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妹が思いのほか面白い

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我が妹キューは、初めて会った時から聡明な子だと思っていた。

出会ってから数日でそれは確信になった。

勉学のレベルを調べるのに問題を出したら、この国の貴族の子女の通う学園の生徒並みの知識があった。

いやまあ、神の子と言われるとはいえ一応幼子のオレがその問題を解けるのもそれはそれでって感じだけど。

神の子扱いされるわけでもないキューがそのレベルまで行くのは、正直異常と言っていい。

「けれど、その異常ささえ愛おしい」

オレの唯一の妹。

オレの唯一の理解者。

オレと唯一同等の立ち位置。

オレと唯一同等の異端者。

オレだけの、キュー。

「もはやオレにとって、無くてはならない子」

キューが来てから、精神状態も良くなったように思う。

そのおかげか、教徒たちもより安心してくれるようになった。

そしてなにより、日々の生活の中で楽しみが出来た。

それは。

「兄様、おかえりなさい!」

仕事を終えた後、キューの部屋に出向けば笑顔でキューが迎えてくれること。

そして。

「今日は兄様に、可愛らしい野草を採ってきたの!」

キューがオレのために、毎日色々なものを見せてくれるようになったこと。

キューはオレが思っていた数倍はお転婆娘だったらしい。

ここでの生活に慣れた頃から、境内に出ては様々な草花を採取してオレにプレゼントしてくれる。

それが嬉しくてオレはそれらをいつも部屋に飾るか、押し花にするかしている。

それを見てキューが喜ぶ姿もまた、オレを喜ばせる。

「キュー、可愛らしいお花だね」

「うん!」

キューがきっと、オレのためにここまでしていることも気付いてる。

優しいキューは、オレが少しでも明るく過ごせるようにと心を砕いてくれているのだ。

その気遣いが何よりも嬉しくて。

「キュー」

「うん」

「大好きだよ」

「キューも兄様が大好き」

きっと、オレとキューの大好きには温度差がある。

オレはもう、本気でキューがいないと生きていけない。

けれどキューは、きっと生きていける環境さえあればオレがいなくても平気だ。

優しい子だから、悲しんでくれるとは思うけど。

…だから、間違ってもキューの手は離さない。キューにとって、特別になりたいから。そう思うのは、罪だろうか。

「ずっと一緒にいようね」

「うん、ずっと一緒」

こんな口約束で縛り付けるほど、キューが大好きなのだと。

そう告げれば、キューはどう思うのだろうか。

…少なくとも今は、まだ内緒にしておこう。

そう思った。
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