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18 白竜3
しおりを挟む『ですから、解き方は分かっております。あなたが、人に心を開き、思いやりを持って過ごしていれば、必然と、解ける日が来ますよ』
『そのようなたわごとに耳を貸す気はない!』
言い争いを始めた二人を見ながら、マージナルの王子を相手にこんな不遜な態度を取る事が出来るという立場は、どのような物かと、フリーシャは疑問を覚える。けれどこのままではらちがあかないので、とりあえず口をはさむことにした。
フリーシャには、そんなことに付き合っている暇はないのだ。
「たわごとじゃなくって、解き方でしょう? ちゃんと教えてくれているのに、どうして聞かないの?」
『お、フリーシャ、良いことを言うじゃないか』
「師匠は黙って下さい」
フリーシャは白竜をからかっているらしいアトールをにらみつけると、もう一度白竜を見た。
「プライドが高いのは、王子としては必要なことかもしれないけど、上に立つ人間は必要に応じて人の言葉に耳を傾ける事も必要だと思うの」
白竜が煩わしそうにフリーシャに目を向けた。
あまり聞く気はなさそうだが、ひとまずはそれでいい。だいたい、アトールも悪い。フリーシャの目から見て、アトールは、白竜の気を逆なでて楽しんでいる節すらあった。それに簡単に載せられる竜も、あまりにも単純すぎる。
適当に持ち上げつつ、冷静になってもらわないと。
そして、フリーシャの目的に協力してもらわなければならない。
「あなたはさっき私にお礼を言ったでしょう? たたきのめした私に怒りをぶつけずに。それってすごく大切だと思うの。私は、そういうことが当たり前にできるあなたを、すごいと思うわ。一つの考えにとらわれるのって、すごく損だもの。それと同じだと思うのよ。師匠が言っているのは、直接的な解き方ではないかもしれないけれど、でも、呪いを解くためには必要な過程だから言っているんだわ。不利なことにとらわれずに、そっから得られる物を見ないと、絶対に損だと思うの。師匠がろくでなしだからって、その怒りで無駄にしたらもったいないわ」
『……フリーシャ、君、ひどくないか?』
「師匠ほどではありません」
フリーシャは切々と白竜に語りかけた。
とりあえず、白竜に怒りを解いてもらわないと、アトールの説明を聞く段になりそうにない。
しかし、訴えかけるフリーシャに、白竜は不快そうに笑った。
『しかし、こいつは、十年前に「今のあなたには解けませんから」とか抜かして王子である私をここに置き去りにしたんだぞ!! 私の教育係のくせして! 結界まで作ってここから抜け出られないようにして!』
『そもそも、あなたが我が儘なのが問題なんです。その呪いだって、王子の我が儘が引き起こしたことでしょう』
叫んだ白竜に、フリーシャは、根が深そうだと、内心頭を抱えた。そして、アトールはアトールで、怒れる白竜の気を更に逆なでるようなことまで言う。
悪気もなさそうににこにこと笑うアトールは、完全に白竜をからかっている。
ホントに、話をかき混ぜるのが好きな人なんだから……!!
余計なことばかりすると、フリーシャは舌打ちをした。
「竜の王子、こんなのれんみたいな人に意地を押し通しても無駄だと思うの」
『人をのれん扱いするなよ』
「似たような物です。王子も、あまり時間はないんでしょう? 私もあまり時間はないんです。とりあえず、私に心を開いて、協力することからはじめましょう」
『なんのことだ?』
「私は今、魔王のもとに姉を取り返しに行くところです。力になって下さい」
ようやく、フリーシャは本題を切り出した。
ちらりとアトールを見れば、彼も小さくうなずく。
アトールの言っていた強力な助けとは、やはりこの竜の王子の事らしい。
確かに、物理的にも、彼がいれば大きな助けにもなる。竜ならば馬よりも早く空を駆けることが出来る。そして姿そのものが霊力を持つため、魔王の王城までたいした妨害を受けることなくたどり着くことが出来るかもしれない。
が、白竜の王子が応えた。
『断る』
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