきれず残すくらいの方が、その家の威厳を示すことになるそうだ。
それに残った料理は、使用人たちの夕食や夜食になるから無駄にはならない。
『味元』を使った料理は好評で来訪者を驚かせた。
そして在り来たりな豪華さだけの料理に飽きていた上位貴族たちは、『マヨネーズ』、『カツ』と『唐揚げ』に喜んだ。
そして終盤に差し掛かった頃、執事のアルマンさんがホール中央に立ち声を出す。
「お集りのみなさん。さて、ここで余興を1つお見せいたしましょう!」
礼服を着た俺は魔道コンロをテーブルに乗せ中央に進み出た。
「「「「 ざわざわざわ 」」」」
何が始まるんだ?という目で見られる。
コンロに火を点けフライパンに油を引く、油が温まってきたら種を入れ蓋した。
〈〈〈〈〈 パンッ、パンッ、パンッ、パンッ、パンッ、パンッ、!! 〉〉〉〉〉
「「「「 ワァ---------------! 」」」、「「「「 きゃ~! 」」」
「「「「 伏せろ~~! 」」」、「「「「 きゃ~!きゃ~! 」」」
様々な声が聞こえ、逃げ惑う人がいる。
「「「「 お静かに願います!危険はありません 」」」」
そう俺は大きい声を出した。
音が止んだ後、塩をまぶしフライパンを和える!
サッ、サッ、サッ、サッ、サッ!
それを小皿に開ける。
「マリーお嬢様、お願いいたします」
「はい、エリアス様」
マリーお嬢様が小皿に手を伸ばし、一くち口に入れると…。
「「「「「 美味しい~~~!! 」」」」」
目を見開き貴族としては、はしたなく叫んだ。
カトリーンお嬢様とルークお坊ちゃまが皿に手を伸ばし、一くち口に入れると…。
「「「「「 美味しい~~~(わ)!! 」」」」」
皿を集まった人に差出し勇気のある貴族が手を伸ばし、それからは大盛況!
その後もフライパンで豆を煎るパフォーマンスが大ウケ。
〈〈〈〈〈 パンッ、パンッ、パンッ、パンッ、パンッ、パンッ、!! 〉〉〉〉〉
やらせてほしい、と言う人まで現れ楽しい時間が過ぎていった。
現ドゥメルグ公爵が俺に近づき言った。
「いや~、参ったよ。あんなことを考えるなんて」
「はい、たまたま森に行ったときに見つけましたので」
「あれは、なんだい?」
「トウモロコシで、ポップコーンと言います」
「なんと!トウモロコシを煎るとあんなお菓子になるとは知らなかった」
「開拓の件は合格でしょうか?」
「もちろんだ。最初からそのつもりだったがな。後で念書を持たせよう」
ヒソヒソ
「「「「「 あれがトウモロコシだったとは!! 」」」」」
「「「「「 トウモロコシなんですって!! 」」」」」
「「「「「 さっそく帰ってやらなくては!! 」」」」」
ヒソヒソ
晩餐会は盛り上がり、そして終わった。
======================================
ある日突然、市場にあるトウモロコシが、複数の何者かの寄って買い占められた。
「あ~、ベシャ、ベシャです。男爵様」
「おかしい。パンッ、パンッと音がしないぞ。間違いなく質の高いトウモロコシを選んで購入して来たのだな?」
「はい。言われた通り、身の甘い美味しいトウモロコシを買ってまいりました~」
「なにか特別な技があるのかもしれない。引き続き試してみよ!」
「はい。男爵様」
ポップコーンの実はエリアスがアスケルの森に行ったときに見つけた、実の硬い爆裂種だった。
そしてトウモロコシが、何者かに買い占められても世の中には何の影響もなかった。
来訪者を驚かすような晩餐会に出すメニューを考えてほしいと。
それができれば好きなように開拓していいと言われ、アルマンさんと一緒に厨房に向かっている。
「エリアス様!」
後ろを振り向くとマリーお嬢様がいた。
「マリーお嬢様。ご機嫌麗しゅう」
「屋敷にいらっしゃるとお聞きしたので」
「はい、これから厨房に向かうところです」
「まぁ、今日はなにをお作りになるのかしら?」
「公爵様より晩餐会で来訪者を、驚かすようなメニューを、考えてほしいと言われまして」
「晩餐会で驚かすようなメニューですか?私もご一緒致しますわ」
こうして俺は厨房に向かい、晩餐会用のメニューを考えることになった。
厨房に入ると料理長ジャンさんがこちらを向き、執事のアルマンさんと俺を見て
「よう、エリアス。今日は何だい?」
アルマンさんがジャンさんに説明をしてくれた。
「驚かすようなメニューねぇ。来賓者はどこにいっても、ありきたりな料理しか出て来ないから期待てないかもな」
そして俺は『醤油』と『ソース』をストレージから何本か出し、新しい調味料が出来たことを説明した。
「よく考えれるな」と、ジャンさん。
実際に『カツ』と『唐揚げ』の作り方を教えみんなで食べてみた。
「「「「 美味しい~!! 」」」」
みんな目を見開き驚いていた。
「油で揚げるのも贅沢だが、『味元』や『マヨネーズ』、調味料1つでこんなに味が変わるなんて」
「この『唐揚げ』というのは、たくさん食べてしまいそう。美味しいわ~!」
「あまり食べすぎると太りますよ、マリーお嬢様」
「えっ、え~!」
「ただこれだけでは、驚かすようなレベルではないな」
ジャンさんが眉をしかめて言う。
「はい、インパクトが足りないのです」
と、俺は言った。
「「「 インパクト!? 」」」
「はい、心理的な衝撃がないのです」
「でも、どうやって…」
「それは私に任せてください!」
* * * * *
あっと言う間に晩餐会の日が来た。
ホールには侯爵、伯爵から下位の士爵まで、幅広い爵位の貴族が呼ばれたくさんの人が来ている。
ホール奥にドゥメルグ公爵家が勢ぞろいした。
現当主トバイアス・ビクトワール・ドゥメルグ
30歳くらいの女性が公爵夫人のアイリーン・ビクトワール・ドゥメルグ
そして40代後半の男性が前当主ヒューバート・ビクトワール・ドゥメルグ
長女マリー・ビクトワール・ドゥメルグ
12歳くらいの男の子が嫡男ルーク・ビクトワール・ドゥメルグ
次女カトリーン ・ビクトワール・ドゥメルグ
ドゥメルグ公爵家は俺も初めて見る。
「お集りのみなさん、本日はご来場ありがとうございます。今夜は食と優雅な時間をお楽しみください」
「「「「 パチパチパチ! 」」」」
ホールは拍手に包まれた。
たくさんの食べきれない料理が出された。
ホール奥からそれを見ていた俺は、無駄だ、と思った。
だが料理の量が丁度いいのでは体裁が悪い。
食べきれず残すくらいの方が、その家の威厳を示すことになるそうだ。
それに残った料理は、使用人たちの夕食や夜食になるから無駄にはならない。
『味元』を使った料理は好評で来訪者を驚かせた。
そして在り来たりな豪華さだけの料理に飽きていた上位貴族たちは、『マヨネーズ』、『カツ』と『唐揚げ』に喜んだ。
そして終盤に差し掛かった頃、執事のアルマンさんがホール中央に立ち声を出す。
「お集りのみなさん。さて、ここで余興を1つお見せいたしましょう!」
礼服を着た俺は魔道コンロをテーブルに乗せ中央に進み出た。
「「「「 ざわざわざわ 」」」」
何が始まるんだ?という目で見られる。
コンロに火を点けフライパンに油を引く、油が温まってきたら種を入れ蓋した。
〈〈〈〈〈 パンッ、パンッ、パンッ、パンッ、パンッ、パンッ、!! 〉〉〉〉〉
「「「「 ワァ---------------! 」」」、「「「「 きゃ~! 」」」
「「「「 伏せろ~~! 」」」、「「「「 きゃ~!きゃ~! 」」」
様々な声が聞こえ、逃げ惑う人がいる。
「「「「 お静かに願います!危険はありません 」」」」
そう俺は大きい声を出した。
音が止んだ後、塩をまぶしフライパンを和える!
サッ、サッ、サッ、サッ、サッ!
それを小皿に開ける。
「マリーお嬢様、お願いいたします」
「はい、エリアス様」
マリーお嬢様が小皿に手を伸ばし、一くち口に入れると…。
「「「「「 美味しい~~~!! 」」」」」
目を見開き貴族としては、はしたなく叫んだ。
カトリーンお嬢様とルークお坊ちゃまが皿に手を伸ばし、一くち口に入れると…。
「「「「「 美味しい~~~(わ)!! 」」」」」
皿を集まった人に差出し勇気のある貴族が手を伸ばし、それからは大盛況!
その後もフライパンで豆を煎るパフォーマンスが大ウケ。
〈〈〈〈〈 パンッ、パンッ、パンッ、パンッ、パンッ、パンッ、!! 〉〉〉〉〉
やらせてほしい、と言う人まで現れ楽しい時間が過ぎていった。
現ドゥメルグ公爵が俺に近づき言った。
「いや~、参ったよ。あんなことを考えるなんて」
「はい、たまたま森に行ったときに見つけましたので」
「あれは、なんだい?」
「トウモロコシで、ポップコーンと言います」
「なんと!トウモロコシを煎るとあんなお菓子になるとは知らなかった」
「開拓の件は合格でしょうか?」
「もちろんだ。最初からそのつもりだったがな。後で念書を持たせよう」
ヒソヒソ
「「「「「 あれがトウモロコシだったとは!! 」」」」」
「「「「「 トウモロコシなんですって!! 」」」」」
「「「「「 さっそく帰ってやらなくては!! 」」」」」
ヒソヒソ
晩餐会は盛り上がり、そして終わった。
======================================
ある日突然、市場にあるトウモロコシが、複数の何者かの寄って買い占められた。
「あ~、ベシャ、ベシャです。男爵様」
「おかしい。パンッ、パンッと音がしないぞ。間違いなく質の高いトウモロコシを選んで購入して来たのだな?」
「はい。言われた通り、身の甘い美味しいトウモロコシを買ってまいりました~」
「なにか特別な技があるのかもしれない。引き続き試してみよ!」
「はい。男爵様」
ポップコーンの実はエリアスがアスケルの森に行ったときに見つけた、実の硬い爆裂種だった。
そしてトウモロコシが、何者かに買い占められても世の中には何の影響もなかった。
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