神の子扱いされている優しい義兄に気を遣ってたら、なんか執着されていました

下菊みこと

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割と本気でびっくりしたけど、別にそれで態度は変えませんとも

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きょとんとする私に兄様は困った顔で声をかけてくる。

「…どう?」

「可愛いと思います」

「可愛いと来たか」

変わらない私の態度に兄様はホッとした顔をする。

「よかった、嫌われなくて」

「そんなことで嫌いになるならこんなに大好きになってないよ」

「ふふ、キューは兄様が本当に大好きなんだね」

なにを当たり前のことをおっしゃる。

「うん、キュー兄様が大好き」

「兄様もキューが大好きだよ。ほら、おいで」

「うん」

がばっと兄様に抱きつく。

「あのね、兄様に会えなくて寂しかった」

「うん」

「兄様の役に立たないってショックだった」

「ありゃ」

兄様は私の頭を撫でる。

「存在自体が役に立ってるのに」

「肝心な時に役立たずはやだ」

「じゃあ、今度からこういう時は一緒にいてよ。二人で引きこもろう」

「うん」

それがいい、そうしよう。

「兄様、このケモミミって本物だよね。触ると痛い?」

「ケモミミ…?…ああ。獣の耳、か。本物だよ。触り方次第かな」

「ノータッチがいい?」

「キューなら触っていいよ」

さわさわする。

もふもふやんけ。

「え、好き」

「本当?」

「うん」

触り心地良すぎ。

「尻尾も触ってみるかい?」

「やったー」

もふもふ。

あ、至福。

「でも、尻尾一本なんだね。こういうのって大抵九本じゃない?」

「あの忌々しいクソギツネは九本だね」

忌々しいとはなんぞや。

「…兄様。このパラディース教の神様って豊穣の神で、化身がお狐様だよね」

「うん」

「クソギツネって…そういうこと?」

「うん、この宗教の主神だね。クソ野郎だけどちゃんと神様ぶってはいるよ」

わあ。

「兄様のこれもその神様の?」

「そう。愚痴っていい?」

「いいよぉ」

せっかくだからめっちゃ聞くよ。

「オレさ、神の愛し子なんだって。他でいう巫女とかなのかなぁ」

「あらぁ」

「で、特別な加護とかもらってるんだよね。頼んでもないのに」

「うわぁ」

「うわぁだよね。頼んでからくれよって話だよね」

いや本当に同意する。

「兄様可哀想」

「でしょ?で、その加護がたとえば声。オレの声って人に安心感、安らぎ、信頼感を与えるの。不思議パワーで」

「そのせいでカウンセリングかぁ」

「そう。まあ、役には立つけどさ。教徒たちを救ってやれるし」

根本的に兄様は善人なんだよなぁ。

「あと、浄化の能力」

「浄化」

「そ、呪いとかを綺麗にするの。普通の病気とかにはまあ無意味なんだけど、ムーンリットとかには効果抜群だったよ。あの子身体が弱いってここに駆け込んできたけど、実際は呪いに蝕まれてただけだったから」

おやまあ。

「ちなみに、あの件以来オレと会わなくなってからおそらく再発してる。呪ってた相手はなんと母親の姉だからね」

「姉が妹の旦那に横恋慕パターン?」

「正解。まあその辺を言わないであげたのも優しさだったけど、結果的に追加制裁になったね」

「わあ」

「まあただあのクソギツネが手を回して今ムーンリット多分あいつのところにいるから呪い自体は大丈夫になったかもしれないけど」

知らないうちに色々あったんだなぁ。

「でも、その加護の代わりにこの…ケモミミ?ってやつ。非定期的になるんだよね。多分ストレスに反応して。最近キューのおかげで平気だったけど、ムーンリットの件とかでちょっとダメだったみたい」

「ごめんね兄様」

「なんで?キューのおかげでこれだけ長い間抑えられてたのに」

「んー…役に立った?」

「すごく立ってる」

なら良かったよ。

うん。

「でも兄様、神の愛し子なの公然の事実じゃないの」

「神の子扱いされてるしねぇ。でも、オレは人間なの。こんなケモミミ人に晒したくない」

「私は好きだけど」

私の言葉に兄様は笑う。

「キューは変わらずいてくれるんだね」

「他の人は変わったの?」

「両親は、この新興宗教を立ち上げた。その両親が亡くなってから、一気に盛り上がったけどね」

なるほど。

クソギツネ呼ばわりするわけだ。

「兄様は普通に愛されたかったんだね」

「うん」

「そりゃクソギツネ呼ばわりするよね」

「うん」

感謝するべきところはあるのもわかってるけどね、とは兄様の言葉。

でも、別に勝手にされたことなんだから基本キレていいと思う。

「兄様」

「ん?」

「嫌いだこの野郎って言ってもおそらくバチは当たらない」

兄様が笑う。

「はは、だよね!」

「キレていい。私が許す」

「ははははは!」

ちなみに、と兄様が付け加える。

「主神とか言ってるけど力が強大で聖なる属性なだけで実質妖の類だよあれ」

「ですよねー」

聞いてて思ったよ、うん。
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