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001 婚約の申し込み
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「うーん。スライス侯爵家の次男坊か」
「あら。次男なの? 最近、質が落ちてきたわね」
私の父、ロジエ伯爵が婚約の申し込みについての書状を片手に唸り声をあげると、その隣で母は落胆して溜め息を吐きました。
しかし妹のカーティアだけは椅子から飛び上がって喜んでいます。
「まぁ。素敵! 彼はとても見目麗しい青年だと聞いておりますわ!」
「そうか?――カーティアは何と気立てのよい娘なのだ。よし。会いに行ってみるか! カーティア。何色のドレスがいいか?」
「えっとぉ~。仕立て屋を呼んで、布から選びたいわ!」
「よし。明日にでも仕立て屋を呼ぼう!」
「楽しみだわぁ~」
さてさて。この会話を耳にするのは何度目でしょうか。
これは、いつもと変わらぬ夕食での会話です。
婚約を申し込む書状が届き、両親が品定めをし、妹は喜んでドレスをねだります。
これは幾度となく目にした光景です。
それは、何度も婚約が成立していない、という意味も含まれています。
両親と妹が退室した後、テーブルに残された書状を手に取り、弟のアルドは私の目の前に苛立ちながら書状を突きつけました。
「ベル姉様っ。またじゃないですか!? ほら、これはベル姉様への婚約の申込書ですよ!?」
「そうね。また、だわ」
これは私、ベルティーナ=ロジエへの婚約の申し込み書なのです。
「あら。次男なの? 最近、質が落ちてきたわね」
私の父、ロジエ伯爵が婚約の申し込みについての書状を片手に唸り声をあげると、その隣で母は落胆して溜め息を吐きました。
しかし妹のカーティアだけは椅子から飛び上がって喜んでいます。
「まぁ。素敵! 彼はとても見目麗しい青年だと聞いておりますわ!」
「そうか?――カーティアは何と気立てのよい娘なのだ。よし。会いに行ってみるか! カーティア。何色のドレスがいいか?」
「えっとぉ~。仕立て屋を呼んで、布から選びたいわ!」
「よし。明日にでも仕立て屋を呼ぼう!」
「楽しみだわぁ~」
さてさて。この会話を耳にするのは何度目でしょうか。
これは、いつもと変わらぬ夕食での会話です。
婚約を申し込む書状が届き、両親が品定めをし、妹は喜んでドレスをねだります。
これは幾度となく目にした光景です。
それは、何度も婚約が成立していない、という意味も含まれています。
両親と妹が退室した後、テーブルに残された書状を手に取り、弟のアルドは私の目の前に苛立ちながら書状を突きつけました。
「ベル姉様っ。またじゃないですか!? ほら、これはベル姉様への婚約の申込書ですよ!?」
「そうね。また、だわ」
これは私、ベルティーナ=ロジエへの婚約の申し込み書なのです。
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