63 / 79
乗り越えるべき試練
8
しおりを挟む
体をきれいにして、ルームウェアを着て、龍大と布団の上で向き合う。枕元にはコンドームも置かれていた。
このルーティンを続けてきた5日間も、今日で終わる。長いようであっという間だった気はするけど、今日で終わるとなったら少し寂しい気もする。
お互いの服を脱ぎ合うのも、恥ずかしさはだいぶ無くなってきた。今日も龍大のアレが硬くそそり立っている。
「じゃあ30分。タイマーかけるね」
いつも通り30分のタイマーをセットして、見つめ合う時間が始まった。
鈴夏は見つめ合う時間が始まったら、龍大に聞きたいことがあった。
「たっちゃん的にはこの5日間どうだった?」
「う……ん、我慢するのキツかった」
「あはは、素直だね」
「早く今日来てくんないかなって思ってた」
「そりゃそうだよね」
昨日までの4日間の龍大の言動が、そのしんどさを物語っていた。快楽的な欲を抑えることは、とても難しい。鈴夏だって海外ドラマを見始めて徹夜してしまったこともある。ドラマ鑑賞を中断するのが、我慢できなかったからだ。
「なんかごめんね、こんなに我慢させて」
「俺もヤリたいって言ったから気にしないで。これやってよかったよ。なんかすごい自分と向き合えてる気がする。」
なんだかいつもより龍大がよく喋ってくれる。まっすぐ見つめる視線はいつもより柔らかい。昨日髪を切ってワイルドな印象になっているのに、いま鈴夏の目に映っている龍大は優しくて温和だ。
「うん、私もたっちゃんとやれてよかった」
「鈴夏的にはまたヤリたい?」
「あー……それはどうかなぁ」
確かにいつもより感度も上がって気持ちいいし、精神面でも充足感があって毎日充実している。でも、またヤリたいかと言われると……鈴夏も迷ってしまう。
「時間かかっちゃうしね。これから勉強しなきゃだし、しばらくできないかも。あと我慢するの大変すぎない?」
「俺も次我慢できる自信ないよ」
「だよね。次やるならイクのオッケーとかにしないと」
「うん。その日のうちに終われる方がいい」
5日間を振り返ると、絶頂するのを我慢して翌日に持ち越すのが精神的に断然ツラかった。それを乗り越えた精神的なつながりを見いだせた気はするが、次同じことをできるかどうか、その自信は鈴夏にもなかった。
今回は初めてだったからお互い挑戦者の気持ちでできたけど、次ヤるとなったらそうではない。「まぁいっか」で禁欲を破ってしまうだろう。それを破ったところで何も損はないし、ずっと欲求不満状態が続くことはむしろ悪影響かもしれない。ポリネシアンセックスとは一度でもいいからやってみることがいちばん大事ではないかと、鈴夏は思った。
「なんか最近他の人が優しく見えたりしない?」
「わかる。俺もパートの人に昨日アメ貰った」
「ふふ……それはたっちゃんが頑張ってたからでしょ」
「うん。『頑張ってるから』とは言われた」
龍大の話すエピソードがなんだか子供っぽくて、鈴夏もつい笑ってしまう。6歳も年の差があるから当然だけど、こういうところは弟みたいに感じる。鈴夏に弟はいないけど、いたらこんな感じなのかなとふと思った。
毎日30分かけて龍大と向き合う時間。明日からは、これをしなくてもいい。そこに一抹の寂しさが湧き上がった。
お互いの視線が絡み合って、手を取り合って、混ざりあって溶けていくような……。そんな目に見えない感触が残る、特別な時間だった。
鈴夏はこれから資格勉強をするわけで、龍大には確実に迷惑がかかってしまうだろう。それなのに「俺も頑張る」と言ってくれた。それなら鈴夏自身が今できることをちゃんとやって、頑張るしかない。鈴夏の人生は鈴夏のもの。だからこそ自分の人生に誇りを持ち、自分自身の成長を止めず、ステップアップしていきたい。自分の幸せや成長は他の人をも巻き込んで、連鎖を起こすもの。本当に合格できるかはわからないけど、やらなきゃ始まらない。龍大の目を見つめながら、鈴夏の中で決意が生まれた。
しばらく考え事をしながら見つめ合いをしていると、30分を知らせるタイマーが鳴った。今まででいちばんあっという間に感じる見つめ合いの時だった。
このルーティンを続けてきた5日間も、今日で終わる。長いようであっという間だった気はするけど、今日で終わるとなったら少し寂しい気もする。
お互いの服を脱ぎ合うのも、恥ずかしさはだいぶ無くなってきた。今日も龍大のアレが硬くそそり立っている。
「じゃあ30分。タイマーかけるね」
いつも通り30分のタイマーをセットして、見つめ合う時間が始まった。
鈴夏は見つめ合う時間が始まったら、龍大に聞きたいことがあった。
「たっちゃん的にはこの5日間どうだった?」
「う……ん、我慢するのキツかった」
「あはは、素直だね」
「早く今日来てくんないかなって思ってた」
「そりゃそうだよね」
昨日までの4日間の龍大の言動が、そのしんどさを物語っていた。快楽的な欲を抑えることは、とても難しい。鈴夏だって海外ドラマを見始めて徹夜してしまったこともある。ドラマ鑑賞を中断するのが、我慢できなかったからだ。
「なんかごめんね、こんなに我慢させて」
「俺もヤリたいって言ったから気にしないで。これやってよかったよ。なんかすごい自分と向き合えてる気がする。」
なんだかいつもより龍大がよく喋ってくれる。まっすぐ見つめる視線はいつもより柔らかい。昨日髪を切ってワイルドな印象になっているのに、いま鈴夏の目に映っている龍大は優しくて温和だ。
「うん、私もたっちゃんとやれてよかった」
「鈴夏的にはまたヤリたい?」
「あー……それはどうかなぁ」
確かにいつもより感度も上がって気持ちいいし、精神面でも充足感があって毎日充実している。でも、またヤリたいかと言われると……鈴夏も迷ってしまう。
「時間かかっちゃうしね。これから勉強しなきゃだし、しばらくできないかも。あと我慢するの大変すぎない?」
「俺も次我慢できる自信ないよ」
「だよね。次やるならイクのオッケーとかにしないと」
「うん。その日のうちに終われる方がいい」
5日間を振り返ると、絶頂するのを我慢して翌日に持ち越すのが精神的に断然ツラかった。それを乗り越えた精神的なつながりを見いだせた気はするが、次同じことをできるかどうか、その自信は鈴夏にもなかった。
今回は初めてだったからお互い挑戦者の気持ちでできたけど、次ヤるとなったらそうではない。「まぁいっか」で禁欲を破ってしまうだろう。それを破ったところで何も損はないし、ずっと欲求不満状態が続くことはむしろ悪影響かもしれない。ポリネシアンセックスとは一度でもいいからやってみることがいちばん大事ではないかと、鈴夏は思った。
「なんか最近他の人が優しく見えたりしない?」
「わかる。俺もパートの人に昨日アメ貰った」
「ふふ……それはたっちゃんが頑張ってたからでしょ」
「うん。『頑張ってるから』とは言われた」
龍大の話すエピソードがなんだか子供っぽくて、鈴夏もつい笑ってしまう。6歳も年の差があるから当然だけど、こういうところは弟みたいに感じる。鈴夏に弟はいないけど、いたらこんな感じなのかなとふと思った。
毎日30分かけて龍大と向き合う時間。明日からは、これをしなくてもいい。そこに一抹の寂しさが湧き上がった。
お互いの視線が絡み合って、手を取り合って、混ざりあって溶けていくような……。そんな目に見えない感触が残る、特別な時間だった。
鈴夏はこれから資格勉強をするわけで、龍大には確実に迷惑がかかってしまうだろう。それなのに「俺も頑張る」と言ってくれた。それなら鈴夏自身が今できることをちゃんとやって、頑張るしかない。鈴夏の人生は鈴夏のもの。だからこそ自分の人生に誇りを持ち、自分自身の成長を止めず、ステップアップしていきたい。自分の幸せや成長は他の人をも巻き込んで、連鎖を起こすもの。本当に合格できるかはわからないけど、やらなきゃ始まらない。龍大の目を見つめながら、鈴夏の中で決意が生まれた。
しばらく考え事をしながら見つめ合いをしていると、30分を知らせるタイマーが鳴った。今まででいちばんあっという間に感じる見つめ合いの時だった。
11
あなたにおすすめの小説
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
肉食御曹司の独占愛で極甘懐妊しそうです
沖田弥子
恋愛
過去のトラウマから恋愛と結婚を避けて生きている、二十六歳のさやか。そんなある日、飲み会の帰り際、イケメン上司で会社の御曹司でもある久我凌河に二人きりの二次会に誘われる。ホテルの最上階にある豪華なバーで呑むことになったさやか。お酒の勢いもあって、さやかが強く抱いている『とある願望』を彼に話したところ、なんと彼と一夜を過ごすことになり、しかも恋人になってしまった!? 彼は自分を女除けとして使っているだけだ、と考えるさやかだったが、少しずつ彼に恋心を覚えるようになっていき……。肉食でイケメンな彼にとろとろに蕩かされる、極甘濃密ラブ・ロマンス!
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる