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第1部

幼馴染、俺のベッドに横になる。

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 俺の部屋のベッドに制服姿のまま横になっているエミリアの顔は、火照っていて、苦しそうであった。

「昨日シーツ変えたばかりたまから大丈夫だと思うけど……臭いとかしないよね?」

「うん、大丈夫だよ。それに誠の匂いなら全然OKだし」
 臭っても俺の臭いならOKなのか?一瞬突っ込みそうになったが、病人なのでやめて置いた。
「それなら良かった。あ、制服シワになるよね?俺の服なら貸すけど。でも体操服とかもあるのか」
 エミリアの冗談を軽く流しながら、俺は尋ねる。
「気使ってくれてありがとう。幼馴染の家で体操服と言うのも恥ずかしいけどね」

「確かに。」
俺は苦笑を浮かべながら続ける。
「俺、学校に連絡して昼食の材料とかの買い物してくるから。何か食べたい物ある?」

「あれを久しぶりに食べたいかな、子供の頃あたしが寝込んだ時に誠が作ってくれたお粥。」
「了解。」
 俺が出ようとすると、幼馴染が声をかけてくる。
「あ、お弁当作ってきてるから、良かったら食べて。二人分」

「調子が悪いのに作ってきたのか?」
 俺は振り返って、少々呆れたように言うと
「学校行くつもりだったんだから仕方ないでしょ」
 と金髪の幼馴染は何故か頬を膨らませながら言う。
 まあ、確かにそのとおりだけど、具合が悪い日ぐらい作らなくても良いと思うよ


☆☆☆☆


 俺は一階で電話で担任に体調不良で休む事を伝え、冷蔵庫の中身を確認すると問題はなさそうだった。後はコンビニでゼリーとかポ◯リでも買って来るぐらいか……

 財布を取り出した所で制服である事に気づく。
 あ、普段着に着替えた方が良いよね。
 俺は自分の部屋の前のドアに向かい、ノックする。
「入って良い?」

「良いよ。でも誠の部屋なんだし遠慮しなくていいのに」
 と金髪の幼馴染は横になって苦笑しているが
「流石に女性がいる部屋なんだから気にしない訳にも……」

「あたしの事、女性として見てくれるんだ。そうか、そうか」
 微妙に機嫌が良くなったようだ。何故だろう?
 俺はタンスからTシャツとジーパンを適当に取り出し、後ハンガーにかけているジャケットを取り出す。
「じゃあ、行ってくるね。」

「うん、行ってらっしゃい。」
 エミリアが横になりながら手を軽く振って見送ってくれた。


☆☆☆☆


 エミリア視点

 誠を見送ったあたしはため息をつく。
「誠にまた迷惑をかけたな」
 あたしが素直に自宅で休んでいれば、誠は学校に行けたはずなのに。
 誠に申し訳なさを感じる一方で、内心喜んでいる自分もいた。
 誠と一緒にいられる、この間独占していられる、そしてあたしが上手く隠してもあたしの不調を見破ってくれた事。それだけあたしの事を解っていてくれて、それだけ良く見てくれている。

 昔からそうだ。あたしが学校で体調を崩しても、いち早く気づいて保健室に付き添ってくれて、しかも授業以外の時は保健室でずっと一緒にいてくれたし、寝付くまで手を握っていてと頼むとずっと一緒に手を握っていてくれた。

 中学の修学旅行の二日目の自由時間の時も微熱を出して、今みたいに隠して班行動に参加しようとしたけど、同じ班だった誠にすぐ泊まっていたホテルに連れていかれ、先生に相談し、部屋で横になる事になった。
 その時も誠は先生から班に合流する事を勧められていたが、それを拒否してずっと一緒にいてくれた。

「あたしは誠が側にいてくれればそれで良いの。家族と誠以外なら何でも差し上げます、だからあたしから誠を取らないで。神様お願いします」
 急にライバルである武田薫の顔が思い浮かんで、そんな事を呟く。

 何故そんな事呟いたんだろう?風邪で気弱くなっていたのか?……それとも神様がこの恋の結末を密かに教えてくれたのだろうか……
「風邪で気弱になっているだけよ……ね」
 そう呟きながら、内心不安で一杯になっていた。
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